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「なんだよ」

「その腹は一体どうしたんだよ。中年のおっさんみたいな腹になってないか。そういや最近太ったもんななお前」

「う~わ。まったく、お前は失礼な事を言うねえ」

「お前って臍の近くにホクロがあったんだな」

「……。それってあれだろ? 水泳のときとか風呂入りに行ったりした時とかで俺の裸チェックしていたんじゃないの。もしかして俺に気があるとか――うわ、自分で言って鳥肌が立ったわ」


――ガゴンッ


ユースケの頭を軽く殴る。

そんなわけがあるかい。

「誰が男の裸になんか興味があるんだよ」男の裸は汚いだろ。その点女性の裸は白くて柔らかそうで綺麗だ。

「じゃあさ、じゃあさ俺のお尻の間にもホクロがあるんだけど、どこにあるか当てて」

「なんだよそれ。お前のケツなんか見たくねえっつーの」

「まあそれもそうだよな」あたりめーだ。

「お前、右のわき腹にもホクロがあるんだな」

「お前」


「なんだよ。本当の事言って悪かったかよ」

「いつからそんな能力が使えるようになったんだよ」なんだ!? ユースケの目が輝いている!?

「だから今日だって。気が付いたのは今日の三限目」

「お前それで授業中あんな感じだったのか。 英語の時間だろう」

「よくみてるな」


「当てられてただろ。なんか変だと思ったんだよな。ところで、それってさー、俺が見ても見えるのかな」先ほどにも増してユースケの目は輝いている。

「さぁそれは分からん」

「じゃあさあ、じゃあさあ。見せてよその左手。俺にも貸してくれよ」俺の返事を待つことなくユースケは俺の手を持ち上げる。

「やめろって」ユースケが強引に俺の左手を引っ張る。

ユースケはどれどれ、と言いながら、「……って、ただの左手じゃねえかよ」そういうと俺の手をバッと振り払った。

「あたりめーだろうが! つーか、他の人には見えないんだな」

「お前今日学校で気が付いたって、お前一体誰の裸を見たんだよ。正直に教えろって」

「………」

「あ、女の子だろう」

「………」

「図星だな」

「………」

「それで、一体誰の裸を見たって言うのかね? 教えてもらおうか、ねっ文士ちゃん」

「それは」

「わかった! 野山さんだろう」

ドキッ。何故分かったんだろうか。


「いやそれはその、まぁ」

「やっぱりな。お前って分かりやすいよな。それで、どうだった? こっちの方は見た目通り大きかったの?」

「……」

 思い返していたら妙に恥ずかしくなって、身体中が熱くなってきた。


「言わないから教えろって」

「そ、そんなに見てないし。驚きすぎてそれどころじゃなかったし」


 そう言う俺の顔をジーッと冷ややかな目で見つめてくる。

 だってなんて言えばいいんだよ。正直に見たままに大きくて、その分、腹もでかかったがと、いうのか。

 そんなの言えるわけねえだろ。コイツに教えたらずーっと聞いてくるって事になりかねないからな。


「まあいい。そういう事にしておいてやろう。それでなんだが、姉ちゃんに会って欲しいんだけど、早めがいいらしくて、今日でもいいか?」

「いきなりかよ」

「頼む。俺の家に今から一緒に来てくれ」

「いや~俺、人見知りするし」

「大丈夫だって。俺には怖い姉ちゃんでもお前には絶対優しいから」ユースケってお姉さんの事になると、一生懸命というか真剣な感じだよな。

 姉弟関係がうまくいっているということなのか?

「……」しかし、そう易々と答えれないよな。

「頼む。この通り。残り半分の玖珂らむ子ちゃんの写真渡すから」必死過ぎるな。つーか玖珂らむ子ちゃんの写真が頂けるとなればな。どうせ数分で解放されるんだから、そう思えばお安い御用か。

「仕方ねえな。今日だけだぞ」

「文士ちゅわん。さすが俺の心の友よ~」

「ジャイアンの言葉使うなって」

ユースケは安心したようで、床にゴロンと転げた。



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