出会い
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この作品には 〔残酷描写〕 が含まれています。
本作品は、作者の空想の世界です。
雲ひとつない見渡す限りの青空に、赤い満月と青い満月に、黒き三日月が重なり浮かぶ。
大地を照らす太陽は、黒炎をあげ燃え猛る黒き太陽と、火炎をあげ燃え猛る赤き太陽だ。
鳥も飛ばない見渡す限りの森林に渦を巻く強き風が大地を削り木々を揺らす。
いつ止むとも知れぬ強き風が巻き起こす轟音に、獣も動物も怯え息を殺す。
その強き風に髪をなびかせ、双丘を上下にパフパフと揺らし、風に乗って空を舞い、木の枝から枝へ森の中を移動する人の姿がある。
華奢な女性で、ショートヘアの金髪に細長の目と縦短の尖った耳が生えている。
肩から膝上まであるディープグリーンのローブに身を包み、矢筒と短弓を背負ったその姿は、人族ではない。エルフだ!いや!思わず顔を埋めたくなる双丘の膨らみは・・・、巨乳?魔乳?、エロフと言った方が適切かもしれない。
そのエロフなエルフは、声を出し木の枝から地面を見下ろし、何かを探しているようだ。
「うぉうぉ」
エロフなエルフの声は、透き通る女性の姿をした風の精霊と共に、あたり一面を駆け抜ける。何度か「うぉうぉ」と声を出した、そのとき!
「ウオウオ」
岩陰から獣の声で返事が返ってきた。強き風に逆らい長い尾を揺らす狼。
(うわぁ〜ん。俺、寝てたのに思わず、つられて答えちゃった。「うぉうぉ」って、言葉には弱いんだよね。あれ?確か狼の子(妹)と親狼に寄りかかり洞窟で寝ていたはずなのだが、でも夢の中で親狼に咥えられ、何処かに運ばれたような気もしないでもないけど・・・。)
エロフなエルフは、木の枝から地面に降り立ち両手で狼を抱え、陽の光に当てると黒かった毛並みが光り輝く銀色となった。
「【聖獣:シルバーウルフ】の子か、うん。もう私のだよ。」
エロフなエルフは、微笑みながら狼の子に口づけを行った。
その一瞬、青白い円(魔法陣)が浮き上がり狼の子に吸い込まれ、そして消えた。
(やべぇ〜!エロフに從魔契約させられちゃった。まぁ名前の付与がないから仮契約か。それにしても眠いZZZ)
「レン、野生の狼に口づけを行うのは、病気をもらうかもしれないわ。」
もう一人、華奢でスレンダー(残念な胸)なエルフが木の枝から降りてきた。やはり、ショートヘアの金髪に細長の目と縦短の尖った耳が生えている。
こちらは、エロフなエルフとは色違いの肩から膝上まであるライトグリーンのローブに身を包み、矢筒と短弓を背負っている。スタイルこそ違えど、顔立ちは似ている、いや瓜二つ!双子だろ。
レンと呼ばれたエロフなエルフは、眠る狼の子を胸に押し付けるように抱え、木の枝に移動した。
(うーん。たまらん。パフパフな双丘の感触には逆らえない。パフパフは正義だ。でも、今はお休みなさいZZZ。)
「レイ、わかっているよ。でもね、この子は先に私が見つけたのだからあげないよ。」
レイと呼ばれた残念な胸のエルフは、あたりを警戒し別の岩陰を覗き込む。落ち葉が体に張り付き薄汚れた体で、静かに唸り声をあげ警戒した狼の子が居た。
「うぉうぉ」
レイは、ちょっと緊張気味に声を出し始めた。
「ウオウオ」
狼の子は、透き通る女性の姿をした風の精霊に頬を撫でられ、つられて鳴き始めた。
レイは、噛まれたら痛いだろうなと考えながら、腰にぶら下がっている革袋には、ヒーリング・ポーションが2本入っていることを思い出した。
狼の子は、体を左右に激しく揺らしながら抵抗を試みたが、レイの力には逆らえず抱えられた。
そのまま陽の光に晒されたが輝くことはなく、黒いままだった。
レイは一瞬、残念そうに顔を曇らせたが、すぐに無表情な顔に戻り狼の子を胸に抱え、木の枝に移動した。
「その子を連れて帰るのならば、早く口づけをして從魔契約しないと駄目だよ。」
「わかっているわ。この子は、【魔獣:ブラックウルフ】だわ。」
「【魔獣:ブラックウルフ】か、お母様のラウと同じだよ。」
レイは、狼の子に口づけを行った。その一瞬、青白い円(魔法陣)が浮き上がり狼の子に吸い込まれ、そして消えた。レイと契約したことで、狼の子は安心したのか寝息を立て眠りについた。
「お腹が空いたよ。レイ、早く帰ろうよ。」
「そうね、お母様も待っているわ。」
二人の対照的なエルフは、木々が激しく揺れる中を枝から枝へと移動した。
ときより声をかけてくる、木の妖精、木の精霊に微笑みながら、森林の色に溶け込み消えていった。いつしか、渦を巻く強き風もおさまっていた。
沈みかけた陽の光に大地に大きな影を作る巨狼が、尻尾を揺らす。
「今回の子たちは、無事にエルフと從魔契約した。さてさて。このあとは、どうなることか楽しみだこと。」
どこか楽しげである獣の咆哮をあげて、大地を揺らし突風を伴い走り去っていった。
誤記は、気にしない。