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異世界転生なんてありません。  作者: 豚足演算
2/4

嘘はよくない!平一平!

先が見えない程に長い長い列だ。その列に3日程並んだ後俺の順番が回ってきた。

「はい、確かに書類を受理致しました。これからこの書類を基に担当官を決めますのであちらの部屋にて待機をお願いしますね。」

そう言ってまた天使の様な微笑みを返してくるのであった。

・・・あれから1ヶ月が経とうとしている。

案内された部屋には様々な物があり時間を潰す事は簡単だが1ヶ月も待たされるとこちらとしても何かあったのではないかと不安になってくる。

そんな時に部屋にアナウンスが流れた。

「平一平さん。平一平さん。担当官が決まりましたので今いる部屋の一つ先の右手のドアにお進みください。」

とても事務的だ。

言われるがままに進むとそこは取調室の様な部屋があり机を挟んで向かい側にはインテリという言葉を体現した様な男が座っていた。

果たして俺はこの男に何をされるのであろうか。不安で胸が張り裂けそうだ。

「どうぞお掛けください。」

そう言われて思わず失礼しますと言葉が漏れてしまった。

目の前にいる担当官は提出した書類を手に

「名前は平一平・独身・23歳・日本生まれ・素人童貞・今までの1番の善行は・・・財布を警察に届けたこと。悪行は・・・おやおや随分と控えめに申告された様ですね。」

そう言ってもう一枚の紙を取り出す。

「こちらには善行は特になし。悪行は数えればキリが無いくらいの小さなものが沢山ありますが一つずつ読み上げていった方がよろしいですか?」

そう言われてしまってはいえ、大丈夫です。としか言いようがなかった。

「この様な嘘はあなたの立場を不利にするものとお考えください。では貴方の口から死ぬまでの人生を語っていただきましょうか。嘘偽りなく、ね。」

それからはずっと自分語りをしていた。どのくらい時間が経ったのかも分からない。喉が渇いている気がするが目の前の男が言うには死んだのだから飲食の必要はないとの事だった。」

ここに来る前にいたあの部屋は何だったんだと軽く怒りが込み上げたが先を促されたので続きを話す。

「とまぁ、こんな感じで最後は死んでしまいました。」

ようやく終わった自分語りも目の前の男はこちらを見ようともせず書類と睨めっこをしている。

「少し違うところもありますが記憶というものは曖昧なものですので大筋が合っていれば問題ないでしょう。」

そう言って書類に審査済の判子を押しベルを鳴らし現れたこれまたキレイな女性に手渡す。

しばらく目を奪われていた後に急に湧いてきた不安に対して思わず尋ねてしまう。

「これから俺はどうなるんですか?審査済って何の審査なんですか?」

目の前の男は説明するのも煩わしいといった感じで溜息を吐き

「ここで聞くよりご自身で確かめてください。私の後ろの扉から先に進めば分かりますよ。私も多忙な身でして貴方にこれ以上時間を割いている訳にはいかないのでこれにて失礼します。」

そういってインテリ男は消えた。

俺は恐る恐る言われた通りに扉を開けて先に進むのであった。

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