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ナンバーワンホステスに会えるなんてマジかよ。
もしかしてこれって寧ろ喜ぶべきじゃね。しかも、そんな綺麗だろう女の人の裸を間近で見れるチャンスなんてないよな。
しかも万が一バレタりしたときだって捜査協力の延長線上とかなんとか言ったら上手く逃れることが出来るじゃねえか。
しかし、俺の考えは甘かったらしく、次の瞬間。ユースケの姉いや理沙さんにしっかりと釘を打たれた。
「左手は使わないでいいから」
左手は使わなくていいから。いいから。その言葉が脳内で木霊する。
なんでだ、なんでだ、なんでだー。そこが一番の楽しみだと言うのにか。
「でも左手を使わないんじゃ俺が行く意味がないじゃないですか。この左手が必要だから捜査の協力依頼したんですよね、左手使わないということは俺がいてもいないのと同じことじゃないですか」これはもう反論するしかないと思った。当たり前だろう? 人気ナンバーワンの裸に興味を惹かれないっていう男なんているか? いるわけないだろ。少なくても俺の今の年齢では、興味が大いにありありだ。
見たい。見たすぎる。まだ見ぬユリンのその綺麗な身体を。とかって思うじゃん。
「その時は私の方から指示するわ」
チーン。終了――。きっとこの人に何をいっても通用しない。理沙さんが右を向けと言えば右をむかなければいけない。
俺は肩をがっくりと落とした。
そして、同時に気が重くなった。まだ始まって間もない現状に近しき未来を案じたのである。
「文士君そんなにガッカリしたような顔をしなくてもいいじゃないの」
「俺別にガッカリなんてしていないですよ」やべっ。俺の下心が。悟られないようにしているつもりだったが、さすがの理沙さんは刑事だ。鋭いのだ。
「顔に書いてあるわよ、一応私も刑事の前に女だからね。必要ないのに裸なんて見られたらいい気しないじゃない」理沙さんはにっこりしてそういった。
慌てて鏡を覗き込んだ。鼻の舌が伸びているとか。いや、そんなことはない。正常だ。
それにしても、俺がいかにもエロスを求めているような言い方じゃないかよ(←実際そうだろ)と、俺はムッとした。
しかし、悔しいがこれ以上反論するのはやめた。確かに俺はエロスを期待したんだから(←知ってるよ)。
赤坂へと向かい、パーキングに車を停めて、茶色いマンションの中に入って行った。
「ここのマンションに住んでいるんですか、えらい立派なマンションですけど」
「そうらしいわね」
インターホンがあり、自動ドアの向こうには広くて綺麗なロビーが広がっている。
――ピーンポーン
「はい」
「山田ですけど」
「どうぞ」
――ウィーン
閉じていた自動ドアが開き、理沙さんと中へと入って行く。
「このロビーって、トイレまでついているんですね」
「そうみたいね」




