05S.シロの両親
「妖精アイリス」が、言いました。「シロの両親は〝右側神の世界″に、居ます。」Mゾーンに、隠された「神の城・ホリエナ城」は、最後に「原初の種」に、変わりました。そして、その種は「全知全能の神アラル」の手に委ねられ、相応しい星の大地に蒔かれて、順調に発育しました。
「原初の種に成る」と言う「デュデス(役割)」を、終えた蜃気郎とホタルは、その後、自分達の世界に戻りました。即ち蜃気郎は「左側神の世界」で、復活してホタルは「右側神の世界」で、復活しました。そして、彼等には「インカの使命」は、無く成りました。しかし三位一体神は、3体で1つを形成する存在の為、違う世界に存在しても、引き合いました。
特に右側神は、始めに左側神から分離した存在の為、左側神に戻ろうとする習性を、持ちました。そして「インカ(化身)」は、次元を超える能力を、持ちました。インカは、自分の世界に居ると最強ですが、他の世界に行くと、その世界のインカに、服従することに、成りました。
前回で「鳴神蜃気郎」に、従った「城ヶ崎椿郎」が、女型属性と成り、蜃気郎に従ったのは、彼が別世界に、移動したからでした。そのときは「神界のアンバランスの解消」が「左側神の世界」で、行なわれることに、成ったので、必然的に椿郎が、自分に取って不利な「左側神の世界」での、活動に成りました。
この物語の発端は、最初の右側神で有る、サタナスの所有する「キューブィ」の内部世界から、始まりました。そこの世界の始まりは「キューブィ第1世代」と、呼ばれました。そこには、まだサタナスが、居ないので後に、この魔神が創ることに成る、要の「淫魔」が、存在しませんでした。
しかし、この第1世代には「右側神の世界」の未来と、繋がりました。その為「淫魔の予兆」で有る「スドレス(疑似淫魔)」が、現れました。この「スドレス」と言う、呼び名は、サタナスが存在しないときの「淫魔の総称」でした。
「サキュレス」が「スドレス」と、呼ばれた時代は、それよりも、古い淫魔の総称でしたので、それよりも原始的な為、性欲が強くて、変態的な性癖を多く持つ淫魔が、大部分を占めました。そこは、差し詰め「異常性欲者の世界」でした。
「右側神の物語」が、猟奇的なものが多いのも「原始淫魔スドレスの影響」でした。「三位一体神」のインカの中でも、1番性欲が強いのが「城ヶ崎椿郎」でした。インカには、属性が2つ有り、それは「男型と女型」でした。「右側神のインカ」の男型を「城ヶ崎椿郎」と言い、女型を「城ケ崎ホタル」と、言いました。それは「左側神の世界」のインカにも有りました。「左側神のインカ」の男型を「鳴神蜃気郎」と言い、女型を「鳴神由美子」と、言いました。
そしてそのことは、中央神にも当て嵌りました。「中央神のインカ」にも、属性が2つ有りました。しかしその2つは、無性と女型のみでした。男型が、有りませんでした。そして無性の存在を「蓮沼武史郎」と、言いました。そして女型の存在を「蓮沼シロ」と、言いました。
この世界は「均等」を、意味する「バランス」が、非常に重要な意味を、持ちました。それを人間の眼で見ると、中央神を真ん中の軸として、左右神が皿のように、サイドに連なり、世界がバランス良く、均等を保って居るように、見えました。前回のインカの活躍の場は「左側神の世界」でした。
今は、その舞台が終了したので、今度の「新しい舞台」が、始まるとすれば、そこは「右側神の世界」に、成りました。その世界では、固有のインカで有る「城ヶ崎椿郎」が、強く成り「鳴神由美子」が、その世界に出現すれば、彼に従うことに、成りました。「妖精アイリス」は、不安そうに「由美子の心配」をしました。
その話しを聞くと「蓮沼シロ」も今度は、女型に成るで有ろう「鳴神由美子」のことを、心配しました。しかしシロには、この世界で「やり遂げる使命」が、有りました。その使命とは「神界のアンバランスの解消」です。彼女はまだ、その糸口を知りませんが、何かのときには「由美子のことを、庇ってあげたい」と、思いました。
「鳴神蜃気郎」は、長い眠りから目覚めました。ここは、蜃気郎達が暮らした「左側神ミカエフ?」の世界でした。この世界の魔人類達は、思春期を迎えると、生まれた時とは、違う性に変りました。蜃気郎は、男子として生まれたので、今は思春期を迎えて、女子に成りました。女子と成った彼女の名前を「鳴神由美子」と、言いました。
彼女の隣に寝て居たのは、蜃気郎とは逆パターンで有り、元女子で有ったが、今は大柄で、筋肉質な浅黒い男子に、変わった「城ヶ崎椿郎」でした。彼等は、この世界では「ツガイの相互補完」の宿命を、持ちました。
由美子は、隣で寝て居る、椿郎の姿を見ると、恐怖を感じました。「早く、彼の元から離れないと、大変な目に遭うだろう」彼女は「先に目覚めて、良かった」と、思いました。由美子は、態勢を整えると、彼から逃げようとしました。すると後ろから、椿郎の大きな手が、由美子の細い足首を掴みました。「何処に行くのかい。由美ちゃん。」と椿郎は「変質者の目」を、彼女に向けました。
彼は、由美子の片足首を掴むと、ニヤニヤしたまま、足を高く掲げました。由美子は、必死に前を隠しながら、椿郎に言いました。「トイレに、行こうとしただけよ。」椿郎は、何かを呟きましたが、彼女には不明の言葉でした。由美子は、態勢を整えると、取り敢えずトイレに向かいました。振り返ると椿郎が、後を付いて来ました。
蓮沼シロは「妖精アイリス」が、冗談を言えるタイプではないことを、知りました。彼女の言って居ることは「多分真実だろう」と、思いました。妖精の口から、出た言葉で有る「蜃気郎とホタル」は、多分自分自身が、思い出せないで居る「ここで目覚める前に、起きたことに、起因して居るのだろう」と、思いました。
「妖精アイリス」が、彼女にヒントをくれたのです。その辺りの記憶を、彼女が掘り返せば「失った過去の記憶を、自分のものにすることが、出来るかも知れない」と、思いました。
「妖精アイリス」は、いつものように「無表情な顔」でした。彼女本来の「デュデス」は、何だったのでしょうか。「中央神アラル」の言葉を直接、シロに伝えることの他に、彼女の両親の「その後」の続きを、シロに伝える為に、ここに居るのかも、知れませんでした。またシロはアイリスが、ノエルに「原初の種」について「種が蒔かれて今は、順調に育って居る。」と、言うことを、話して居るのを、聞きました。
「原初の種」って何でしょうか。シロは、過去の記憶を失う前に、何かとても重要な事柄に、関わって居たような、そんな気がして成りませんでした。自分は今ここに、居ましたが「自分が居ない場所では、まだ何かの続きが始まって居て、過去の自分が関わって居たことが、実は何もまだ、終わって居なかったのではないか」と、思いました。
シロが知らない処で、彼女の世界と並行するように、何かの物語が、始まりました。その内容を、この「妖精アイリス」は、シロに変わって把握することが、出来ました。シロは知って居ました。中央神は、左右神から生まれた、未来で有り「最新の神」でした。中央神は、左右神を管理して、それを導く存在でした。
シロは何となくですが、ただ漠然として自分が、この世界に存在して、これから何をすれば良いのかを、少し分かったような、気がしました。或いは強制的に、気付かせてくれたのかも、知れませんでした。そしてそれが「神界のアンバランスの解消」を、することに、成りました。