調味料について。イタリア人がシェフから銀行屋にジョブチェンジする瞬間。
「俺はマヨネーズが嫌いだ。」
「うん知ってる。」
何年幼なじみをやっていると思っているんだこいつは。
幼なじみは出鼻をくじかれたらしく、少し口ごもった。
「…良く、マヨネーズ作ってさぁ、現地人が\うまいっ!/テーレッテレーってなるじゃん。あれが俺的にアウトな訳。」
"良く"はないと思うぞ、うん。
「あー、その人がマヨネーズ好きとは限らないもんね。」
幼なじみは神妙な顔付きで二度三度と頷いた。
「というかさ、仮にマヨネーズで成功したとするじゃん。俺開発者じゃん。"うちのマヨネーズはどうですか?"ってアドバイス求められるじゃん。味見とか絶対やだ。Never.」
「嫌いって言ったら言ったで何故開発したしってなるしね。」
まぁ、作ってから本人が後悔したものなんて、この世にいくらでもあるだろうけど。
「そう!そして悔しいことに奴は確実に人気が出る。今までマヨネーズ抜きにして下さいなんて言わずとも良かった天国が、地獄に変わる瞬間だ…。」
ギリィッという効果音を付ける幼なじみは、相変わらず見ている分には面白い。
「そういえばこの前別盛でって言ったのに忘れられてたよね。」
「あの店員マジ死ねば良いのに。」
突然のガチトーンは心臓に悪いから止めて欲しい。
「あっ分かった、卵に水中油滴型エマルジョンがあるのが問題なんだ。」
「日本語でおk。」
「つまりだなぁ、魔力チートだった場合。世界に降りたった瞬間に卵から乳化する要素を抜いて仕舞っても構わんのだろう?という事さ。」
「大問題だよ。」
「因みに、オーロラドレッシングとかはどうなの?」
「んなもん塩かけとけ塩!!」
「うわぁ辛辣。」