また出会い
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この作品には 〔残酷描写〕 が含まれています。
本作品は、作者の空想の世界です。
リビングの黄色い声に、スレンダー(残念な胸)で長身な、双子とは顔立ちが似ているエルフ、シャーゼが気づき寝室より出てきて出迎えた。
(顔立ちが似ているのは、当然だろう。なにせ双子のエルフの母親なのだから。)
シャーゼの足元には、從魔契約した大きな黒い狼:ブラックウルフがいる。
名前は確か、ラウだったか。シャーゼは、双子の矢筒と短弓、それにローブとブーツを拾い集め、クローゼットに入れた。
「レン、レイ。二人ともおかえりなさい。東の森は、どうだった?その様子だと【契約の森】で、ちゃんと、狼の子とは從魔契約できたみたいね。」と、双子のエルフに話しかけた。
(私の狼の子は、お母様と同じ【魔獣:ブラックウルフ】だわ。レンの狼の子、【聖獣:シルバーウルフ】とは違う。レンはいつも、私が持っていないものを持っているわ。)
レイが見つめる先では、二匹の狼の子が寄り添いながら寝息を立てている。
普段から無表情のレイが、この時だけは、困り顔でスレンダー(残念な胸)に手を当て、レンを見つめてつぶやいた。
そのレンはというと、テーブルにパフパフな双丘を乗せ、台所から出てきた獣人侍女が、テーブルに並べた色鮮やかな果物から目が離せずにいた。
(獣耳である、もふもふしたい。耳や尻尾からすると、豹の獣人か。エプロンとメイド服を身に付け、足元にはスリットが入り大人な色っぽさが堪らない。)
「レン、レイ。このあとお客様がいらっしゃるから、着替えていらっしゃい。」
「「はーい」」
双子のエルフがリビングから子供部屋に戻ると、入れ替わりに玄関ドアを「ドンドン」と叩く大きな音が家中に響き渡る。
(さて、俺は気持ちよく寝ていたのに足音やドアを叩く音がうるさいから起きた・・・。隣の妹を尻尾でペシペシと叩くが起きる気配がない爆睡・・・。俺もまた寝るかZZZ。)
「ドアンだが、居るかい、居るのなら開けて欲しいのだがの。」
「いま開けますよ、あなたの力でドアを叩かれたら壊れてしまう。」
だが、玄関ドアは強度や耐久性の魔法で強化されており、ドアを壊すより壁を壊す方が、楽なのであるが。そこは黙っておこう。
シャーゼが合言葉で開けた玄関ドアの前には、顔中ヒゲだらけの中肉中背の男性と、スレンダー(残念な胸)で長身な女性が立っていた。
ドアンと名乗った顔中ヒゲだらけの男性は、ドワーフ種族だ。
茶色いローブを身にまとい、背中に体よりも大きな斧と盾を背負い、口元が歪んでいる。笑っているのかな?ちょっと怖い。普通のドワーフより、少しばかり背が高く、体格も一回り大きい。
それもそのはず、エルダー・ドワーフという上位種に分類される。
ドワーフには種族がいくつかあるが、特徴的なのは、胴体が丸太のようだということだ。さらに他種族との混血ができない。
女性は、シャーゼと同じエルフだが、こちらも茶色いローブを身にまとっている。
ところどころ見えている肌の色は、褐色でどちらかと言えばドワーフに近い。
ショートヘアのブロンド色の髪に細長の目と縦短の尖った耳が生えている。
腰には細身の片刃の剣とは違う、槍のような突刺の剣を身に付ける。
「あら珍しい、ドアンが女性同伴で、訪ねてくる日が来るとは。」
「ふん。わしが酒場で仲間と宴会しておったら、『エルフの族長の家に行くには、どうしたらよいか』と、聞き回っていたから連れてきたのだがの。まぁそれ以外にも、お前さんに用があったが、ふん。」
ドアンは、すでに冒険者は引退してはいるが、以前に組んでいた冒険者パーティーと、飲み歩くのが日常となっている。
双子のエルフの祖父であり、シャーゼの父親が里の族長である。またシャーゼの夫は、里を守る戦士長を務めている。そのため、二人は城壁に隣接する建物で兵士たちと生活しており、この家には不在である。
「はじめまして、私は、大地母神の神殿で巫女をしている、ライラと言います。『レンレイと言う一人のハイ・エルフが、この浮遊大陸から人族が住む外界に降り立つので共に同行し助力しなさい』との神託を受けて、こちらに赴きました。」
この浮遊大陸には、大地神と言っても、いくつかの神が信仰されており、その一つが大地母神である。すべての大地神たちを取りまとめるのが、大地主神である。
「そう、ライラは信託の巫女なのね。それと、レンレイ。レンとレイという双子のエルフは、私の娘だけど、どういうことかしら・・・。」
「神に問うたのですが、それ以上の詳しい神託はありませんでした。」
「そう、まあ良いでしょう、詳しく調べて見る必要があるから、しばらくこの家に滞在しなさい。ね。」
「はい、ありがとうございます。お言葉に甘えてそうさせて頂きます。」
ドアンは、話が長くなりそうなので、シャーゼと目線を一度合わせたあと、テーブルを見つめた。
シャーゼは、二人から武具とローブを受け取りクローゼットに入れ、獣人侍女がテーブルに、果実水の入ったポットとコップを置いた。
ドアンは、果実水ではなく果実酒か発酵酒が欲しいと、シャーゼに目で訴えるが、困り顔の笑顔を向けられ流されてしまった。
「ライラの件は、さておき、ドアンあなたは、今回はどうしたのかしら?」
「実はの、西の森を抜けた先で崖の崩落があったであろう?そこから洞窟が顔を覗かせて、戦士長(シャーゼの夫)から調査依頼されてな。一人では、心もとないので、手を貸してくれないかの・・・。」
ドアンとシャーゼは、以前は外界にて冒険者パーティを組んでいた間柄である。
「洞窟・・・、深いのかしら。」
「聞いた話では洞窟の奥は、広いフロアが一つだけで、神々が残した遺跡と。石碑のようなものが一つとその周りには丸い円が描かれておって、古代神語が刻まれているみたいでの。」
そこへ、元気よく跳ねるように部屋着に着替えた双子のエルフが、リビングへ戻ってきた。ドアンの大きな声が聞こえたようだ。
「古代神語?レンは祖父様に教わったから解読できるよ。」
「久しいのレン、レイ、二人とも元気にしていたかの。」
ドアンは、笑顔な顔を向け、コップを持ち上げ、二人を出迎えた。
「ご無沙汰しています。ドアンおじさま。それと、はじめましてだわ。えーと?」
レイは、優雅に部屋着のスカートの端を両手で持ち上げ、膝を曲げ、無表情で、あいさつをした。
「レンもあいさつしなさい。あと、もう一人はライラよ。しばらく家に泊まることになるから、仲良くね。」
獣人侍女は、双子エルフのため、テーブルに果実水の入ったコップを置いた。
「はーい、ドアンおじさま、ご無沙汰しています。あと、ライラはじめましてよ。」
レンは、少しぎこちなく部屋着のスカートの端を両手で持ち上げ、膝を曲げ、満面の笑顔であいさつをした。
「はじめまして、私は、巫女のライラです。神託を受け訪ねています。」
ライラも、ドアンに習いコップを持ち上げ、笑顔で、あいさつを返した。
信託にも興味をそそられるが、新たな遺跡が気になる双子のエルフは、興味津々の目でドアンを見つめた。ドアンも促されて話を続けた。
「神々が残した遺跡に石碑を見つけての。その石碑には、神語が刻まれているのだが、わしでは読めないので頼みに来ての。」
「じゃぁ、お母様の代わりに、レンが一緒に遺跡に行くよ。いいよね。お母様!」
「レン、勝手に決めないで!祖父様が双子のエルフは一緒の行動と、ルールを決めているから、レンが行くならば、私も一緒だわ。」
レイは、シャーゼに向けて助けを求めた。そのシャーゼはレンのために果物を剥き、
一口サイズに切りそろえ、何か考えを巡らせていたため、レイの困り顔には気がついていない。
「ドアン、レンとレイを同行させます。ついでに、草原の民の冒険者グループが外界から連れて着たという、ハーフエルフについて情報を集めて欲しいのでけど、ね。」
「森の西側ゲートを通り、外界から帰ってきた冒険者たちか。わかった調べておくの。」
ハーフエルフは、エルフの血が半分だけ入った存在であり、主にウッドエルフと人族との間に生まれる混血種(ハーフ&ハーフ)で、エルフからも人族からも忌み嫌われる。
それは、人族の社会で育てられれば、他者より長寿となるからであり、エルフの社会で育てられれば、人族の強き力を持つためである。良いとこ取りのハイブリッドな存在が妬みが生まれるためである。
このハイランドでも、ハーフエルフは、残念ながら疎まれている。
それは外界の考えとは違い、モンスターによって辱めを受けたエルフが産み落とすと、モンスターの力や性格を受け継ぎ凶暴なためであり、時には姿がモンスターとなることもあるためだ。
実際に魔法が使えないゴブリンの様な下等モンスターでも精霊魔法が使える、上位種が誕生している。
シャーゼは、「あーん」と、大きな口を開けて甘えているレンに切った果物を放り込み、そのあと、レイにも同じように果物を与え、ライラに話しかけた。
「ライラ、遺跡に行く、レンとレイの護衛を頼めないかしら。」
ここ最近、外界から、この地には存在しない動物やモンスターを連れ帰ったものが、逃げ出したり、また扱いきれずに森に放ったり、危険度が増している。
それに、エルフの子供を拐かし、外界の奴隷商人に売る盗賊のような亜人や獣人まで現れている。
族長部屋には、外界から持ち込まれた危険な品々があり、その中には外界の奴隷商人が扱う、強制的に奴隷契約させる【隷属の首輪】も置いてある。
さらに南側の山脈地帯には、ヒドラと呼ばれる首が3つあるドラゴンの亜種が、ティームし持ち込まれ、やはり、扱いきれずに解き放たれ、いまも天竜たちドラゴンと争っている。
このままヒドラの個体数が増えれば、各地の住人(亜人や獣人)の力を借りて、シャーゼは、エルフの族長の一族を代表し討伐に行かなければならない。
「ええ、私で良ければお供しますよ。」
ライラは、双子のエルフがどのくらい強いのかが見たくて、二つ返事で護衛を引き受けた。
「ふぉ・ふぉ・ふぉ、人数が多い方が楽しくなりそうだの。どれ旅の支度のために日が沈む前に商店街へ買い物に行くかの。」
「私も行くわ、いいでしょお母様。レンは駄目ね。お小遣いを使い切ったから。ふ・ふ・ふ。」
このときばかりは、普段の無表情が信じられないほど意地悪な微笑みをする、レイ。
「あー、ズル〜い。お母様、お小遣い頂戴よ!」
幼子の駄々っ子表情をシャーゼに向け、指を唇に当て、おねだりするレン。
「駄目よ、レン。」
レンは、顔の頬を膨らませ、これでもかと可愛らしい抗議の仕草をした。
「レイは、ドアンと一緒に行くならば良いけど、日が落ちる前に帰りなさい、それに無駄遣いもだめ、ね。」
「はい」と返事し、子供部屋へ向かった。
「ドアン、レイを頼みますね。発酵酒と夕食を用意しておきますよ。」
「ほっほっほっ。4人の2日分となる食料をサッサと購入して発酵酒を楽しむとするかの。」と、シャーゼに発酵酒は、樽で頼むと注文を付けていた。
居残りのレンとライラは、獣人侍女が片付けたテーブルの上にドアンから受け取ったダンジョンまでの地図を広げ、どのように向かうのが早いか雑談を始めた。
シャーゼはクローゼットから二枚のローブを取り出し、お小遣いの革袋を腰に付けたレイと、顎ヒゲを手で撫でるドアンに着せた。
誤記、誤字は、気にしない。が、読みにくいので、修整。
主語が、変だが気にしない。三人称は、難しい。