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もう一度目を細めて同じところを注意深くみてみるが、そこには制服を着て座っている女子の姿があるだけだ。

 なんだ? 俺も勉強しすぎて(←それは絶対にない)、ついに頭がおかしくなってしまったか?

 つーか、もしかして、強い願望が俺に幻覚をみせているというのか?

そんな。イタすぎるだろ。

 いやいや。


もしかしたら夢とかだったりしてな。むふふ。もう一度同じ方向を見てしまったが、制服を着ている姿しか見えない。


  完全に疲れているんだわ。今日は早く寝ないとな。左手を眉毛の位置に持って行き、机の上に肘を立てた時に、俺は気が付いた。


ぬぉっ!? 手が透けてる? 自分の左手が透けて見えてる?! その向こうにはお、お尻……?

ツルンとした丸くて柔らかそうなお尻?  しり、しりしりしりシリーーィ!



ハゥーーッ? な、なんだこれは。

頭に叔母の顔が過る。

そういえば、叔母さんが夢に出てきて何か力を与えるとか言っていたが、もしかしてこれの事だったりとかしちゃったりとか?! いやいや、そんなわけないよな。

 ブンブンと左右に大きく頭を振る。


「なんだ、指田。分からない所でもあるのか?」そう言われてハッと我に返る。

「あ、すみません。なんでもないんです」

「なんでもないのに大きく顔を振るのか?」

「すみません」

「もう少し真剣に授業を受けるように」


 なんだよ。頭左右に振ったくらいで。ビビるじゃねえか。いやいや、今はそんな事よりも左手の事だろ。

さっきのはなんだ?!


 願望が強い上に、欲求不満で幻覚を見たというのか?

 見つからないように、少し背中を丸めて前の奴の背中に隠れるようにして、左手をその男子生徒の背中に向けてかざしてみた。


 ハダカ?

 頭の中は混乱する。信じきれない衝動を抑えつつ、もう一度左手をかざす。

 背中だ。この左手の範囲だけ、裸が見える。これは現実? それとも夢?

 

 自分の右頬を右手で思い切りつねる。

イテテッッ。痛い。それも声が出る程に。

 夢なんかではない。つねり終わった後にジンジンしている頬が、これは現実なんだと教えてくれる。

それでも信じ切れずに、もう一度前の背中に左手をかざして背中を見てみる。


コイツ、細いと思っていたけど、これ相当身体鍛えてね?

 頭は信じ切れていないくせに、予想だにしていなかった前の奴の身体の逞しさに思わず嫉妬する。

 上腕筋とかかなり発達してんじゃん。

 高校生でこの筋肉の育て方はスゲエだろ。なに、この負けた感じはよ。

 

しかし、俺は冷静になった。

そんな裸の感想よりも、この左手の結論を出さなくてはいけない。これは本当に前の席の奴の裸なのか? 

疲れすぎたせいで、こうなって欲しいとかいう欲望がデカすぎて、自分が見たいものを映像化しているだけかもしれない。

 試しに他の人でも実験をしなければならぬ。……仕方がない。それなら女子を見て見ますか!


――ドックンドクン(心の中、わっくんわっくん)




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