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そこで、俺は手にしていたミニ四駆を静かに元に戻して、人形売り場からは死角になる位置に隠れて、チラチラとその様子を覗いた。
こちらからは、どんな表情でそれを選んでいるのかは見えないが、人形売り場で悩んでいるという姿だけは確認できる。
ふとした瞬間に理沙さんの顔が頭に浮かんできた。
別になんの証拠にもならないが、何となくという低い意識で、その様子を携帯で写しておいた。
あれやこれやと悩むこと十数分後、ようやく買う物が決まった様で、戸勝強はそれらを手に持ちレジに向かった。
どんな物をかったのか、興味があるが、余程近くに行かなければ、それを見ることは出来ない。
どうしても見たい気持ちが強くなり、大きく首を伸ばすが、結局見る事が出来なかった。
戸勝強はレジで金を払うと、何やら待ている様子だった。なるほど、ラッピングか。
と言う事は誰かへのプレゼントっていう事か!と俺は深く頷いた。
別にそんな事は考えなくても分かる事だったのだが、何を買うのだろうかという好奇心からそういう所まで考えが行く事がなかったのである。
俺はおもちゃ屋を一旦出て、おもちゃ屋が見えるベンチに座って、出入り口を見張った。
しばらくすると、満足そうな顔をして戸勝強が出てきた。
手にはしっかりと品物が入ったビニール袋を持っている。戸勝強はそのままエスカレーターを降りて行った。
そのまま追いかけようかとも思ったが、一体自分は何の為にそんな事をするのだろうかと疑問に感じて、俺はその姿を見送りつつ、文房具店へと向かった。
今日ここに来た理由は。戸勝強の見張りなんかではなく、シャープペンシルとノートを買いに来た為である。
文房具店に入りシャープペンシルを探す。ズラリと沢山の種類の中からどれがいいのか分からず、結局前の学生が買っていったシャープペンシルを自分も買った。
書く事が出来さえすればそれで良かった。
シャー芯も残り少ない事を思い出し、買って帰る事にした。シャー芯は、シャープペンシルと違って自分なりにこだわりがあった。
安いのは駄目で、値段が高めのメーカーで2Bの物を好んだ。安いのは、書くときにキュッという不快な音がするし、また折れやすいのである。
それからノートを一冊選んで、金を払い店を出た。




