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14

「これ」俺はそれを拾い上げイケメンに渡した。イケメンはそれを奪うように受け取ると、

「こういう細かいものは無くなりやすいからね」と言いながらサイドテーブルの引き出しに収めた。


――チャラララララララ


 理沙さんの携帯が鳴り響く。

「少し失礼するわね」理沙さんは申し訳なさそうに右手を挙げて軽くお辞儀をしてから電話に出た。


 俺は、ぼーっとベッドの方に目を向ける。花柄の小さな刺繍のような山の形をしたものが二つ。

 あれはなんだろうか。

 目をゴシゴシとこする。

 あれは?! あれは、もしかすると、もしかして。


――ドクンドクン

 

急速に高鳴る胸の鼓動。

 山型の白い布にピンク色の刺繍が合って。まさしく。それはブ、ブラジャー様というやつか。

俺の目は、瞬時にブラジャーということを察知すると、そこから目が離せなくなってしまった。

 いかんいかん。と思いながら目線を逸らしてもまたすぐに視線がその場所に戻ってしまうのである。


 理沙さんを見るフリしてそっちに視線がチラリ。イケメンの足元を見るフリをしてチラリ。風呂場の方を見るフリしてチラリ。


鼻の舌を伸ばしているそんな事には気が付いていない理沙さんは、電話をポケットに収めるながら、

「戸勝さん、今日はご協力ありがとうございました。今日の所はこれで失礼いたします」と言って、行くわよと俺の腕を引っ張る。

「でも、まだブラが」

「マダブラってなんのことよ」理沙さんの言葉にハッとした俺は、

「ブラブラっとして帰ろうかなって思ってて」と誤魔化した。

「何を言っているの、まだこれからも仕事があるのよ。この子ったら本当に新人で。ホホホホ。それでは」理沙さんは再度イケメンに挨拶をした。

俺もすぐに軽くお辞儀をして、靴を履いた。


――ゴトン


おっと。危ねえ。

わずかの段差に気が付かずに、あやうく転びそうになった。

なんとか柱に手を掛けることが出来て助かったのだが、その時に目にチラリと細い脚が見えた。


なんだ?!


 目の前にはイケメンがいるだけで、理沙さんは玄関を既に出ている。

 と言うことはつまり、この綺麗な美脚は――


「それじゃあ、私たちはこれで」


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