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自分の部屋で色々とネットで検索して左手のことを調べてみたが、同じ様な症状の人を結局誰一人見つけることが出来なかった。

 

――チャラララララララララ


 鳴り響くスマホの画面を見ると、ユースケという文字が目に入った。

「もしもし」なんだかあまりいい予感がしねえ。

「よぉ、文士。あのさ~今、暇?」

「暇じゃねえ」

「なんだよ、どっか行く予定でもあんのかよ」

「ない」

「ないなら、今からおまえの家行ってもいい?」

「無理」

「なんで、どうせ暇なんだろう」いやいや、そんな暇はない。俺は今からやることがあるんだよ。

「無理」

「今、家にいるんだろう?」

「いるけど。無理」

「そっかぁ、じゃあ今から行くから」


――ツーツー

 返事をするまでもなくユースケは一方的に電話を切りやがった。


――ピンポーン 


「おばさんこんにちは」俺の部屋の中にまで外にいるユースケの声が訊こえる。

「あら、ユースケ君。文士なら自分の部屋にいるわよ、上がってちょうだい」俺の都合を聞かないでまたそんなに勝手な事を言って。

「おじゃまします」ユースケが階段を上がってくる音が訊こえる。


――コンコン


「ぶ~んしく~ん」なんだ、その小学生みたいな声の出し方は。


――ガチャ


「お前、勝手に部屋入ってくるなって」

「なんだよ~いいじゃん。それに勝手に入ったんじゃねえぞ。入室前にきちんと名前言っただろ?」

「おまえ、名前呼んだだけで、俺の返事を聞いていないだろうが」とツッコミを入れるがすでにユースケは本棚を物色している。

「文士~、この漫画読んでもいい?」

「読んでもいいって、もう読んでるじゃないか」

「まぁいいの、いいの。そういう細かい事気にしなくてさ」


――15分後


「っていうか、ユースケお前一体なにしにきたわけ? 漫画読むだけなら自分の家に持って帰って読め」

「まあそんなに怒りなさんなって。お前の今日の様子がなんかおかしかったからさ、それできたわけ。心配してやってんだぞ? 意外と友達思いなんだぞ俺は」

「………」ユースケの顔をジーッと睨む。

「お前、それ絶対思ってないでしょ。顔に書いてあんぞ」

「それよりも。お願いというワケでもないんだけどさ、叔母さんみたいに力がある人、お前の親戚とかにいないか」

「なんだよ、それ。急に話が変わんだな」

「お前の叔母さん、心筋梗塞で亡くなったじゃん。姉ちゃんが叔母さんみたいな人探しても見つけれないって言ってさ。姉ちゃんが直接お前に聞いてくれないかって煩くてさー」

「ない。いない」叔母さんの代わりなんていないだろ。なに言ってんだコイツは。

「も~文士ちゃん。そんないけずうな事を言わないでさ、誰か知らないの?」

「知らねえよ」


「そんな事言っていいんだ? せっかく玖珂らむ子ちゃんのお宝写真持ってきてあげたというのに?」


「なにっ?!」

 玖珂らむ子ちゃんと言うキーワードに俺の心のセンサーが敏感に反応する。


「ほれ、ほれほれほれほれ」ユースケがチラチラとお宝写真を勿体ぶって見せてきやがる。

しかしながら玖村らむ子ちゃんの写真はアツイ。少しでも見ようと目がその写真を追う。

「なに?! それは抽選で当たらないと手に入らないやつじゃねえか」なんでそんな物をコイツが持っているというのだ?!

「そうだよ」

「見せろ」

「それなら、能力がある人を紹介してくれ」

「それは無理だ。でも、頼むからそれを拝ませてくれ」

「それだったら紹介してくれ。写真欲しいだろ?」

「それは、欲しい」俺は玖珂らむ子ちゃんには目がない。

「じゃあ紹介して」

「無理だ。なんでだよ」

「なんでって、それはそういう能力があるやつ知らねえから。知ってたら紹介するけど、本当に知らねえんだから」

「そういう霊能力みたいなやつは遺伝するって言うじゃん。お前のお父さんとかさー」

「親父はそういうのは全否定してるから」

「じゃあさ、おばさんは?」

「ないない、聞いた事ねーもん」


「なんだー。お前にはあるわけないしさー」


「なんで俺だけ外すんだよ」最初から話題に上らないのが癪に障る。


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