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必殺食っちゃ寝

無断転載、無断翻訳、無断朗読、その他の類似行為などは禁止します。


<R15> 15歳未満の方は移動してください。

この作品には 〔残酷描写〕 が含まれています。


本作品は、作者の空想の世界です。

 庭にある大きな木で小鳥たちが歌を奏でるように鳴いている。廊下に涼しい風と陽の光が入るのは、獣人侍女が窓をすべて開けたためだ。シルフとウンディーネの精霊たちが楽しげにワルツを踊っている。


 子供部屋を出た双子のエルフは、おはようと、廊下ですれ違った獣人侍女に挨拶した。


 レイは、洗面所へと向かうが、玄関ドアから出ていくドアンを目ざとく見つけた。


 レンは、リビングに向かった。


 ソファーの上には、ライラとシャーゼが座り、何やら雑談をしている。二匹の狼の子が居ない。


 獣人侍女の手には、毛布が入った小さな木箱がある。二振りのモフモフな尻尾が、はみ出ている。


 一振りの尻尾は、小刻みにフリフリと動き、ごきげんな感じである。すでに朝食も済ませているからだろうか。もう一振りの尻尾は、動かない。まだ夢の中のようだ。


「二匹を洗うのに浴室を使う。ね。」


 レンは、獣人侍女から木箱を受け取り、浴槽へ向かう。


 獣人侍女は、桶とタオルを持って追いかけ、ついでに身に付けていたエプロンを脱ぎ、レンに着せた。


 浴室は、石畳の壁に囲まれ、木の床と湯船がヒノキの匂いを漂わせる。昨晩に沸かしたお湯は、ほどよくぬるかった。湯船からお湯を桶に汲み、ごきげんな狼の子を捕まえ桶に突っ込んだ。湯気の立ち込める中で、キョトンとしてされるがままである。


 頭に触った瞬間に「うー。」と嫌がるように鳴いたが、胴体や手足に石鹸を泡立てたタオルで撫でて、お湯をかけた。胴体や手足を乾いたタオルで拭いて、木箱へと戻した。

 風呂上がりの狼の子は、もへーんとしている。疲れたのか寝始めた。


 寝ていた俺も、お湯の入り桶に突っ込まれた。驚いて、「うがぁー」と、一声唸った。


「どうしたの大丈夫。レン?」


 唸り声に驚き、シャーゼが浴室に飛んできた。ラウも毛布を咥えて、トテトテと、こちらに歩いてきた。


「大丈夫だよ。あっ!でも、この子が浴室から飛び出ていかないよう、見ていてよ。」


「そうしましょ。」


 シャーゼは獣人侍女と伴に、ラウの咥えた毛布を洗面所に広げ、狼の子を移動し寝かせた。ラウも狼の子の横に行き、体を舐める。

 うーん。体を舐められると、すごく落ち着くんだよね。って、ラウって、オスだけど子育て経験あるのかな?


 胴体や手足に、石鹸を泡立てたタオルで撫でて、お湯をかけらた。

「うがぁー」と、もう一声唸った。お湯というか、水はそもそも嫌いなんだよね、俺。

 乾いたタオルで拭いてもらうが、俺はお腹が空いたzzz。


「レン。レイと一緒に朝食を取って、この子たちは、ラウが面倒を見ているから。」


 シャーゼと獣人侍女は、キッチンに向かった。ラウは、「くぅーん」と鳴き、シャーゼに応えた。


「はーい、今朝の朝食は、何かな。」


 キッチンからは、肉・魚、いやどちらの匂いも漂ってきている。


 リビングでは、すでに、テーブル席にレイが座っていた。横顔を伺いながらエプロンを外し、獣人侍女に返した。


「レンありがとう、あれだけの時間をもらったのだから、楽に取ってこれたわ。」


 レイは、【隷属の首輪】が入った革袋を腰に下げている。


「そう、その間、ライラは、どうだった?」


 レンは、呟くように話しかけた。


「ライラは、ソファで瞑想していたわ。」


 言われなければ、そこに存在しているのかさえ判らないほど静かだが、確かにライラだ。


 テーブルには、すでに大きなパンとバターが置いてある。


 獣人侍女は、魚料理(一匹を丸ごと)をレイの前に、肉料理(大きく分厚いステーキを一枚)をレンの前にそれぞれ置き、フォークとナイフを手渡した。


 レンもレイも、フォークで刺し、ガブガブ、ガブ着いた・・・。それを見たシャーゼは。


「レン、レイ、ちゃんと、ナイフも使い、一口サイズに切り分けてから食べなさい、ね。」


 双子のエルフは、こくりと頷きながらも、ガブと果実水を飲んで胃の奥へと流し込んだ。


 獣人侍女は、料理に合わせたソースを持って来たが、時すでに遅かった。皿の上は、空となっており渡しそびれた。

(レイが食べた皿の魚には、頭も骨も残らない。)


「デザートは、何かな?」


 レンは、パンを千切り、バターナイフでバターをべちゃべちゃと塗った。必殺食っちゃ寝である。


 獣人侍女は、水差しに入った果実水をコップに注いだあと、キッチンへと向い、ティーカートに乗せた、焼き立てのパンケーキと蜂蜜を持ってきた。


「えーと、お母様に相談がありますわ。」


 レンをちらっと見ながら椅子から立ち上がり、瞑想するライラの横に、シャーゼと伴にソファに座った。


「先日、お母様が外界から来たハーフ・エルフについて情報を集めてと言っていたが、私達も協力して良いかしら。」


「レンとレイで?そうね、酒場や兵士の詰め所は、ドアンに頼むとして、狼の子を連れて、東の森に散歩に行くといいでしょ。」


 口元に手をやり、考えるような仕草をとった。

 二人で何か考えているようだが、いまのところ内容が不明である。それならば、自由に行動させて様子を見てみようと考えた。監視役に、ライラを付ければ安心である。レイは、熱くなりやすいが冷めやすい性格であり、暴走するレンを止めてくれるであろう。何よりライラと共に行動させることで、何かしら成長を期待した。


「ライラの瞑想が終わり、狼の子たちが起きたあと、三人と二匹で行って来なさい。」


 シャーゼは、レイとの会話が終わったとばかりに、蜂蜜でべとべとになったレンの口をタオルで拭いた。


「お母様、狼の子に、ごはんあげてもよい?」


「じゃぁ。レンの狼の子、オスに与えてね。」


「はーい、ラウ、オスの狼の子を連れてきて欲しいよ。」


 ラウは、「ウォ〜ン」と、一声鳴き返事し、オスの狼の子を咥えて、レンに渡した。


 獣人侍女は、お湯でふやかした減塩の干し肉を木皿に入れレンの前に置いた。


 ライラは、メスの狼の子を抱き上げながら、レンの横に座った。


「狼の子たちと散歩に行くのだけど、一緒にどう?、ついでに、お母様の言われていたハーフ・エルフを探しに行くよ。」


「そうですね。行きましょう。準備してきます。」


 ライラは、受けた神託がそうするよう、促していると感じずには、居られなかった。

誤記は、気にしない。

レンとレイの名前が、逆があり、変更。

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