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勝率


 昨夜はお楽しみでしたね。

 どこかで聞いたことのある台詞を朝から親に聞かされ憂鬱。

 やってやった感を出して肌を艶々させるメンマ。

 昨日の行為がどういうものなのか分からず、何事も無かったかのような溌剌とするミリア。

 チラチラとこちらを見てくるゾンビ肌のハルナ。


 とりあえずこの変な修行方法も、目先にいるガーリックを何とかしない限りどうにもならないわね。

 生きている限り無情にも時は進む。

 時は進む限り、メンマとミリアを相手にする夜が続く。

 いやってわけじゃない。

 けど、明日に響くからどうも疲れるのよね。

 男性のときに良く味わった、朝や夜に理不尽に湧いてくる欲情を思い出す羽目になったわ。

 やっている時も終わった時も虚無しかないのよね。

 なんでこんなことに時間割いているのかしらねって。

 やらないと業務に支障が出てくるからしょうがないのだけど。


 他にもメンマは割と普段から全裸だし、ミリアは十二歳の子どもらしい凹凸のない身体だから、先に理性が働いて難しいのよね。

 似た理由でハルナも難しいと思うわ。

 ゾンビ肌だから死体を相手にしているのと同じ気分になりそう。

 わたしはネクロフィリアじゃないのよ。

 こういう時、相手になってくれそうな男とか……ダメね、みんなメンマの手によって排除されているわ。

 この里で一番強いのメンマなのよね。逆にワーストはわたしだし。

 そもそも男じゃ神装の力を引き出せないのだったわ。

 同い年の女の子は……これもダメね。

 わたし、仕事とプライベートは分けるタイプだから。

 仲の良い女の子って他にいないのよね。

 

 ……わたしってもしかして、想像以上に面倒くさい女?

 

 どのみち今考えていることじゃないわね。

 ちゃんと仕事しなきゃ。


「っと、ちょっと! 聞いてんの?」


 ミリアに肩を叩かれてふとわたしは顔を上げる。

 ダークエルフたちが集まっていた。

 みんなの目がわたしに集中していた。

 どうやらエルフの里に攻め込む会議をしている最中だったらしい。

 わたしは聞いていなかったことを正直に白状し、頭を下げて謝罪する。

 言い訳する方が後で面倒くさい。


「キリシマにしては珍しいな。子どもらしい一面が見れて正直嬉しいが……。今は重要な話をしているからちゃんと聞くように」


 ラオウさんの言葉が波紋のように広がり、みんなの笑いを誘った。

 はぁ……。

 不幸だわ。

 作戦会議といってもやることは分かり切っているのよ。

 正面突破。

 ダークエルフとエルフの決定的な違い。

 エルフは魔法をメインに置いているため、知識を身に着けるのよ。

 対してダークエルフは接近戦や銃撃戦に重きを置いている。

 加えてエルフは籠城戦でしょう?

 そうなるとダークエルフの導き出す答えは。


「正面突破。それしかないな」


 馬鹿のひとつ覚えみたいに、同じ結論が出てくる。

 新人、相手の立場に立てるミリアだからこその意見も飛んでいるけど、ここではより声の大きい方に軍配が上がるのよ。

 つまりはミリアの言葉は、正面突破についてくる小細工程度にしか受け取られないのよね。

 強いて言うなら、わたしの神装についての議題も上がっていたみたいだけど。

 ラオウさんがハルナに言葉を飛ばす。


「それは村中の女をかき集めて、祭りを開いた方が良いのか?」


「あー、まぁこっちの方法で鍛えるならそれでも良い。だが、女の子が機能停止、キリシマの負担が大きい、おまけに相互の性自認とか諸々の問題がある。数だけじゃなく、時間とかも重要だ」


「分かった。じゃあキリシマは今から修行な。夜は存分に楽しんでくれ!」


 わたしは「承知しました」と口にして席を立つ。

 こうなってくると、わたしの修行ついでにミリアも一緒に鍛えた方が時間効率良いわね。

 わたしはミリアを連れて良いかの確認だけ取る。

 許可が出るとすぐにわたしは、ミリアの手を取って駆け出していった。


「勝率はどれくらいだ」


 背後から聞こえるラオウさんとハルナの言葉が、うっすらと記憶に残りながら。


「良くて一割。普通でゼロだ。死に物狂いで鍛えても、勝つのは万にひとつも無いな」


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