変わらない生活・変わる俺
意識が混濁する。視界が揺れるが、気持ち悪くない。
意識が沈む直前、声が聞こえた気がする。それは自愛が篭った優しい声で…。
「ごめんね」
どうして謝るんだろうか。きっと、眼が覚めたら、いつも通りの朝を迎えるんだろうから。
「……さい…。……なさい。起きなさい!」
「痛ァ!」
燦々と窓から射し込む太陽の光が眼を焼く。眠い…。それに、背中が痛い…。
ベッドで寝ている俺の横にはハエ叩きを持った女性、もとい母さんが仁王立ち。何を見ているのだともう一叩きされた。
「朝からなんだよ…。もう少し寝させてー」
「早く起きないと学校に遅刻するよ! ほら、早く起きろ!」
「えー…って、もうこんな時間!? なんで早く起こしてくれなかったんだ!」
母さんとの朝のやり取り、どれだけしてきただろうか。だけど、もう少し母さんの感情は柔らかかったのは気のせいだろうか。いや、昔からああだった。
「行ってきます」
家から出て、自転車で学校へ向かう。
朝、八時。一人で登校寂しいです。
まあ、いつも一人なんだから寂しいもヘッタクレも無いんだけどさ。
一時期、女の子と一緒に登校できたらいいな。なんて思ってたけど、一人の気軽さと比較すると気持ちは折れた。それが、三年前の中二の時だ。今では高二で彼女無し。…やっぱり寂しいな。
俺が通う市立高校は共学で、男子よりも女子の方が少し多い。総合学科である。