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女の子に話しかけるって言ってもよ、知らない女の子に声かけるって結構勇気がいるよな。話しかけてみてもし、変質者とか思われたらどうするんだよ? とか思うし。
まあ、幸いな事に? 制服を着ている分マシっていうか。
ナンパとかするのが得意な奴が羨ましいぜ。
学校の門の前には生徒指導の先生が立っていて、数名が門の前で制服を直している。
「お~い。文士おは~」その声に振り返るとそこにはユースケがいた。
「おう」
――バンッッ
ユースケが俺の背中を思いきり叩いた。
「俺忙しいから先行くわ」そう言ってユースケは走って俺を抜かしていった。
「おはようございます」なるべく目を合わせないように門をくぐる。
「おい、指田。待て」
げっ。もしかして、もしかして、今、俺の事呼んだ?
恐る恐る振り返ると、社会科の先生でもある射会先生が30センチ定規を右手で持ち肩の所に武器の様にして持ちながら俺の顔を見ている。
「はい……」嫌な予感に声がつい小さくなる。
「指田、なんだその制服は」
「あ、すみません。これボタンが取れたまま時間が無くて付けれませんでした」
「ボタン?お前ボタンの事じゃなくてこれはなんだ?」
――バリッッ
射会先生は俺の背中から何か剥がして、そして俺に見せた。
『さしだ ぶんしちゃんです。彼女募集中です!』
な、なんなんだこれは?
あんのヤロー。ユースケがすれ違いざまに貼ったに決まってる!
「何でもないです。友達が貼ったんです」
「指田、思い詰める様な事があったら、いつでも相談にこい」
「は、はあ……」
今、俺は変な誤解されたよな。まったくユースケのヤロウ。余計な事をしやがって。見つけたらタダじゃおかん。