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「そんなに驚いちゃって。なんか悪い事しちゃった」

え、え!? なんで?

戸勝強はこちらを見たがメガネをして、制服だったせいか俺だとは気が付いていないようなので、俺はこの夢のような展開に驚いて立ち尽くした。

「早見さん」名前を呼ぶのが精いっぱいだった。

「なんか最近、指田君大人の女性と一緒に行動しているでしょう? あれって彼女なの?」

ん? なんだその質問は。

「誰の事だっけ」

「あーしらばっくれるんだ!? やっぱりそういう仲なの?」読めない。なぜ早見さんは俺にそんなことを訊いてくるのだ。もしかして俺ってからかわれてる!?

「いやいや、そんなんじゃないよ」

「ふーん。良かった」早見さんは納得したのか、そのまま弁当コーナーの方へ向かった。

半ば放心状態のままコンビニを出てから、コーヒーを飲みほしたあとに、自転車に跨って学校に向かったが、一体自分は学校までどうやってどのくらいの速度で運転したのかさえ曖昧なくらい早見さんの事を反芻していた。

 早見さんはなんでいきなり俺に話かけてきたんだ!? 喋ったこともないし、第一俺の存在すら知られていないと思ったのに、指田君って名前まで知っていたぞ? そしてふーんよかったって言ったぞ? なんだあれは。

 もしかして俺に気があるとか!?

 いやいや勘違いしやすいのは男の性だとは思うが、ここは良い方に解釈するのはやめておこう。じゃないと碌な事がおきねえから。

 しばらく方針状態のままでいるt、ユースケが「おはよう」と俺の右肩をトントンと叩いた。

「大変だったな」と、ユースケが同情するような感じで言った。

「見てたのか!?」と俺は言った。

「姉貴が、お前の事をいたわってやれって」

「……なんだそっちか」俺がガクリと肩を落とした。

「なんだってことはないだろう。他になんかあったのかよ」

「なんもねーけど」


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