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 「指田文士君へ


 高校生活頑張ってね。 玖珂らむ子」

夢なんかではない。間違いなく今ここに俺の手のひらの中に本物の手紙がある。俺の心は弾んで弾んで気がついたら、その場で変な小躍りをしていた。

「指田君どうしたの? 熱でもあるんじゃない?」林田先生がそんな俺のおでこに手を当てる。

「熱はないみたい」

「先生、俺本当に元気っすから。人間ってあまりにも嬉しい時には意識が飛んだり、自分で意識したわけでないのに、身体が動いたりするもんなんスねえ。本当にもう大丈夫なんで教室にもどります。世話になりやした」

保健室を後にして、教室に戻りユースケにヴイサインをした。ユースケは右手を挙げ、おう!と合図をした。

 授業中になんども何度も、その写真を見てそして手紙を見て、と繰り返した。何度見ても玖珂らむ子ちゃんは可愛いし、見足りることはなかった。写真よりも手紙が宙に舞い踊りだしてしまいそうな程に嬉しかった。

 休憩時間にユースケが俺の所にやってきたかと思うと、にやにやと嬉しそうにして「おい、それで林田先生の半径1メートル以内の生裸はどうだったか?」などと訊いてきたではないか。

 そういえば、すっかり忘れていたけれど、林田先生の綺麗な裸を見たんだったな。

 「どうもこうもないよ。すっかり忘れていたくらいだし」

「そんなワケないだろう。俺なんかお前を頑張って運べたのにはそういう所からエネルギーをもらったんだからな」

「なんだよ、それ。そんな事より、理沙さんってさ、なんで玖珂らむ子ちゃんと知り合いなのか本当に知らないか?」

「いや、仕事の関係とかだろう。あんまり姉貴に色々と訊くと、おっかねえから極力無難な言葉を選択して無難な態度を選択して行動しているんだよ」

「ハハハ。理沙さんって怖いもんな」


 学校の帰り道、今日は理沙さんは居なかったが、「指田君」との声に振り返ると、そこには早川さんがいた。

 な、なんで!?

 「今日は歩きなの!? 今から車に乗るの?」

「いや、今日はバスで帰るつもりだけど」

「そうなんだ!? 一緒にかえろうよ」一体全体なにが起こったと言うのだ。

「どうして」

「え、嫌なの!?」


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