第四話
会うたびに体を重ねていたら、すぐに飽きられるよと彼女が言った。それはどちらかと言うと、男が言う言葉で、苦笑いしながら少し首を傾げた。
僕は思わず、そんなことはない、抱くたびに……と後の言葉は言わずに、そのまま事を済ませた。
女性というのは、時として不可解な行動に出る。もう駄目だ、嫌われてしまったと落ち込んでいたら、何事もなかったかのように彼女から明るいメールがくる。
そうかと思えば、そっけない態度や、よそよそしい素振りで、不安にさせ、僕の精神を適度に苦しませてくれる。この適度がまた厄介で、僕にとっては良くも悪くも丁度いい。多分これがないと、飽き性の僕にとってはモチベーションが保てないだろう。本音はどうかと尋ねられれば難しいが、正直、体調にもよる。
男は一度、体の関係を持った女性にはもう興味がなくなるとか、よく聞く話だけど、それは好きな女性を抱いていないだけで、本当に好きな女性を抱くと、もっと相手の事が好きになる。それは確信している。ただ、体の相性もある。これが、実は重要で、どんなに気持ちの上では好きでも、体の相性が最悪ならば、それはただの仲の良いお友達となんら変わらない。恋人には決してなれないだろう。
これが、また男と女の難しい所である。体の相性だけは、どんなに努力しても合わないものは合わない。
気持ちが、まだあやふやでも体を重ねれば、あやふやな気持ちも揺らいでいく……。
そうかもしれないが多少、お互い気持ちがないと、まずその確かめる行為にまで及べないのが、また難しい所である。