帰還
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この作品には 〔残酷描写〕 が含まれています。
本作品は、作者の空想の世界です。
この世界には、太古に神族が住むため、人族が住む人界の大地より切り離した大陸が、四つあるとされ、そしてそれは神族の住む天界と人族が住む人界との間に浮かぶ。
そして浮遊大陸となった。【ハイランド】と呼ばれる浮遊大陸は、そのうちの一つである。
ただ神々は、すでに魂が肉体より離れ世界を彷徨う存在となっており、かつて神々が生活し残した建物(遺跡)には、動物やモンスター、多種多様な亜人・獣人がその遺跡を中心に縄張りを作り、子を成し老いて死する生活をしている。
ハイランドには、5つの区画があり、それぞれに強い精霊力が働いている。
南側は、闇と氷の精霊力が強い暗黒と吹雪の大地が広がり、神々の魂が離れた肉体が眠る神殿を守っている。
東側は、水と風の精霊力が強い沼地と草原が広がり、沼地の民や草原の民の集落がある。
西側は、風と火の精霊力が強い灼熱砂漠があり、西の魔女と呼ばれる古き賢者が住み、ダークエルフの集落がある。
北側は、大地の精霊力が強い山脈が連なり、地下にはドワーフが王国を築き、空には天竜を主として、ドラゴンたちが不可侵の領域を築いている。
中央には、光と森の精霊力が強い深き森があり、エルフ(ウッド・エルフ)の集落がある。
特に【ハラドイル】と呼ばれる里に住むエルフは上位種族(王族)であり、ハイ・エルフと呼ぶ。さらに、ハイ・エルフの中でも族長の一族を最も神々に近いことから、ハイランド・エルフと特別な呼び方をする。
そして、いずれの地にも、多くのモンスターが生息し、そこには神々が新たなる生命誕生の実験で作り出した異形のものたちも含まれている。
ハラドイルは、石作りの城壁に囲まれ、鉄と岩の重い城門が、モンスター、他種族の亜人や獣人の侵入を何度も守った。もちろん。これも神々が残した遺跡の一つだ。
族長を頂点に、族長一族の中で最も力や魔力の強い者が戦士長となり、武装した兵士を束ねて強固に守り、もはや族長を王とする集権国家と言っても過言ではない。
その城壁は、ところどころ、ヒビ割れて崩れており、ドワーフたちが城壁の内側に足場を組んで修復している。
城壁の上では、矢筒と短弓を身に付け巡回するエルフ、南側に唯一ある城門には、身長よりも長い槍と大盾で、武装し立哨するドワーフ、モコモコな毛並みで長身に見合う大剣を帯び、行き交う商売の荷車・荷馬や旅人の持ち物を確認する多種多様な獣人たちが警戒にあたっている。
砂ぼこりが舞い立つ街道を、浮遊魔法で高速移動する双子のエルフは、城門の前から歩きはじめ、警戒にあたる兵士たちに片手で挨拶した。
活気に満ち賑わう商店街の人混みを掻き分け、中央広場にある屋台の匂いに心惹かれつつ進む。住宅街へと続く石畳の道を走り抜け、他の家より離れた場所にあり、庭に巨大な大木がそびえ立つ、赤レンガで造られた三階建ての大きな家へと辿り着いた。
玄関ドアに立ち合言葉を唱えると、自動で開き二人を迎え入れた。家の中に入るとホールのような場所にクローゼットや靴入れがあり、さらにリビングにはテーブルやソファがある。
そのソファーに二匹の狼の子を寝かせ、矢筒と短弓を投げ捨て、ローブとブーツを脱ぎ捨て、インナーだけの姿で鮮やかな色合いの絨毯を踏み、ぶーんと両腕を水平に広げて、キャッキャッと笑顔で家中を駆け回り始めた。
その双子のエルフを、暖炉では燃え盛る火の精霊:サラマンダーが、窓の水滴に宿る水の精霊:ウンディーネが、部屋中を漂う風の精霊:シルフが、ブーツに着いた土から土の精霊:ノームが、笑顔で眺めている。
誤記は、気にしない。