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ズカズカと階段を上っていき教室に入りユースケを捜す。
が、捜すまでもなく、ユースケがニヤニヤとしながらこちらに向かって来た。
「文士ちゃん。おはよう」そう言いながら肩に腕を回して今度は「あれ取れてる」と言ってきやがった。
「オマエ、こらこの野郎! お前だろ。変な紙を背中に付けただろ。 そのせいで射会先生に呼び止められたじゃねえか。どーしてくれんだよ」
「はて、なんのことかな?」
「オマ、この野郎。とぼけやがって」
――ガシッ
ユースケの腕を振り払い、今度は俺の右腕がユースケの首を捕らえる。
「うぅ、わかった謝るからやめろって」
「この野郎、この野郎」
ユースケがその後もう一度謝ったところで、チャイムが鳴ったので、席に着いた。担任の北川先生が沢山の教材を持って教室内に入って、それを置くなり
「えー今日は、4時間目には席順を変えたいと思っています。いつもの様にクジだけど、目が悪い人は先に教えて下さいね」と言った。
なんだよ、席替えか。一番後ろの席が気楽でいいのに。
しかし、ユースケの奴あいつマジで小学生の頃から頭の中身が変わらないが、大丈夫なんだろうか(←お前も大して変わっていない)。
中学生の時にも背中に貼り紙されたっけな。
『お尻をかいてください、お願いします』とか意味分かんない事かいてたっけ? マジあいつ小学生並みの知能だろう(←お前もな)。
小学生からの付き合いだけど、アイツ本当に変わらないよな。
一限目の授業は現国で、なんてたいくつなんだろかとノートの余白に落書きをした。そうだ、漫画を描こうかな。
○を書いて顔のパーツを描いて行く。
しかし、今頃気が付いたけど、俺って絵の才能がないのかも。
そう思いながらも、もう一つひらめいた。
そうだ! 棒人間にすればいいじゃないか! そして俺はノートの右下部分に数ページ分棒人形を描いていった。
そして一旦ノートを閉じて最初のページからパラパラとめくっていく!
おぉおおお!
何も持っていなかった棒人形が剣を手にして動いている! パラパラ漫画の完成だ。
休憩時間にユースケに見せたら、ユースケは俺もやろうとかいって、作り方を聞いてきた。
三限目が始まる前にユースケは出来上がったパラパラ漫画を見せてきた。