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プロローグ

 ついにこの日がやってきた。

 長きに渡る艱難辛苦(はんぼうき)を乗り越え、獲得(ごりおし)した念願の長期休暇。

 その第一日目。


 俺は喜びのあまり部屋中を走り回り、奇声をあげてはしゃいだ。


「うぉっしゃあ!何しようかな……ゲームかなアニメかなそれともえっちぃサイト見ようかな……うあぁ悩ましい」


 一ヶ月休み無しで働かされたのだから、テンションもおかしくなるというものだ。

 なんというブラックな職場だろうか……労働基準法違反で訴えるぞ。

 手続きが面倒だからしないけど。


 ベッドに飛び乗り、シャドーボクシングをしながら叫ぶ。


「俺は自由だー!」


 一人暮らしの我が家にその行動を咎めるものはいない。

 いない、はずだった。




「近所迷惑です、マスター」


 簡潔にして明瞭。

 どこか機械的で、けれどとても綺麗な少女の声。


 思わず動きを止め、音の発生源に目を向けた。

 テーブルの上に置かれた黒いスマートフォン。

 2年前に購入したア○ドロイド端末で、お値段は七万六千円。

 今月になってようやく月々の端末購入費を払い終わったばかりの普通の携帯。


「一般常識というものが欠如していらっしゃるようですね。今から教育してさしあげましょう」


 ため息交じりの、呆れ声。



 ――――我が家のスマホ、どうやら喋るようです。

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