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「山地さんのお宅には、草野さんと山地さんが抱き合っている動画ががありました」

そんなものあったのかよ。俺は聴いていないぞ、そんな事。

「山地さんは戸勝さんの事を嫌いと言っていました。戸勝さんが草野さんのところに頻繁に出入りしていたからでしょう。戸勝さんは山地さんのことが好きなのに、何故嫌われたんでしょう。あなたは初めから草野さんをころすはずでしたよね? どうして山地さんを殺したんです。あなたの愛はいつわりだったのですか」

「車の中にいたのは、あの女だと思ったのよ」

「山地静雄を殺害して遺書を用意する時間があなたにはありましたよね」

「山地さんを殺すつもりはなかった」

「遺書を書いたのは、草野哲美に罪を被せようとしたからですよね」

「あの女が悪いんです。私が本気で愛した男だというのに、あの女は自分の小遣い程度でしかなかった。私はどうしても許せなかった」


「20○○年6月○○日 山地静雄殺害容疑で逮捕します」


罠にかかった様に、次々と白状した戸勝強はその後署に連行された。


「文士君どうもありがとうね。あなたのお蔭で解決できたわ」理沙さんが感謝しながら言う。

「いや、俺は何もしていないですよ」

「文士君が、戸勝強はニューハーフだって教えてくれなかったら、当分解決していなかったわよ」

「いや、理沙さんの追いつめ方が凄かったですから。でも、なんか腑に落ちなかったんですよね。男のくせに、やたら綺麗な脚とか」

「そうね、前に言っていたわね。どうして私は気が付かんかったのかしら。思えばブラジャーだって、あれは本人がしていたのよね。胸にブラジャーの跡がついていなかったかしら」

「へ!? ブラジャーの跡」

「そうよ。ブラジャーって強く締め付けるから、ブラジャーを取ったら跡が残るのよ」

「へえ」そういうもんなんだ。そういえば、美術の全裸モデルなんかも、前日には下着をつけないで寝るとかなんとかエロ本に書いてあったっけ。

 てっきり、そういうシチュエーション的なものだと思っていたのだが。

「まぁ、女性経験のない文士君には、そんなこと分かるはずないわよね」

偉い馬鹿にされようだが、ユースケだって同じだぞ、と言いたかったが、ユースケに免じてそれは言わないでおくことにした。


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