8.5話──竜人とクラリネルⅡ──
書物──クラリネルの神秘──より
目を開けるとそこには縦に長い鉄の棒が横に連なっていた。起き上がろうと力を張るも即座にガキン!という音が響き、今の状況を把握した。虚ろなひとみになりながら前までのことを思い返す。
とてつもない精神魔法をくらったサクソスの手下共が逃げ帰る中、追跡魔法がついておるからリネルが────
『やっとお目覚めだねー』
声の方向へと体を向けると、体育座りで空間を漂っている子供が見えた。催眠魔法をかけたクラりネルの王様リネルだ。
『.....どういう事だ』
短くそう問いかけると、特に表情を変えずにえーとねと口ずさんで言った。
『出来れば暴れないで聞いてほしいんだ』
『......?』
『追跡装置が付いてたのは本当のこと。いや、ついてたより中で蔓延っていたといえばわかるかなー?』
『......』
『肯定ってことで話を進めるよー?せめてハイくらいは言ってほしいけど』
『一つ目、君の仲間は一人残らず全滅した。二つ目、牢屋で閉じ込めてるのはサクソスについての事情聴取であって決して痛いことはしない。三つ目、竜人との関係を深めたいと言う君との交渉』
素早く言い終えたリネルは、深く深呼吸した。
『仲間が全滅したのはどういうことだ?』
『言葉通りの意味で一方的な虐殺。ほんとにほんとに虐殺だよー?。あとは、操って死兵にでもするんじゃない?君を討ち取るために』
『そう......か。サクソスについては出来る限りすべて話す。最後の三つ目は後であなたの脳内でも探るさ』
『ひーこわいこわい』
わざとらしく痛そうな仕草をしてすぐにこちらを深く見据える。
『サクソスの人口、土地、兵の数、王の忠実な下僕。あっ、忠実な下僕っていうのは隊長クラスとかのすっごく強いひとのことねー?。他には魔法部隊の構成とか、元々の竜人族の人数とか、門番の人員と、構成とか』
『一つずつ言えないのか?』
『いえるいえるー。だけどめんどくさいから全部言っちゃったー。てへぇ!』
左目の所で軽くピースをし、下を少し出した。そんな仕草に見向きもせずひたすらサクソスについて思い出していく。
『まずは────』
『あっそうだ、牢屋から出ていいよ』
その言葉と同時に、パキンとひび割れた音が聞こえ椅子と手を縛り上げていた魔法陣が割れた。足も同様に外れゆっくりと立ち上がった。
『よく見るとあれだね!筋肉ムキムキだねー。それじゃあまず夕食からー』
もう二日間眠らされていたという。睡眠魔法の効果は一ヶ月らしいが、竜人だからなのだろうか。目の前の大きな扉を何回もくくり抜けた先には、帰属が食事するところのような細長いテーブルが敷かれていた。
『それじゃあ、食べながら話そうか竜人さん。いや、副官さん』
にやりと微笑みながら王は悪意満載の目をこちらに向けた。
うーん。:(´◦ω◦`):上手くかけない