第4話 女神の異世界事情
『先ずは天音さん。アナタに救って欲しい異世界なんですが、アルタイル銀河アルファ27に属する恒星群の一つ。ヘブンズ53太陽系第三惑星、ヒューズ2という惑星がソレになります』
「惑星って、異世界というより異星の話じゃない?SFでしょ、SF」
『SF?創作の話でしょうか?でもヒューズ2は間違いなく実在し、その場所は地球のある宇宙とは別次元になります。また物理的にも途方もなく遠く光の速度でも数十年。決して辿り着けない距離にありますから異世界と表現しました』
「そんな遠くから遠路はるばるご苦労さま。何か長くなりそうだから寝ていい?」
『駄目です?!布団を敷かないで下さい!』
「あ、何か布団が欲しいと思ったら出た。やっぱりコレって夢だよね?」
『前回同様天音さんは就寝してますが、これは夢でなく現実に私がコンタクトを取って話ているんです。って天音さん?寝ないで下さい!!』
「あ?ごめん。せっかくだから布団の寝心地を確認したくて。うわお、これ東川の最高級羽毛布団だよ。触り心地最高!」
『天音さん、一万円受け取りましたよね?ちゃんと話を聞く約束でしたよね?!』
「うん、何かごめん」
『はあ、こうしてコンタクトを取るだけでも多大な権能が消費されてるのです。どうか真面目に聞いて下さい』
「うん、了解」
すう
女神さんが溜息混じりに手を振ると、映像が流れて一つの惑星をクローズアップした。
説明のヒュー⋯⋯何だっけ?
衛星写真な地球そっくりなソレは、月が7つも回っている明らかに地球とは違う惑星だ。
やがて地上映像に切り替わると森があって湖と高い山、そして草原の果てに城壁に囲まれた砦?みたいな町があった。
道にはデカいダチョウみたいな鳥が馬車を引いて、オレンジ屋根のレンガ造りの家が沢山並んでいる。
スイスの地方都市かな?
でも中央のメインストリート?には、かなりの人出の賑わいがあった。
その行き交う人々は人間ソックリだけど、私達とは明らかに違う特徴を備えていた。
その人々だけど、やたらに耳が長い???
ラノベやアールピージーによく出てくる耳長な人にソックリだ。
瞳の色も青や緑で千差万別。
肌の色はだいたい浅黒いけど日焼かな?
一見だけど他の人種は見当たらない。
単一民族?
「やっぱり異世界じゃなくて宇宙人の世界だよ。人間が居ないもん」
『多少の外観は違いますが、彼らと天音さんとは組成的に大差は無いですよ?』
「科学的に違わないって云われてる気がする」
『人種の違い程度はありますが概ねヒューズ7の人間は皆こんな感じです』
「肌の色なら中東やドバイ?でも女性の中には稀に白い肌の人もいる?髪は金髪か茶色で赤色もあるけど日本みたいな黒髪は居ない。北欧と中東を足して2で割ったようなもの?」
どうやら異世界ヒューズ2?の人間は皆一様に耳がデカくて長くて浅黒い肌が主体のようだ。
服装は至って古風でシンプル。
1枚の布に頭を通して着る貫頭衣だっけ?
昔のヨーロッパの衣装とかかな。
よく知らん。
あと馬がデカいダチョウとか、なんかアニメにあったような気がするん?
『文明レベルは残念ながら地球より遅れてます。地球でいうところの中世レベルでしょうか。武器は剣や弓しかありません。でも大量破壊兵器が無い分、地球より平和な世界だと私は思ってます』
「誇れるのがソレしか無いって事じゃない?流石異世界の女神さま。自分の世界を擁護してんだ?だけどさ、それって文明的に田舎って事じゃないの?」
『う、私は都会より田舎が好きなんですぅ!』
「うん、負け惜しみ聞こえる」
『違います!文明が遅れてるのは、まだまだ伸びしろがあるって事なんですよ!』はぁはぁはぁ
「冗談たがら。そんな息切れしながら言わなくても馬鹿にしてないよ?」
『本当ですか?天音さん』
「文明の優劣なんて意味ないじゃん。結局そこに住んでる人達が幸せかどうかでしょ?どんな環境でも幸せなら私はソレでいいと思うよ」
『天音さん、有難う』ガバッ
「うわっ!?ちょっ、アンタ泣いてるの?!抱きつかないでよ。あと鼻水付けんな!」
『連れないですぅ、天音さん』
「誰だって鼻水付けられたら怒るわ!」
うん、しょうもない。
こんなのが女神なんてやっぱり夢を確信した。
だけどなんか憎めないんだよね。
『天音さん、本当に有難う!』ぐすっ
ぎゅうっ
「は・な・せーっ!!」
女神に腹を押されて息ぐるじい!
やっぱ話聞くの、間違いだったかも。
❇❇❇❇❇❇❇
ゴゴゴゴゴゴゴゴッ
それで映像の場面が変わって目の前に広がるのは一面が荒野というか焼け野原?な情景。
アチコチに点在する瓦礫から燻る炎が見え隠れし、そこから発生する黒煙が黒い霞を形成かな?
それが全体にスモッグ化して景色を形作っているみたい。
うーん世紀末を感じるわ。
「ココはポンペイか何か?火山が爆発したとか」
『そんな単なる一災害に過ぎない話なら良かったのですが、これは世界全体がこうなってしまった、まさに世界の終わりを見せている状況です』
「こうなってしまった??」
そう言い終わると女神は映像をバックに真剣な表情で振り返り、改まってギリシャ彫刻のようなポーズを決めた。
んん??
『異世界の民、天音さん。ご理解されてると思いますが、私の異世界の女神は俗称。本名は《フォルトーナ》と申します』
「ああ、本名があったのね」
『う、まさか私の名前が《異世界の女神》と本気で信じてたとか?』
「うん、夢だからそんなもんかと」
『何度もいいますが、これは夢などではなく』
「とにかく話進めて?私が寝ちゃう前に」
『既に布団に潜り込んでるじゃないですか?!』
「あ、ごめん。つい寝心地が良くて」
『その布団は没収します』
ぱっ
「あ?東川の羽毛布団が消えた??酷い!」
『酷いのは天音さんです。一万円渡したのにちゃんと聞いてくれてない』
「ちゃんと聞くよぅ」
『なら正座して下さい』
「えーっ?仕方無いなぁ」
こうして異世界の女神改め女神フォルトーナは、私に話の核心を話始めたのだった。
それも私に正座させて。
何か不条理。




