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人であるゴブリンであるが人を所望する  作者: 頑張るポチ(๑•̀ •́)و✧
第一章 人間化の法
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二話──それなりの対応──

本編の続きです(●´ω`●)

『はぁ......はぁ......』


必死で坂を登っていく。足が引かれる重力を感じさせながらも懸命に一歩一歩を踏み出す。


『大丈夫かい?もうすぐだから』


私より前にいて心配してくれる静夜さんも多少息は切れている。登る前に静夜さんが(なかなか歩くことはないんだよね......)と言ったから普段は歩かないのかな?と思っていたけど十分体力がある。

そういえば、どうやって私を家まで運んだのだろう。出発して既に太陽が真上に差し掛かっていることからして約半日かかる計算になる。しかも歩くだけならまだしも私を抱えて(るよね......?)いるとなると下手すれば一日......。


『どうしたの......?休むかい?』


足が止まっていたのか静夜さんがまた声をかけてきた。少し恥ずかしくなったけれどばれないように再び歩き出す。


『ああ!いえだいじょうぶですはい......』


歩く歩く!。考え事をするとそれ以外止まってしまうのであまり考えないようにしよう。


※※※※※※※※


しばらく登っていると大きな杉の木が見えた。一度目にしたことがあるような無いような気がして昔の記憶を巻き戻していくがすぐに思い出して気持ちが揺らぐ。風に揺らぐ杉の葉。太陽の光がちりちりと入り込んでいる。その反対側、少し暗くどんよりとした空気を漂わせる穴。洞窟の入口が見え少し体が震えた。


『君が最後に眠ってた場所だよね......。おっと......じゃあ昼食にしようか』


そう言って静夜さんはバックからおにぎり二つとスナック菓子、さらに牛乳を取り出した。

おにぎりをぱくっと食べながらスナック菓子に牛乳を注いでいた。不思議に思っていると彼がそのことに気付いたのかその食べ物を上へとあげ名前を口にする。......彼曰く、コーンフレークと言うらしい。スナック菓子に牛乳を入れれば完成してとてもお手軽な健康食品とも言っていた。

一口食べるとサクサクした食感。食べるにつれて食感がふわふわとしたものに変わり最後に味の染みた牛乳を口に通す。飲んだ頃には静夜さんはもう食べ終わったらしく、ニコッと笑って私を見ていた。


『な......なにか付いてますか......?』


『うーんとね。白いおヒゲがついてるよ』


『えっ!そんな......。恥ずかし......』


『嘘だよー。冗談冗談。美味しかったかい?』


『ああ......はい。美味しかったです』


『それはよかった』


冗談と聞いてまたか......と思った。たまに静夜さんはまるで本当のような冗談を言ってくる。表情と一致する冗談が多くどうしても嘘か本当か見抜けずに引っかかってしまう。でも、そのおかげで気分が良くなったり落ち着いたりするので静夜さんはとても気が利く人だ。たまに兄のような感じを見せる時があり見間違えることも多々ある。


『ここの杉は悲しいね』


『へっ?なんでですか?』


『光の加護と闇の加護が一つのものに付いているということはどういうことだかわかるかな?』


『えー、と......。光と闇は反対だから......』


『────そうなんだよ。この杉は日々戦ってるんだ。夜は完全なる闇、昼は相反しかなりの負担をしいている。もし人体だったら確実に【壊れてしまう】』


『そうなんですか......』


あまり気にしたことがない。というよりそんなこと微塵も考えたことがなかった。


『こういうことは少ないけどね。例えばこの杉のように魔物のいる洞窟の瘴気を闇、太陽の光を光とすると互いが相反する。影や純粋な闇魔法だと何も起こらないけどね。』


『......知識が多いんですね』


『本で読んだだけだよ。村にあったね』


あっ!。と思い出して出発前に思ったことを話す。


『そういえば村人さんはいないんですか?』


『ああ......うん。今はね......』


その瞬間、微かな笑みも消え静夜さんは少し俯いた。嫌な過去を思い出したのかもしれない。そりゃもう819歳なんですから。ってあれ?ゴブリンって亜人族だよね......。何故村に入れたんだろう。孤独......だったのかな......ずっと。


まだ知らないことが沢山あることが思い知らされた。また、時間がある時にでも少しずつお話できたらいいな。だんだんと彼といて楽しくなってくる時がある。兄が生きている頃と全く一緒の。


『じゃあ.....洞窟へ入るよ?準備は大丈夫?』


『大丈夫です。私もヒーラーですから』


もしあの魔物に出くわしたら兄の仇を取りたい。けど、私じゃ勝てっこない。だから静夜さんがいる。と信じたい。


何故洞窟を通るのかまでは詳しく深追いはしていない。静夜さんが言ったのは兄の体の確認をしよう。それだけだったが、できればあの魔物も退治したい。そう思い洞窟の中に入った。


※※※※※※※※


奥まで行った時の怪しい雰囲気は変わらず漂い続けていた。ジメジメとした地を踏みしめながら変わらぬ光景の中を進んでいく。何度か静夜さんは指で壁を触っていた。何かの確認なのかな?と思っただけで特に触れることもなく歩き続ける。


『かなり......近い』


『何がですか......?』


あまり大きな声を出さないようにヒソヒソ声で質問する。


『瘴気に当てられた年月や瘴気が強くなるほど状態が変化するんだ。土の場合だと柔らかくなるのと、乾いていく』


静夜さんと同じく、試しに触ってみると確かに水分が抜けていた。湿気というものがだんだんとなくなり、やがて地上と同じくらいの程よい湿り気となった。いつまでも居心地悪い雰囲気は続いていくが。


『突然だけど、魔物にも2種類あるのは知ってるかい?』


『あっはい。亜人族と亜獣族ですよね?』


『まぁ、そうだね。【然魔ぜんま】を大きく分けるとだけど。』


『えっ違うんですか?』


『あってるよ。合ってるけど求めてる答えが違っただけ。確かに亜人族や亜獣族という【然魔】がいる。だけどそれだけじゃない。意思を設定された工魔こうまもいるんだ。』


『.....工魔とは?』


『人工生命体やロボットなどのことだよ。一切心がなく命令通りに動く魔物。中継点にして話をしたり操ったりもできる』


『そう......なんですか。そんな怖いもの誰が作るんですか?』


『言いきれないほどたくさんの者さ。ここにいる二人も例外じゃない』


『私は何もしてませんよ.....!』


『例えばこれならどう?。もし君を憎む人がいて殺すために工魔を造ったら』


『それは......』


『自分が造ってなくても相手が自分に対して造ったともなれば一緒ってことさ。まぁ、そんな人は少ないけどさ』


『こ......怖いこと言わないでくださいよ!場所が場所なんですから!』


小さい声の範囲内で答える。もしひとりでそんな話を聞けば洞窟の外へと逃げてしまう。


『それよりも一刻も早く出ないと君の両親が心配しているだろう?』


『......』


((そうだったーー!))


今更のように最初に考えておかないといけないことを忘れていた。実はもうこの洞窟まで来ているんじゃないか?魔物にやられたりはしていないか?と、更なる心配をする。


『忘れたらダメだよ?まぁ、安心して。この洞窟にはれ......てないから』


えっ。普通は来るんじゃないの?と思った。なんせ最後と思われる場所は

[今日も素材取り行ってくるね!]

と言って出かけた洞窟なのだ。普通は......来る。


『ここで待ってて』


しばらく歩いたその時、彼は言った。まさか...と思ってすかさず壁に隠れる。手についていた泥も乾いていて、壁に付いても泥はつかないほど乾燥していた。


『ディフェン、コール』


防御魔法か何かの式句を唱えた直後、目の前の洞穴のような場所から一線薄く硬い六角形の連なる壁が出現した。私と静夜さんはその壁に分断され私が外にいるような形になった。

洞穴の入口に黄金にきらめく壁が張ってあり私は彼の後ろをすっと眺めた。

彼の双眸は見た目に反して鋭く尖っており、これから何かが起こることを告げていた。


『また来たか。愚かな人間め......ククク』


現れ出たのは私が恐怖したものそのものだった。壁に同化するように憐れむ魔物。ゆらゆらと蠢きながらも近づいていく口元は深く歪んで笑っていた。


『君にはここで消えてもらう』


睨みつける彼はこの魔物を知っているのだろうか。姿勢を低くしながらすっと背中を壁にもたれさせる。


『お前、ダレダァ?前のやつじゃねぇなぁ?』


『ディファイド、トゥー、コール。ディフィール、ファイブ、コール。』


先程流れた二つの式句によって二つの剣と、頭上に円の中心に剣が浮かぶような形の遠隔射撃用の武器が出現した。入口に張った壁と同じ性質を持っているのか黄金に煌めいていた。魔物も戦闘態勢に入ったや否や、黒い球体を作り出し始めた。


『小癪な真似を!一撃で灰と化してくれるわ!』


雨が降るようにして降ってくる流れ魔弾を遠隔射撃で迎え撃つ。


『リ、コール。────リ、コール』


遠隔射撃が枯渇しそうになると即座に備え直す。

流れ弾が私の方へ飛んできても六角形に連なる壁が止めてくれた。なんて強度なの!?と、感心していると敵が新たな方策にうち出た。


『そのような小細工が通用するとでも!』


先ほどの弾とは一回り以上小さい球体が洞窟いっぱいに広がる。手を振りかざした瞬間、猛スピードで降り注ぐ。


『......!!』


とっさの判断でも避けきれないと感じたのか逃げずに新たな式句を唱える。


『ディフェン、ムーブ、コール』


最初に施した壁とは違い丸みを帯びた球体が出現した。体を覆い被さるようにして出た球体で猛スピードで放たれる魔弾を当てる。強度が強い方は球体の方で、次々に無効化していった。


『クッ!チョウシニノリオッテ!』


魔物は手を伸ばして地面についた。


『憑け!』


その瞬間地面が洞窟の色に染まった光に覆われた。((何を......?))

と、思った瞬間静夜さんの肩を魔弾が貫いた。


『......くっ!』


即座にその場所から離れても次から次へと壁から魔弾が襲ってくる。


『......ディフェン、リ、コール!』


即座に性質を見抜き対抗する。瞬く間に体の全方位にへと防御を張る。そして、魔弾を防ぎながら全速力で飛ぶ。全てを覆った彼は攻撃が通らない限りほぼ無敵だ。が、防御と近距離攻撃は同時に行えないのか一瞬防御を解く。


『終わりだ!』


魔物の目の色が驚愕に変わる。魔弾が通らない時点で焦りを見出していた魔物の目に彼の煌めく剣が映る。右斜め上からの斬撃。二連撃を重ね体を捻る。剣戟の流れに逆らわないように一回転し右斜め下からの十字交差。

魔物の真ん中にバツ印が切り刻まれた。これで終わりかと思ったのだが、魔物はニヤリと歪んだ笑を見せた。


『ソコヲキッテモタオレナイゾ?クククク』


『────言われなくても知っているさ』


空中で漂っている彼は驚く表情をではなくあえて真ん中を斬ったのだというような風貌を見せた。その瞬間、魔物の脳天に槍のようなものが突き刺さった。


『ナ......ナンダト?』


『魔弾と射撃じゃ強度が違う。魔弾を貫いて天井に刺さり続けていたのさ。気付かなかったかい?上が仄かに光っていたことを』


......そうか!と私は納得した。遠隔射撃で迎え撃っていた時から天井が妙に光っていた。槍のようなものが見えたのがついさっきなので隠していたのか、もしくは魔物が自ら魔弾を生成しすぎて覆い隠していたのか。


『残念だね。ヒヨッコさん。あるじの元へおかえり?』


その言葉とともに魔物が内部から破裂するように爆散した。散り散りと消えていく闇を確認して彼が私の方に手を伸ばす。すると、張っていた防御が崩れるように消えていった。


『ごめん。唐突すぎて』


『凄かったです!......あっ、手当します』


『うん。ありがとう』


※※※※


((リンさんの兄がいない......。いや、違うな))

治癒魔法をかけてもらいながら彼は悟った。


※※※※


『これから静夜さんどうするんですか?』


『放浪者として、旅でもしようかな』


『そうですか。私も一緒に行きたいなぁ』


『一緒に来るかい?』


『いや......でも両親が......』


『それなら大丈夫さ』


『へっ?なんでですか?』


『後でわかるよ。』


洞窟を抜けると、入る前とは違った空気を感じた。あの魔物がいなくなった瞬間、洞窟内は見違える様に全体的に明るくなった。これも瘴気が晴れたからなのか......。

今は洞窟を出て真っ直ぐ進んで我が家へと向かっている。所々になんだか懐かしい景色が広がる。池にいる魚、フルー、フルジの木。心がスッキリとした。兄がなくなってしまったのは辛いけど、めげずにこれから進んで行こう。


『歩くのが早くなっているよ』


『あっ、すいません。ちょっとウキウキしちゃって』


『よかった。元気で。って目の前に蜂が!』


『きゃあ!って......。いないじゃないですか!』


『冗談だよ。』


『驚かさないでくださいよ!』


『ごめんごめん。次から気をつけるよ。』


『もう!気を付けてくださいね?』


『はいはい。っと、あれもしかしてついたんじゃない?』


『えっ?あ...帰ってきたんだ。』


その瞬間、長旅のような感じがして急に疲れがどっと溢れてきた。やっと着いたんだ。私の家に、私の町に。


『早く行きましょー!』


『あぁちょっと、早いってー。』


駆け出していき元気よく家へと走りだした。


────トーブ村へ────


今回は、会話多しの表現少なしの文字少なしの...。以後気を付けます(´・ω::.。出来れば。

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