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龍の眠る村6 エピローグとプロローグ

カーンカーン。

目が覚めると聞きなれた音が耳に入ってきた。

「ん、」

「ア、アル!目、目が覚めた!」

どうやらベッドの上にいたらしい。ここは母屋か?フィーネが目に涙を浮かべていた。

「フィーネ、い、痛いって」

「だって、だって~」

鼻水やら涙やらで俺の来ている服がびちゃびちゃになり、親父を呼びに行くとのことでフィーネは外に出ていった。

「ふぅ~」

生きてるんだよな。胸の辺りをぶっ刺されたんだったよな。服のボタンを外し、中を見る。見慣れた身体に、水色の箇所が三つ。

「ん?」

さわるとぷにぷにしている。

「なんじゃこりゃあ!!」

「ど、どうしたの!アル!」

親父とフィーネが部屋に走り込んできた。

「おいフィーネ!これって!お、お、俺の身体!スライムになっちまったのか?!」

「驚かせやがって馬鹿野郎が。」

腹に包帯を巻いた親父がそこにいた。良かった親父も生きてたんだ。

「なぁ、俺魔物になっちまったのか?」

「その辺りの話をしなくちゃならねーな。だが、もう1人呼ばねーとな。」

「もう1人……」

ドアに目を向けるとララさんがそこに立っていた。

俺の視線に気づくと頭を地面につけて

「アルフォンス殿!この度は誠に申し訳ありませんでした。この命アルフォンス殿やフィーネ殿のために使わせていただきたい。」

「やめてください。ララさん。ララさんも無事なよう……で」

優し気なララさん。元に戻ったんだ。だが、いくつかの変化もあった。彼女は眼帯をし、彼女の右腕があるはずの袖には何も無かった。

彼女は右肩を擦りながら言った。

「これは気にされないでください。私のケジメです。」

「時間もないから話をいいか」

親父がそう言った。真剣な顔つきで、部屋のドアを閉めた。また何やら魔法詠唱しこの部屋を防音状態にした。さらに魔法を唱えそれ以外のあらゆる妨害行為や諜報行為ができないようにありとあらゆる魔法がかけられた。まず、親父がこんなに色々な魔法を使えることに驚いた。

「ララお前には悪いが、お前からやつに情報が行かないように、お前は外にいてくれ」

「お、おい、親父」

俺の言葉をららさんは遮った。

「私からもお願いします。私は命を救われ、尊厳を取り戻せた。それだけでも感謝をしております。敵兵に対して、これくらいのこと、当然です」

敵と言われて、少し寂しく感じた。

「……用心のためだ。この女にかけられた呪いは一応解除した。まず右腕にかけられていた忠誠心の呪い。そして左目に刻まれていた、覗き見の呪い。お前が破壊した呪いの刀も全て封印した。それでも俺の知らない方法があるかもしれない。1番危険なのは彼女だ。」

親父は静かに語り始めた。

「どこから話したらいいのかわからないから、俺の話からしよう。俺は30年以上前その時の幼なじみと共に旅に出た。7大魔王と呼ばれる魔王が勢力争いをしており、人類の生存できる区域は限られていた。俺たちは、出会いと別れを繰り返し、10年後に多くの仲間と共にこの地の魔王。暴食龍と戦うことになった。その龍は、大食らいの化物で、ありとあらゆるものを食べることができた。動植物、人間、鉱物、魔物、口に入るものは全て口に入れてきたと言っても良い位ありとあらゆるものだ。多くの犠牲を払い何とかその龍を倒すことができた。龍の首を落とすことに成功した。調べていくうちにわかったことがあった。その正体は、スライムだった。お前がよく修行サボって探検しているあの山は全て、その時の巨大なスライムの成れの果てだ。メインの坑道が、ドラゴンの時の食道であり、お前が探検している小さな穴は毛細血管だ。」

なんてスケールの龍だよ。いやまて、そんなことまでばれていたのか。今までのサボっていたこと全てもしかしてわかっていたの。これお話が終わったとめちゃくちゃ怒られるやつちょっと不安になっているんだけど。

「スライムは、核を失うと土塊や水に還る。山になったのは、その核がある竜の頭に当たる部分を切り落としたためだ。この戦いで、俺たちが失ったものと得たものがある。まず、勇者が戦いの最中喰われてしまった。こないだお前が持って帰ったカゴに入っていた剣の柄。あれは勇者のものだった。得たものとしてそいつが食ったこの世界の各地にある魔物の標本とこの世界の知識をいくつか得た。このドラゴンスライムはある魔王が大切なものを守るために作ったひとつのモンスターであることがわかった。その大切なものとは魔王の子供だ。彼女はこのドラゴンの腹の中にある心臓にあたる場所で眠っていた。その部屋にある日誌を解読して、俺たちが倒したはずの魔王は手下でそいつの親は本当は別にいることがわかった。」

「ちょっと待て、それって、まさか、」

親父の目と俺の目が1人の少女にとまる。

「そうだ。フィーネだ」

「え、あ、あたし」

「俺は仲間たちと相談してこの秘密を隠すことにした。人類は魔王の一角を落としたことに浮き足立っていたし、赤子を殺める訳にはいかない。この子を守りながら育てる。何人かの仲間は反対したが協力してくれた者もいた。商店のおかみさんも俺たちの元の仲間だ。フィーネが悪事を働くようなら、始末する予定だった。だが素直ないい子に育ってくれた。」

フィーネを親父が優しい眼差しで見た。

「え、えへへ」

「で、その時のスライムが」

「あぁ、今お前の心臓を動かしているスライムだ」

「ふぇ」

俺の心臓、スライムが動かしてんの?!

「いやぁ、案外いけるもんだな」

「は?ちょっと、待て!親父。急に話が分からなくなったんだが」

「うるせぇ!命あったんだからいいじゃねぇか。野郎の愚痴には興味無いんだよ。刺されどころが悪かった。この事はララには言ってない」

「当たり前だ」

俺も同意した。ララさんが悪い訳では無い。

「そうだな。」

親父も満足気に頷いた。

「今回の一件で問題が起こった。ナルシ家にこの事がバレてしまった可能性がある。まず、魔王の娘はさすがに分からないだろうが、膨大な魔力を持った少女がいること。俺、つまり奴にとって宿敵とも言える勇者パーティの1人がいること。お前という魔王の力を操るガキがいること」

「は?なんで俺?」

「お前が出したドラゴンの頭はまぎれもない暴食龍の頭だった。フィーネのスライムの力だろうが、お前が出したと誤認してる可能性が高い」

「ウソだろ……」

「え、っと、ごめんなさい」

「フィーネは悪くねーよ。むしろ助けてくれてありがとうな」

フィーネの頭をわしゃわしゃ撫でた。

「つまり、俺たち三人が三人とも狙われちまってるってことだな」

「そうだ。だから、逃げ隠れる必要がある。そのあたりの説明だが」

「……違うだろ。親父。」

なんで悪いことをしてない俺たちがこそこそしないといけない。

「元凶を叩く!それが一番手っ取り早いだろ」

「ふ、ふははははは!!さすが、俺の息子だぜ!ふはははははは!」

親父がめっちゃ笑ってる。

「しっかり強くなってからいいやがれ!アホンダラ!」

「いてっ!」

頭をバシバシ叩かれる。

「フィーネを守れるくらい強くなれ」

「もちろんだ」

「わ、わたしも強くなるよ!おじさん!」

フィーネも珍しく鼻息荒く言った。

「いいだろう。あとは、ララの問題だ。あいつも連れていく。」

「ララさんも?」

「あぁ、俺たち全員村の外のことは詳しくない。それにお前たちが十分つよくなるまで、護衛が必要だ。あいつは強い。ララは騎士から力を盗んだが、殺しては居ないらしい。まずは、この村の南にあるマスキュリアに迎え。そして、俺の元仲間のマズルに会って鍛えてもらえ」

親父は手紙をさし出した。

「親父は一緒に行かないのか。」

「俺は別行動だ。お前たちと反対方向へいき、昔の仲間に協力を求める。少しは撹乱になるだろう。お前たちは、あの時の三人組の冒険者たちと一緒に商人のふりをして村を出ろ。奴らを雇った。商品は俺の打った刀を全部持っていけ。売れたら路銀にしてくれて構わない。無事生き延びろよ」

「親父……」

「ん……。誰か来たみたいだな」

話を中断して、玄関に向かう。

「アル!!フィーネ!!」

「おばちゃん!!」

ふくよかな婦人が玄関に立っていて、俺たちを抱きしめた。

「怖い思いしたねぇ。よしよし」

「……よぉ。世話かけるな」

「まったくだよ。この筋肉ヒゲダルマ。子どもたちに怖い思いさせて!旅に出させるなんて、言った時なんて、顔をぶん殴ってやろうかと思ったわ。」

「お前全力でぶん殴ったじゃねーか」

親父の顔の傷は、おかみさんに殴られたからかよ。

「あんたに頼まれてたもん馬車の荷台においてるよ。あぁ、フィーネ、フィーネ、フィーネ!!私たちが旅してた時みたいに若くて強かったら、一緒に守ってついていったのにさ。すまないねぇ」

「ううん。今までありがとう……おかあさん」

「フィーネぇ!!!」

おかみさんとフィーネがしばらく抱き合っていた。

「アル!」

「は、はい」

「あんたも気張りなよ!!困ったらいつでも帰ってきな!あんたらの荷台にはおまけしたから。旅の途中で食べな。」

「ほぅ、それはありがたい」

「あんたの荷台にはないよ!!」

ちょっと、ショック受けてる親父を見るのも珍しい。

「あ、えっと、そうだな。アルフォンス。お前に渡すものがある。」

「?」

2つの手甲だった。!片方に美しい模様があり、魔石が埋め込まれていた。この模様どこかで

「お前の拾ってきた勇者の柄を、打ち直して手甲を作った。その模様にも強い加護の魔法が掛けられている。魔石の部分は割れていたから、お前のカゴからいくつか拝借させてもらった。旅の途中で変えてもらっていい。火の魔石と水の魔石は俺の親友だった男の物だ。まだ使える。剣は嫌いだと思ったからな。」

ずっしりとした重みが手に伝わる。

もう片方の手甲には、この家の家紋が掘られていた。

「お前は俺の息子だ。アルフォンス。本当は刀鍛冶として平穏に生きてほしかったが。こうなった以上しかたねぇ。こっちの手甲には、手印で様々な工具が出るように魔法をかけてある。役立ててくれ。魔力はお前の魔力を使うが、俺が死なない限り、その魔法が切れないように強めに魔法をかけている。なんだ、その心配そうな顔は」

「親父、死なないよな」

親父はおれの両肩に手を置いて、まっすぐこちらを見て言った。

「アルフォンス。人はいつか死ぬ。だが。それで終わりじゃない。俺たち匠の作ったもんは遺るし、何より、残された者の心に生きて見守っている。心配すんな。歳とったといえ、俺は元S級の冒険者だ。簡単にはくたばらねーよ。」

「あぁ、分かった。手甲ありがとう。大事にする」

それぞれの支度が整い、村を後にする。

村の外にはじめて出る。フィーネははしゃいでいるし、ララさんの顔はどこか晴れやかだった。

振り返ると、今まで育った町が一望できた。

「龍の村だ」

巨大な龍が横たわるように、山になっている。親父たちはこんな龍を相手にしてたのか。ふと、胸のあたりがもぞもぞ動き、そこからひょっこりスライムが顔をだした。いつも、見かけるよりも一回り小さくなっていた。俺と同じく龍の山を見ていたようだが、すぐにフィーネの方へはねていった。

「アル!お、おかあさんがアップルパイを入れてくれてる。みんなでたべよ」

「あぁ!」

馬車に揺られて向かうのは剣闘士の町マスルリア。


今秘密の多いパーティの冒険が始まった。

読んで下さりありがとうございます!(´▽`)

いかがでしたか?

今回は純粋にファンタジーを書こうと思いました。

アル、フィーネ、ララ、スライムの四人でスタートしました。

アルは、スライムの心臓と魔王の一角暴食龍の力の片鱗を宿す平和主義の、甘いが熱い思いの少年です。彼は○○が○○してる秘密があります。

フィーネ 魔王の娘として膨大な魔力を秘めており。○○を○○してしまう力があります。内気な少女の幼なじみに爆弾を持たせました。

ララは、薄幸な少女騎士です。戦いの中で殺してしまうかかなり悩みましたが、生存ルートへ。優しいお姉さん。彼女の秘密は悪い貴族の哀れな少女兵でした。


作中の中に、他にもこの後の展開につながる物を散りばめています。もし、面白い、続きを読みたいと思ってくださる方がいたら、書き進めていこうと思います。応援よろしくお願いいたします!(´▽`)





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