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第二章 1

二章 未解決事件


「文士君、早速なんだけど三月九日に山地静夫という男性が殺害されてね」

殺害……!? いや、いや、そんな事言われても知らねえよ。

 

「ちょ、ちょっと待って下さいよ。いきなり殺人事件とかって言われましても。まだ心の準備が出来てないし」

「納得したからきてくれたんだよねえ」

 いや、別に納得したから来たわけではない。


「いや、そういうワケでもないつーか、その」クッソー。ユースケの奴はめやがったな。


「あら、ごめんなさい。まだ高校生だものね。いきなりすぎたかしらね。でも刑事なんだからこういうのが仕事なのよ」

「・・・・・・」

 そんな足を組まれた状態で言われても。なんかその三角地帯がチラリズムしそうだし。

 いやいやユースケの姉さんだというのに、いかんいかん、一体なんて事を考えているんだよ。これがユースケの姉でさえなければな。


「それで、山地さんは51歳の独身男性で車の中で殺されたのね」

「車の中で殺されたって、そんな事件ありましたっけ」今朝オカンがつけてたテレビでは見なかったんだが。まあそんなにじっくり見ていたわけでもないんだが。


「まだ報道はされていないのよね、それが。今のところ自殺と事件の両面で調べていて、自殺の可能性が高いこともあって当然ながらマスコミには報道されていないよ」


 それで、自殺と事件の両面って、それを調べろとかいうんじゃないだろうな。

「でもそれって自殺の可能性が高いなら俺が出るまでもないんじゃ」先に断っておくべきだろう。先手必勝さ!

「でも、おかしいのよ。その様子が。山地さんは三角商事という所に勤めている人で部長さんなんだけど、勤務態度は真面目でね」

「三角商事? 聞いたことがあるな。確か・・・・・・」

「そう大通り沿いにある化粧品会社の下請けでね。サンサンミセスって言う所のね」

「サンサンミセスって、あのCMでやってるサンサンサンミセス~♪ ってやっているあのサンサンミセスのことですか?」大きな三角定規振り回してやってるあれのことか!?


「そう、そのサンサンミセスの事ね。で、山地さんなんだけど亡くなる三ヶ月前からね頻繁に飲み屋に通うようになって、どうもそこのナンバーワンのユリンって子を気に入って行く度にその子を指名していたらしいのね」

「へえ、有名会社じゃないですか。しかも、それってよく聞く話ですよね。ホステスに貢いでしまうっていうやつでしょう?」

「そうね。文士君はまだ若いから、そういう所には行ったことはないでしょうけど」

 まぁ行った事はなくても、いつか行ってみたい所ではあるわけだが。

「まあ今の所は」


「今のところはって。へえ、文士君もそういう希望があるんだ」 なんか今笑った? 笑うっつーか、俺のこと馬鹿にした!?


「そういう希望がって言われても」なんか腹が立つ。まぁ希望はあるよな。隣に谷間美女が座ってくれて膝の上に手を置いてくれたりしてさ、美味しいコーラ(←未成年だし酒飲めない)とかついでくれてさ。いい匂いとかしてきてさ。ハーレムとかさ、憧れるよな。


「ごめん。気に障った? 別に馬鹿にして言ったわけじゃないから誤解しないで聞いてね」

 いや、また一瞬馬鹿にしたような表情に見えたのだが。


「それでね、山地さんその子をアフターに誘ったりして結構親密だったらしいのね。アフターって言うのは仕事が終わって一緒にご飯食べに言ったりすることなんだけど」


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