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04S.魔獣樹の獣達

シロ達の世界に、新しい樹が現れました。その樹は後に「ビースト・ツリー(魔獣樹)」と、呼ばれました。「メイジン・ツリー(魔人樹)」とは、別種のもので有り、その樹は、この世界に於いて魔人では無く、主にこの世界のツリーマン達が、関わることが多く成る「小型魔獣」を、実らせることが、出来ました。


この樹から、生まれる魔獣は、全部で4種類有りました。その内訳を、単純に言えば「犬と猫と鳥と蜥蜴」でした。何処かで聞いたことが有るような、組み合わせでした。この魔獣達も、地中に張り巡らされた、魔獣樹の根の一部から個体が芽吹いて育ち、誕生前に自分の力で、根の被膜を破り、外界に出ました。鳥系は、生まれるときには、既に成鳥と成り、生まれました。そして生まれてから、僅か数時間程で、空を飛びました。


犬猫系は「子供形態」で、生まれました。誕生の際は、一部の犬猫系は、ツリーマン達が、自分のペットとして、連れ帰る場合が多く、有りました。犬猫系も生まれた頃は、魔獣樹の根の先端部分から滲み出る、樹液を飲んで育ちました。魔獣樹が、出産の時期を迎えると、樹の低めの外皮から、管のようなものが、たくさん現れて、先を争うように「犬猫系の子供達」は、そこから出る樹液を、飲みました。


シロの世界に、新しい仲間達が増えました。この魔獣樹から生まれた各個体は、人間時間で言うと7~8年周期で、この世に誕生しました。寿命は、各個体平均で10年位でした。シロとノエルは、動物好きのことも有り、この4魔獣全てを、飼いました。


この小型魔獣達は「主に、シロ達ツリーマンのペットとして、この世に創られた。」と「妖精アイリス」が、教えてくれました。この魔獣も「ツリーマンの一種」でしたので、自己繁殖は、出来ませんでした。魔獣樹の根から生まれて10年位生きて、死ぬと早々に、土に帰りました。


蜥蜴のようなものは、人間の世界に居た「イグアナ」のような姿でした。体には鱗が有り、それは魚類のものと同じでした。魚類の鱗が有るので、その魔獣は、水棲生物でした。この世界では、まだ誰も踏み込んだことのない、水中での生活が出来ました。体も大きくて、犬猫並みの大きさが、有りました。


シロは、この蜥蜴が、お気に入りで、1匹捕獲すると「イグアン」と、名付けて可愛がりました。このイグアンは、カメレオンのように体表を変えて、自分の姿を見えづらくすることが、出来ました。この蜥蜴は、現時点では、まだ完全に姿を消すことが、出来ませんでした。


しかし何世代か後の種には、完全に姿を消せる個体が、現われるように、成りました。また或る個体からは、毒を持つ種も現れました。これら4魔獣達は、何処かの世界のものを、真似て創られたような存在でした。


この「イグアン」は、知能も高いようで、自分を可愛がってくれた、シロのことを、良く認識しました。イグアンも、シロの家で飼育されました。また家の扉の一部には、4つ足系魔獣の出入り口が、有りました。そこを通ってイグアンは、近くの泉から、シロの家まで通って来る生活を、送りました。食事は、生まれたときからの習慣で、シロより直接、餌を与えられました。睡眠を取るときも、シロの足元付近で寝ました。


そしてシロは、鳥型のものも可愛がりました。その鳥型は、羽毛の色が原色で有り、様々な色の鳥が、生まれました。シロのお気に入りの鳥型は、白い羽毛で有り、頭には「黄色いトサカ」が、有りました。そのトサカは、この鳥型の感情表現を、表すように、縦に開いたり、閉じたりしました。


人間界の鳥に例えるなら、それはオウムのような姿でした。この鳥型も「知能が高い」ようで、自分のことを可愛がってくれた、シロのことを、良く覚えて居ました。


シロは、この鳥型には「コバタン」と名付けて、家の外に連れ出すと、大空に飛ばせて、何回も旋回させてから、シロの手元に戻るような、訓練をさせました。コバタンも、餌を貰う時間と、眠るときは、外部から直接シロの部屋の窓に、飛んで来ました。そしてシロが作った、止まり木に止まると、餌を食べたり、彼女の家の中で睡眠を、取ったりしました。


ノエルは鳥や蜥蜴よりも、犬猫系が好きでした。シロも犬猫系は、嫌いでは有りませんが、敢えて言えば、鳥や蜥蜴が好きなようでした。ノエルは、犬系には「ジョン」と名付けて、猫系には「マーベル」と、名付けました。


ジョンは成獣に成ると「グレイな大型犬」に、成りました。明らかに戦闘系のような犬でした。ジョンも知能が高く、ノエルの言うことは、良く理解して、命令に従いました。ジョンは、優秀な番犬に成り、シロの家の外で、主人達を守る気概を、見せました。


猫系のマーベルも成獣に成ると、ジョンに負けない位に、体の「大きなネコ科のもの」に、成長しました。マーベルは、ネコ科なので、ジョンには出来ない「忍び足」が、出来ました。またマーベルは良く、シロ達に有意義なものを、何処からともなく、探して来ては「持って来る習性」を、持ちました。


このマーベルとジョンは、シロの元で、戦闘系魔獣に、育ちました。しかしシロ達が住んで居る、この「中央神の世界」には、まだここの魔人類達に、脅威を与えるような「凶暴な魔獣達の出現」は、有りませんでした。


この「ビースト・ツリー」から生まれた、他の魔獣達と、シロ達が飼うものを、比較すると、明らかに差が、有りました。シロ達が飼う「4魔獣」は、とても優秀で有り、そうでないものは、ただのけだものでした。それが本来の、この樹から生まれたものでした。


魔獣樹の数は、そんなに多くは、有りませんでした。それらが本格的に始動すれば、この世界は、4魔獣だらけに、成りそうでした。しかしその魔獣樹も、この世界の神が、必要に応じて、創ったものなので、小型魔獣の数は、この世界に管理されました。その為この世界では、無暗に4魔獣だけが、増え続けることが、有りませんでした。


4魔獣達は、世界に放たれると、ツリーマンのペットに成るもの以外は、自由に生きました。ただ自己繁殖しないので、自由に生きた場所で、最後を迎えるものが、多く居ました。シロ達のペットも年月が経つと、シロ達の元を、離れました。彼等も自由に、行きたかったのです。


ペット達が居なく成ると、シロとノエルは、寂しく成りました。しかし彼等には、他に「妖精アイリス」が、居ました。彼女は、シロ達に取っては、友達で有り、小型で羽を持ったので「疑似ペット」のような存在にも、見えました。


「妖精アイリス」は、神の使いでしたが「融通が利かない頑固な処」が、有りました。彼女は真面目でしたが、余り面白味が、有りませんでした。中央神は、何を考えて、彼女を創ったのか、その意味が分かりませんでした。しかしシロとの相性は、良い方でした。妖精は、良くノエルとも、話しをしました。


「妖精アイリス」は「ホムクロンのロザリー」と、その時代の「ノエル」のことを、知って居ました。彼女は、シロ達に取って、必要な時代の出来事を、知ることが出来ました。シロの中には、ロザリーが居ましたが、余り「彼女の自我」が表面に、出ることは、有りませんでした。かえってノエルの方が、前世の思いが、強く出て居ました。「中央神アラル」は、ノエルの「アニマス(根源)」を、再生したときに「彼の思いの果てを、見てみたい。」と、言いました。


ノエルは、シロに言ってもシロは、余り「ロザリーの意識」を、感じませんでした。しかし彼女の中に居る「ロザリー」には、印象深いものが有るようで、それに遭遇すると、堰を切ったように、反応しました。やはりシロの中にはロザリーが、居ました。


ここでは、得体の知れない「未知のツリーマン」で有るノエルが、大人しく幸せそうにして、シロの元を、離れないのは彼には、その当時のロザリーに対する、強い思いを、受け継いで居るからでした。


「妖精アイリス」は、シロに「貴方は〝中央神のインカ(化身)″です。」と、良く言いました。彼女も、インカについての自覚を、持ちました。またその妖精が言うには「この世界には、似たような世界が、後2つ有る。」と、言いました。それは、左右神の世界のことで有り「ひだりみぎの世界が、この地の他に在る。」と、言いました。そして、その世界に「本当のシロの両親が居る。」とも、言いました。


シロは、自分が「ツリーマン」で有るので「自分の親は、魔人樹だ」と、思いました。しかし「妖精アイリス」が、言うには「シロは、単体で有る2つの雌雄の生物から、生まれた無性魔人で有る。」と、言いました。彼女には、不思議な両親の面影が残って居ました。彼女に取っては「ロザリー」よりも、こちらの「存在の方」が、重いようでした。


彼女は、一度肉体を失ったので、前の肉体が持つ、記憶が殆ど、有りませんでした。しかし所々にトラウマのような、思いの断片が、残りました。またインカは、三位一体神なので、例え遠くに離れても「核心で繋がって」居ました。そのような影響を、持ったので、妖精の言うことが、シロには理解出来ました。

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