第八話──ハクVS猫目──
戦闘回............?
洞窟がアリの巣のように穴だらけになっているな......。ふと、ハクは余裕のない息遣いの中思った。洞窟の土を使っているのか、魔力で生成した土なのかいくつもの槍が飛んでくる。それを避けるだけならまだしも髪の毛も混ざって来ているのだ。抜けているわけじゃない、ただ、髪の毛自体も生き物のように襲ってくるのだ。
『もうちょっとましなやつだと思ってたよ!』
息が切れる中でさらに敵を煽っていく、というよりも寧ろ待ってほしいと懇願するような音程で言った。
『そう。じゃあ髪の毛を太くするね』
そういう事じゃないんだよ!と毒づくもその願いは届かない。相性が悪すぎた。遠距離でしかも攻撃しまくって相手の姿が覆われている。
試しに数弾打ち込んだとしてもすぐに見えなくなり、当たっているのかどうかさえわからなかった。
『攻撃しないの?』
『してるよ!』
通らねぇんだよ!と内心思ったがすぐに切り替える。同じ技の繰り返しでようやく見切れそうな攻撃に対抗策を考え始める。
※※※※
昔の話だが、銃として拾われたのは今から数年前の話だ。子供は重たくて持ち上がらない、大人も物騒なものなんて手にしたくない......というか汚い手で触るな!と怒鳴りつけるため、なかなか拾う人なんて出なかった。そんな時、ひょいと持ち上げたのがクロネルだ。最初から擬人化できることを知っていたクロネルは、悪戯心満載で幾度となく仕掛けてきた。魔法の試し打ちの的にされたり水につけたりなど馬鹿らしいことを何回も繰り返された。
『なにすんだよ!』
無表情で毎回仕打ちをしてくるためその時は、かなり怒りに満ち溢れていたと思う。
『よし、怒った。戦お』
『はぁ?』
戦おうと言ってきたので呆れていたが何故か了承した。
結果は時間的にはいい勝負だったが内容はぼろ負けだった。ほぼ自分が耐久していたと思う。そのときのクロネルは、魔法弾で自分が見えなくなるくらい攻撃してきて、打つのに混乱した。さらに、途中で身長が倍になり、女声で喋り始め一瞬のうちに終わった。目を覚ましたら上からクロネルが極上のニヤリ顔をかましていた。
※※※※
『昔の話思い出しても意味無いんじゃー!』
今までの知識から打開策でもあるのかと思っていたがそうでもなかった。髪がいたんでくるのか髪の数が減り、土の槍は増えていた。
『────チッ』
えっ?と顔を前へ向けると猫目の表情が変わってはいなかったが口がへの字になっていた。
『ナルシ終わったか』
さん付けしないのか......?とどうでもいい考えは一瞬脳内に入り込んできたがすぐさま排除する。さすがに仲間がやられると悲しむかな?。
『無様ァ笑えるぅ』
キャッキャッキャッと笑うが目が笑っていない。怖いよ!
という茶番は置いといて、なんとなくの打開策が見つかってきた。なんと先程思い出した昔話からだ。今、俺には銃が十丁ぶら下がっている。だから、「鉄は大量にあるわけだ」。
銃を二丁取り出し、鉄の塊に変える。それを二回繰り返し巨大な鉄の玉が形があやふやの状態で出来上がる。頭で強く念じてある兵器を作り出す。
手の平大の大きさの戦車を作ると凸凹になった地面へ埋め込む。完了。
『何をしたのですか?』
当然相手も同様、土の槍などで視界は茶色一色となっている。
『別に何も?』
教えるバカがいるかよと思いながら胸元にある小さなかけらを口に入れる。何の変哲もない飴のようなものは実はただの飴だ。決して、筋肉で服が破れることなんてものはない。
『見せてやるよ、これが銃撃戦ってやつさ』
と言った瞬間槍が当たりそうになったのは内緒にしておく。
銃を適当に地面に配置し、常に二丁拳銃で戦うスタイル。これは、平らな地形では絶対できずに破壊されてしまうある意味捨て身の攻撃だ。だが、地面は凸凹で、相手も自分の姿を視認できていないのでチャンスとも言える。
『行くぜ!これで終わりだぁ!』
............と、一歩足を出した途端相手の攻撃の軸がずれた。と思ったら攻撃がやんだ。
『............は?』
『あらら?まさかほんとに当たるとは』
声の方向へ振り返ってみると一度目にしたことのある女声のクロネルだった。
『おい』
『なんですか?大して何もしなかったハクさぁん?』
『ふざけてんじゃねぇよ!せっかくの見せ場が台無しじゃないか!』
『アニメじゃないんだかきりのいい戦いがあるもんですか』
この言葉に口を開けて呆然とすることしか出来なかった。
アニメみたいに30分も続くわけでもない(´・ω・`)。決して省いたとかそういうのじゃないよ((((;゜Д゜)))))))