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「サンキューな。マジで助かるわ。姉ちゃんうるさくてさー」
やれやれ。
まあ手伝うって言っても、俺がメインで動くわけでもないし、ユースケもいるしな。なんとかなるだろう。
それにしても、ユースケのお姉さんって一体何者!? なんでこんな玖珂らむ子ちゃんのグッズ持ってんだよ。
「マジでありがとな」ユースケがこんだけ感謝してくるって事は、ユースケの姉ちゃんってよっぽど怖いんだな。
姉とかいう存在は憧れるけど、そんないいもんじゃないつーのは本当なのかもな。
「つーかさー、お前の姉さん、なんでそんな玖珂らむ子ちゃんのサインとか持ってるわけ? コネってなんだよ」
「俺も詳しい事は知らねえけど、もっといっぱい持っているような口ぶりだったぞ。お前が手伝えばもっともらえるんじゃねえ」
な、なぬっ!? 玖珂らむ子ちゃんグッズがまだまだ出てくる可能性大だとぉお!?
「欲しい! 他にもって、他にもなんかあるのか? まだ全部出しきってないってことか? プライベートお宝写真とかさ温泉に入る3秒前とか」
あーいかん、いかん。考えただけで、ゾワゾワする。つーかこの調子だと、いつまでもそれでつられそうな気がせんでもないのだが……。
まあ、こんなお宝がもらえるならいいのかも? なんてな。マジでこの色紙部屋に大事にかざっとこ。いや、鍵付き引き出しに大切にしまうことにしよう。
夜に俺とらむ子ちゃんが触れたこの色紙でお楽しみを――ムフフ。
だって、サインが書いてあるってって事は、この色紙のどこかに触れてるんだろう。そんなの両手ですべての面をスリスリするに決まってんじゃん。
つーか、頬ずりすべきか!?(←変態)
「そんなことよりさ。早見さんの裸もみれたりとかするんだよな。 それで、なんだけど、あのさあ、ここ、どれくらいのカップでどんな形か教えてくれないかな?」ユースケがニヤニヤしながら言ってくる。
この顔はやらしいこと考えているな。
「一体なんの質問だよ。お前は! この野郎」
「頼む。お前なんかその左手で授業中に沢山見てるんだろ。羨ましすぎるだろうが。頼む、教えてくれ」
「無理」
早見さんは学年一番の美少女で、頭も性格もいいで有名で俺たち男の間ではアイドル的存在である。
正直、俺だって早見さんの裸が見たいに決まっている。当たり前だろ。
だが、しかし、俺の心にも理性というものがある。それが俺の好奇心を抑制している。
もしもそんな事をした暁には、どんな顔をして早見さんと話したらいいのか見当もつかないだろ。
そんな事をしてしまったら、きっと罪悪感に苛まれるだろう。
正直なところ言うと俺も男だろ? いい能力もらったかもとか少しはあるよな。でも問題はこの力が周囲に知られたときなんだよな。
指田君のスケベ―とか見てもないやつに限って言ってきそうだしよ。
「分かったよ。じゃあ早見さんなんて贅沢な事は言わないからさ、あそこにいる女子でもいいからさー」と言うユースケの指さす方を見ると、そこにはクラスで二番目に可愛い女の子の姿があった。
「馬鹿かお前」




