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最強ギルドを追放された俺はガチの最弱なので。  作者: 真宵 にちよ
第二章、新たな出会いと冒険と
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EPISODE14、ラクネアというメイド

 私の名前は、ラクネア。

 リルア様に仕えるメイドです。


 リルア様が拾った少年に稽古を付けています。


 あの白銀王に所属していたとは思えないほど弱く魔力がないという希少な少年です。

 主と行動を共にする以上、仕えるのが私の役目です。


 今日はどんな攻め方をして来るのでしょうか。


 この鍛錬の目的は、彼の肉体を強化することです。

 それには、打たれ強さだけではなく敏捷性や回避能力をあげる事も含まれています。


 手取り足取り教えては意味がありません。


 彼自身で考え活路を見出さなければ、この先生き残れないでしょう。


 鍛錬の難しい所は、如何にしてやる気を出させるか、無謀な戦いに挑む愚か者はいません。


 私が本気で相手してしまえば、心をへし折る事になるでしょう。

 投げやりになれば、成長は見込めません。


「今日こそは一撃食らわせるぞ!」


 彼はやる気です。

 めげずに挑む事は悪い事ではありません。

 以前よりは、攻撃のタイミングを工夫するようにはなりましたし、分析もするようになりました。


「いつでも来て下さい」


 ですが、彼に足りないのは無意識に行動を移せず、攻撃を仕掛けるタイミングを意識し過ぎてしまうところです。

 反射的に体が動く事は、防御と回避を自然に出来ているからですが、彼の場合まだその域には到達出来ていません。


 彼は工夫しようと距離を詰める寸前で、砂埃で視界を遮りました。

 視界を奪う事が前提の戦い方です。


 投擲、背後を取る。


 まだこの2つしか手段がありません。


 気配を消すのは上手くなりましたが、投擲がなければ背後からの攻撃ですね。


 私は木剣を優しく握り、振り返りざまに振り抜くと感触が伝わって来ます。

 やはり背後に回り込んでいました。


 視界に入れると頭部から出血した彼が表情を歪ませています。

 耐久力が以前にも増しているので、このくらいでは意識を保つようになりました。


 私は更に力を抜き、上半身から下半身にかけて5撃加えるとその場に蹲ってしまいました。

 加減が難しいですが、本気でやってしまえば命を絶ってしまいます。


「がはっ…!」


 血を吐く姿を何度も見ていますが、彼の目。

 目だけは闘志を宿したままです。

 だからこそ、こちらもその意思に敬意を払い応えるまで。


「終わりですか?」


 私が尋ねると彼の表情が強ばり立ち上がろうとします。

 ですが、このままやっても結果は変わりません。

 そろそろ助言するべきですね。


「そのままでいいので聞いて下さい」


 私は言葉を続けます。


「貴方に今、足りないのは手数です」

「…手数?」

「はい。貴方は一撃に全てを込め過ぎです」


 その分、受ける事は容易です。

 一撃さえ防げば、何も出来ないのですから。


「今の私は受け(・・)を前提として対応しています。これに回避が加われば、どうするつもりでしたか?」


 私の問いに彼は口を噤みました。


「一撃必殺は貴方の中で理想でしょうが、まだまだその域には到達していませんし、一撃必殺なんて稀ですよ」


 強者の存在は誰もが憧れるものですが、彼の場合、その憧れが強すぎるのです。


「ラクネアでも…一撃で倒せないなんて事があるのか?」


 彼の言葉に流石の私でも動揺がありました。

 純粋だからでしょうか、発言に時々気持ちが揺らぐ時があります。


「そうですね」


 私が勝てないと思った相手は何人かいます。


「私はお嬢様に仕えるメイドの一人ですが、その中でも最弱です」


 お嬢様は4人兄妹の末子。

 それぞれ仕える者達の内の一人がですが、彼らは私よりも強いのが現実です。


 彼はまだ世界を知らない。


 お嬢様よりも強い者は確かに存在しています。

 今、彼の頭の中にあるのは所属していた白銀王の方達と比べているのでしょう。


 彼らとは実際に手合わせしないと分かりませんね。そこまで脅威とは感じていませんが。

 お嬢様の目的の障害となるのであれば、排除するまでです。


「そこで貴方に新たな鍛錬を提案します」



第二章からは、登場するキャラ達の心情にも触れて書いて行くのでお楽しみにです(* ˊ꒳ˋ*)

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