言語チートについて。伏線をはりたい。
やっと普通の長さです。
幼なじみ母が桃を切ってきてくれた。
私達は床に座ってもそもそと桃を食べる。
うん、美味しい。
「ピンクってさぁ、撫子のことなんだぜ。」
桃を見て思い出したのか、ふと幼なじみはそう言った。
「撫子色って言った方が情緒があるね。」
「まぁな。そういや俺さぁ、昔クレヨンにだいだいって書いてあるのが不思議で、幼稚園の先生問い詰めたことあるんだよね。」
「覚えてる。」
「マジか。」
「みかんのことだよって言われてから暫く、頑なに橙色のことみかん色って言い続けてたよね。」
「それは覚えてない。」
「え、意外。」
我が幼なじみは小さい頃の記憶がかなりはっきりありそうなイメージだった。
…というか、オレンジ色を表す言葉って柑橘類しかなくないか?
うーん、こいつに聞けば分かるけど、絶対話長いからなぁ…。
「あー、で、何を言おうと思ってたかっていうと、自動翻訳ってあるじゃん。」
ああ、結局そこに帰着する訳ね。
「トリップというよりは召喚でだね。」
「あれって、ほぼタイムラグなしに翻訳して、相手の現地の言葉をミュートして、肉声に近い音で言語を変えて伝えるってことを半永久的に付与する術じゃん。そんなの組み込みつつ違う次元から生物を召喚する暇あるなら、有効な魔法の一つでも作っとけよ。」
「確かに。」
「あと問題は何処まで訳出の範囲なのかってことだ。それこそ撫子色を"ピンク"っていう新しい語で表すのか。」
「意味が通らないなら訳出すると思うけど…そもそも同じ花あるの?」
「近いものを割り当てることはできるはず。召喚された奴が生きてるってことは環境自体にそう差はないはずだ。…他の名詞の場合はどうだ?マーガレットさんとか。」
「マーガレットさん?」
「"お菊さん"になるかも。」
私は思わず吹き出した。
「それは酷い。…じゃあ固有名詞以外を訳すんじゃない?」
「成る程…ではくっついた形…焼き鳥なんかはどうだ?"焼いた鳥"か?それとも"ヤキトリ"か?」
「そーいえばなんかのラノベでヨシェナベってあったよね。」
「ああ、そのまま用いられているな。だがあれは日本を示すキーアイテムの一つだからそのまま使われていた訳で…。俺達が考えるのは、変な話フラグを伴わない場合だ。」
それ、物語である以上無理だよ。