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一つは、階段が抜け落ちないか先に試されてる。二つ目は、お尻を見られるのがいやだ。二つ目の理由については、そんなこと言われているわけでもなく俺が勝手にそう思っただけであるが、誰が見るか! と心の中で毒づいていた。


――ピンポーン

 

インターホンを鳴らしたが、外からはブザーがきこえたが、果たして中まで配線が届いているのだろうか。ありえないぐらいに失礼なことばかり俺は心配しているが、壁もドアも薄そうだから、階段を上る音で中に居れば誰かが上がってきたということぐらい気が付くだろうと俺は思っていた。


木の玄関ドアがキーィッという音を立てながら開くと、中から怠そうな声で「はい」とイケメンが出てきた。

「こういうものですが」理沙さんは刑事手帳を服の内ポケットから出してイケメンに見せた。

「あぁ」イケメンはハイハイと面倒そうに首を縦に二度振った。

「ここじゃちょっと話ができませんので、中に頂ければ」

「どうぞ」少し無愛想な感じではあったが、イケメンは中に入ることを了承し、自分が一番に入ると、理沙さんは扉が半分も閉まらないうちに部屋へと入って行った。

 もちろん俺も、すぐに中に入った。ここは男の家だから、そう緊張することもないが、ただもしかしたらこのイケメンが殺人犯なのかもしれないのだ。そうおもうと、多少の恐怖は否めないし、大体この部屋のどこかには、拳銃や危ないものだって隠されているかもしれないのだ。この前番組で見たガサ入れにいった部屋に住む男は殺人犯で家の中には、むき出しの注射の針や凶器がありそれがどこにあるかわからないから手袋を二重うくらいにして入らないといけないといっていた。だが、今の俺たちは素手だ。


 まっ、これは事情聴取と呼ばれる類のもので、ガサではないわけだから、針が刺さったり刃にあたって血を出したりは、イケメンが刃を振り回して暴れない限りは大丈夫そうであるが。ただ、イケメンだけにどういうやつかまるで分らない。いや、イケメンだからというのは偏見か。といううか、それはもしかしたらイケメンに対する嫉妬か。

 しかし、そんな事を一人で思っている間にも、理沙さんは平然と中にはいっていく。そんな姿を見せられて、自分は怖くて入れないなどと言っている場合ではない。このメンツにかけても!

 

 部屋の中を見るとパッと見ただけでもかなりきれいに部屋が片付けてあるのが分かる。

 ユリンといい、このイケメンといい。美形の人は、顔だけでなく部屋も綺麗だということなのだろうか。

「男の人なのに随分と綺麗にされているんですね」理沙さんもかなり驚いた様であった。

「物が外に出ているの嫌いなんで」無愛想な感じではあるが、イケメンがいった。

「本日、お伺いましたのは、山地さんの件で少し」

「何度も同じことを聞かれてるけど、何度来てもらってもお答えすることは同じですから」

「すまませんね。私共としましてもなるべく、ご迷惑をお掛けしないようにと思って気をつけているのですが。是非とも捜査にご協力いただけたらと思いまして」


「同じことを何度も聞いて、仕事が出来ない人達って言う風にしか受け取れませんが」

「そこは本当に申し訳なく思います」この言葉には、理沙さんだって素直に謝るしかない


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