08S.聖母樹(バージン・ツリー)
「妖精アイリス」が、ノエルに囁きました。「さぁ貴方が〝アンバランスの解消″を、するのです。」彼は「自分の望みが、達成されるときが来た」と、思いました。その日を境にして「妖精アイリス」が、消えました。そして「蓮沼シロ」にも異常が、現れました。今まで彼女の表面に出たことが無かった「ホムクロンのロザリー」が、現れました。シロは、完全に「ロザリー」に、成りました。シロの家には、ロザリーとノエルの「2人だけ」でした。
ロザリーが、囁きました。「貴方はノエルね。久しぶりね、数百年振りかしら。だけど私達には「時間の概念」は、関係ないわ。私は今でも、貴方のことを、覚えて居るし、こうしてあれからの続きが、出来るの。凄いわ、楽しみだわ。私は、先に逝ったけれども、貴方はずっと、私のことを、思ってくれたのね。凄く嬉しかったわ。今でも私は、貴方が好きよ。大好きよ。」と彼女は、初めてノエルに、語り掛けました。
すると「ノエルの転生態」も、言いました。「やっと君に会えたね。また会えた。君は間違いなくロザリーだ。僕のロザリー。君の寿命は、短すぎたのだ。僕は、あれから調べたのだ。そして〝サキュレス(淫魔)″のツガイに成ると、寿命が一緒に成ることを、知ったのだよ。」
「そして〝ジェンダレス″は〝サキュレスの変異態″で有るから、これも寿命が均一に、成ることを知ったのだ。もし君と、やり直すことが出来たなら、僕は必ずそうすると誓って、逝ったのだ。そうしたらアラル様の元に、連れて来られて僕は、ここに転生することが、出来たのだよ。君が先に転生した、この場所に。」
「そしてアラル様は、僕に言ったのだ。〝その気概を見せて見ろ″と、だから僕は、この世界ですることは、只一つ。〝僕等の寿命の均一化だ″その手段は、バージン・ツリーに、成ることなのさ。僕には〝神界のアンバランスの解消″なんて分からない。しかし、このチャンスをくれたシロの為にも、僕は実行するだけさ。」
ノエルは、そう呟くとロザリーを、見ました。彼女は嬉しそうに、頷きました。暫くしてロザリーが、言いました。「ねぇノエル。お風呂に入りましょう。私が、綺麗にしてあげるわ。いつものように、念入りにしてあげるわ。」ノエルの顔が、輝きました。こうして2人は、お風呂に入りました。
「無性魔人ジェンダレス」は「サキュレスの変異態」なので「バージン・ツリー(聖母樹)」に、成るまでに「淫魔の栄養補給行為」が、出来ました。これは、互いの体液を吸収して、水や食料の無い「異次元空間」に於いても「淫魔が単独で、生きて行ける」と言う、優れた「淫魔の生存能力」でした。
ロザリーは、筋金入りの「バイター(風俗嬢)」でしたので「男型の扱い」が上手くて、その気にさせる天才でした。その日からシロの小さな家では、2人が籠って何日も、掛けて「淫魔のネトリ」に、励みました。その神聖な行いは「無性魔人ジェンダレス」が「聖母樹」に、生まれ変わる為の行為で有り、実を結ぶまで、行われました。この「ジェンダレスのツガイ」が「バージン・ツリー」に、変わるときが、この世界での最終目的で有る「アンバランスの解消」に、繋がりました。
一般的な「メイジン・ツリー(魔人樹)」は、種から生まれました。種が大地に蒔かれると、地中に根を張り、それが育って大樹に、変わりました。そして「ツリーマン」と言う、実を付けるのです。しかし、同種で有る「バージン・ツリー」は、少し違いました。それは希少種で有り、この樹は、この「世界の中心」に、成りました。そして、この「世界の象徴」に、成るのです。それは単独の「雌雄の生物」から、生まれました。それは1組のツガイのみが、成ることが出来る「神聖な魔人樹」でした。
その「ツガイ」は、ツリーマンの中では唯一「生殖器」を、持ちました。そしてそれが「淫魔のネトリ」を、続けることにより、生物のように、女型の身体の中に、生命が宿りました。この「妊娠した状態」に、成ることが「バージン・ツリー」に、変わる「最初の段階」でした。
そして妊娠した女型を、男型が特定の場所まで、運ぶことにより「バージン・ツリー」が、生まれる場所が、決まりました。そしてそこが、この「世界の中心」と成り、そこが、この「世界の象徴」に、成るのです。この「バージン・ツリー」こそが、新たに出来た、この「中央神アラルの世界の象徴」でした。
そして選ばれた「雌雄のツリーマン」が、白銀に輝く「聖母樹の大樹」に、成るには「母樹の宝石」が、必要でした。そのアイテムこそが、彼等を最終的に、それに導くことが、出来たのです。その「母樹の宝石」は、既にシロの手元に有りました。それは、彼女のペットで有る「ネコ科のマーベル」が、何処かで探してくれました。あの何かの宝石のような、綺麗な「白銀に輝く石」こそが、それでした。
そしてこの「中央神アラルの世界」に於いて、この世界の中心で有り、象徴と成った「聖母樹」が、誕生することにより「神界のアンバランスの解消」が、されることに、成りました。この世界の象徴で有る「神の弥次郎兵衛」は、また少し右側へと、軌道修正されることに、成るのです。それが「中央神のインカ(化身)」で有る「蓮沼シロの使命」で有り、協力者で有る「ノエルとロザリー」の、願いでも有りました。
「ロザリー」は、やがて子供を宿しました。ノエルの子供でした。ロザリーは、とても喜びました。ノエルは「白銀の宝石」を、ロザリーに預けると、彼女を抱えたまま、以前に、目覚めたばかりの「蓮沼シロ」が、見たと言う、幻の「聖母樹」が、建って居た場所まで、行きました。その場所は、眠りに就いたシロが、横たわって居た場所で有り、彼女が見た大樹とは、実は自分の「未来の姿」で、有ったのです。
ノエルは、淡々と「自分達の望み」を、叶える為に、実行に移しました。そして世界の中心で「世界の象徴」に、成ったのです。「ノエルとロザリー」は、寿命が一緒に、成りました。以前のような、彼等の「寿命のアンバランス」が、解消されました。それは、小さなことかも、知れませんが「それが大きな、この世界の解消」に、成ったのです。
「ノエルとロザリー」の「バージン・ツリー」からは、定期的に、たくさんのツリーマン達が、生まれました。彼等は、そのままノエル達の子孫に、成りました。彼等には、生殖器が無く、自己繁殖が出来ませんでした。ノエルとロザリーの「ツリーマン」は、時々「白銀に輝く民」と、成りました。
彼等は、取り分けて戦闘能力も、特殊能力も有りませんが、特殊な護身術を、身に付けました。彼等は「中央神の祝福」が強い為に「災難が軽減される」と言う、守護を持ちました。即ち大難が中難へ、中難が小難へ、そして小難が無難に、成りました。彼等は後に「シロン族」と、呼ばれる民族を、形成するように、成りました。
「バージン・ツリー」と、成った「蓮沼シロ」に、ロザリーが、話し掛けて来ました。「シロちゃん。シロちゃん。私達に協力してくれて有難う。私はノエルと長く、ここに残りますので、後のことは大丈夫です。シロちゃんは、次の段階に進んで下さい。次は、貴方の仲間で有る三位一体神様の、インカ様のお手伝いです。インカ様達が、貴方を待って居ます。・・・。ロザリーの声は、いつの間にか「妖精アイリス」の声に、変わりました。