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彼女の名はこりす。

本名ではないようだが、ネットで知り合ったときからそう名乗っている。

こちらも本名は教えていない。

登録した際、ありふれた苗字の代表である「山田」を少しもじって「山川」にした。


こりすとは去年の夏、三度会った。

その後、受験勉強に専念するということで連絡が途絶え、一昨日、数ヶ月ぶりにメールが来た。

第一志望の大学に受かり、一人暮らしを始めるという。


「できれば、定期的に会っていただけませんか。

お言葉に甘えたいと思います」


という申し出に悪い気はしない。

いわゆるパパ活の相手として期待されているだけだとわかっていても、ひと回り以上若くて、しかもかなり可愛い娘と定期的に会えるのは、30代半ばの独身男にはありがたいことだ。


ただ、こりすはこうも言ってきた。


「じつはあれから太ってしまって・・・ガッカリさせてしまうと思います。

でも、ダイエットしてあのとき以上に痩せるので、大目に見てください」


去年の秋もこりすはダイエット中で、身長体重を聞くと、あっさり教えてくれた。

158センチで38キロ、目標は35キロだという。


医師という職業柄、アノレキ、いわゆる拒食症の気があると感じたが、それも惹かれた理由のひとつだったりする。

10年ほど前、おたがい結婚を考えてつきあった紗耶のことが思い出されたからだ。


心の痛みもともなう思い出ながら、10年もたてば美化され、懐かしさに変わるものもある。

背格好や顔立ちにもどこか紗耶に似たところがあるこりすとの出会いは、運命のようにも感じられた。


とはいえ、38キロくらいでリバウンドするなら、紗耶ほど重症ではないのだろう。


そんなことを考えつつ、去年の夏以来となる、こりすとの待ち合わせをした。



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