第12話
『『ふう、今回は大出血サービスです。だから天音さん⋯⋯⋯どうか⋯⋯⋯私の願い⋯⋯を』』
異世界の女神⋯⋯うん、何かめちゃくちゃデジャヴ感があるわ。
え、出血サービスって、そういう事?
しかもただの夢の話じゃなく、現実の出来事だった?!
「どうやら思い当たる事があるようだね」
「あ?い、いえ、よく分からなくて」
「そうかい。けど気にすることはないよ」
「え?」
「神様ってのはね、凄く気まぐれなんだ。人間と同じで気分次第。良いお告げもあればイタズラに訳の分からない事も言う。お告げ自体も夢の中だから、それが現実かどうかは受け取った者がどれだけそれを信じられるかになる。受け取っても行動しなかったらお告げは無かった事になるし、行動しても何も起きない事も多いのさ。今回はアタシの行動で神様のお告げが現実になった。でもたまたま偶然が重なった結果かも知れない。もしかすると神様は、そうやってアタシらをお試しになってるのだろうね。もっと言うと人生の試練は全て神様のお試しかも知れない。そんなだからアタシらは何も気にする必要はないのさ」
「⋯⋯⋯わかり、ました」
❇❇❇❇
それから暫くは女神の夢も見ず、穏やかな時が流れた。
あと、本浄院雅子さんとの交流の中で、色々と私達は彼女からの支援を受ける事となっていた。
例えば私達の身元引受人になってくれたり、チビ達の送り迎えを肩代わりしてくれたり。
それで実は彼女、とあるアパレル化粧品会社の会長さん。
アロハシャツや変なヘアスタイルは会社のテスターで使ってたみたい。
普段はちゃんとした?レディーススーツを着て、男性秘書を伴ってしっかりとした商いをしてる。
因みに名古屋コーチンも高騰する卵市場を狙い養鶏場を経営する多角化を目指していて、今自宅で飼っていたのは独自品種改良したコーチン達なんだそう?
『ゴゲゴッゴーッ!!』
でもその身の上は、早くに旦那と子供を海難事故で亡くして天涯孤独な身の上。
その事もあって義弟達に対する彼女の思いは格別で、丁度亡くした子供が義弟達くらいの歳だった事もあり、それが身元引受人になってくれた一番の理由だったらしい。
以来すっかり家に入り浸るようになってしまった彼女は、毎日名古屋コーチンの卵をお裾分けと称して持ってくる。
持ってくるのは構わないんだけど、いい加減私の睡眠不足を何とかして欲しい。
『ゴケ?!』
(天音に噂され無意識に反応したコーチン雄鶏)
それからあの、ゴミ箱に丸めて捨ててた宝くじ。
調べてみたら何と一等の十億円が当たってた。
いやホントにビックリだよ?!
もちろんその日は学校を休んで銀行に直行。
ビクビクしながらも手続きに臨んだ。
何故か支店長が出てきて十億の現物を私に披露してたけど、最後は涙流しながらそれに抱きついていた。
一体何がしたかったんだか???
直ぐに滞納してた光熱費やら保育園への支払い、各種税金と学校関連やその他モロモロ。
一切合切支払ったさ。
当然ながら残ったお金は預金したよ。
そりゃあ大金が残ったけど、銀行の口座開設で全てを通帳に入れられた。
未成年での口座開設は心配だったけど、マイナンバーカードがあったから身分証明もスムーズ。
一応学生証も見せた上で、ばっちり口座を作れたよ。
それはそれは、青天の霹靂のような怒涛の一日になったんだ。
❇❇❇❇
『天音さん、ではでは、私のお願いを叶えて頂けますか?』
「はあ、久方ぶりの女神様のご登場。ほんとに突然過ぎるわ。で、あなた、本当に異世界の女神様だったんだね」
『最初から言ってました。信じて無かったんですか!?』
「夢だと思ってたからさ」
『あんまりです!』
「なんか、ゴメン」
『うう、命の恩人で大金まであげたのに、返す言葉がゴメンだけなんて⋯⋯』
「だってこれしか言えないじゃん」
『天音さん、もしかして私をディスってます?ディスって反応を楽しんでますよね?』
「そんなつもりはないけどって、ちょっと拗ねないでよ?!」
『うええーん!こっちは世界が滅ぶ瀬戸際の中、慣れない神様営業までして八百万な神様達に天音さんの運命の改変をお願いした上、多大なリソースを支払い助けたんですよ。お金だって途方もない額を引き寄せる運を皆様方にお願いした。その挙句がゴメンだけなんて!』
「あ、うん、やっぱりゴメン」
『くうぅっ、その天音さんの鬼畜なとこ、中々に堪えますぅ』
「急に胸を押さえて、その、大丈夫?」
『だ、大丈夫です。全然気持ちがこもってないのも天音さんらしくもあります』
「ちょっと怒るよ」
『とにかく!払うもん払ったんですから、今度は天音さんが返すという事で了解でいいですね』
「ゴメン⋯⋯」
『はい、了解と⋯⋯⋯え?』
「やっぱり救世主は受けられない。だからゴメン」
『っ⋯⋯⋯⋯⋯理由を、聞いても?』
「もちろん戦えないという事もあるし、あの時見た邪神の凄まじさに恐怖してるのもある。だけど⋯⋯一番の理由はチビ達の側を離れるのは駄目だという事。私は桜母さんに立てた誓いがある。弟達を守るって誓いだ。それは弟達から離れたら駄目になる。だから少なくとも三人が自立出来る年齢までは、私が側に居なくちゃならない。だからアンタの願いに応えられない。なのでゴメン、なんだ」
『離れなければ受けてくれるのですか?』
「そういう事になる、のかな?だけどその質問に意味は無いよ、ね」
『ふっふっふっふっ』
「め、女神、さん??」
『ふっふっふっふっふはははは!!』
「うわっ、女神さんがなんか壊れた!?」
『これが笑わずにいらⅪ∆Ⅺ∇Ⅺ∞れょうか!』
「日本語訳までおかしくなってるぅ?!」
『天音さん!その悩み、私が一括で解消してみせましょう』
「あの、何か流行りの変なネット広告みたいになってるんだけど⋯⋯?」




