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青に挑め  作者: ハイリ
3/9

03 春にまた会う

 4月になりようやく登校初日。


 時刻は6時前。緊張のせいか目覚まし時計よりも早く起きてしまった。


 カーテンを開けるとまだ低い陽の光が入り部屋の中が少し見やすくなる。

 部屋を眺めると引っ越してきた時よりもものが揃い生活感が出ている。


(まだ、汚くないけどちゃんのと掃除をしないと。)



 引っ越してきた日は余裕があると思ったがここまで部屋を整えるのに時間がかかった。


 買い物に行っては買い忘れ気付き、また買い物に行ったり、部屋の模様替え(家具の配置を調整しただけだけど・・・)にわりと割と時間がかかった。


 しかも、買い物に行っている間に前の学生証を落としたようで実家の母さんから連絡があった。


 学生証を誰かが交番まで届け出てくれたらしく、家に電話がかかかってきたらしい。

 交番に行って手続きをすると前の学校の学生証を渡された。


 (誰が届けてくれたかわからなかったけど。それに、母さん心配させちゃったし気を付けないと。)


 そう思いながら朝の支度をする。と言っても荷物は準備をしているので軽く朝食を済ませ、新しい学校指定のズボンとYシャツを着る。

 鏡の前で歯を磨いたあとはネクタイに苦戦する。まだうろ覚えの結び方だが何とか形になる。


 部屋に戻り座って時間を見ると家を出るまで余裕があったが何をするでもなく壁にかかったブレザーを眺める。新しい制服に心が踊り、これからの学校生活を想像しているとあっという間に時間が過ぎていた。


 まだ、焦る時間ではなかったけど遅刻するわけにもいかないため、立ち上がり壁にかかったブレザーに袖を通す。

 昨日準備した荷物は何度も確認したのでそのままリュックを背負い家を出た。



 僕がこれから通うことになる蒼栄高等学校はアパートから歩いて通える距離にあり、歩いていると徐々に他の学生が増えてくる。


 校門前に着く頃には沢山の生徒が校門を通り校舎へ向かう。集団について行きながら、初めてこの中に入っていくと思おと何となく心細くなる。


 靴箱に着き、靴を履き替えて職員室へ行く。


「失礼します!」


 職員室に入り1番手前の机にいた女性の先生に転校して来た事を伝えると「少し待ってて」と言われる。


 扉の隣で少し待つと薄いブルーのシャツを着こなした短髪爽やか系の男性が近付いてきた。


「如月くんだね。私は担任の早川です。今日からよろしくお願いします。」


「あ、こちらこそよろしくお願い致します。」


 どうやらこの人が担任の先生のようだ。挨拶をした後、少しクラスの説明をしてくれる。ここの学校は2年に上がる時にクラス替えがあるがそれ以降の2年生から3年生の2年間はクラスが固定らしい。


 だから、クラス自体はこのまま3年に上がり、担任も同じになる可能性が高いそうだ。


「あ、あと体育担当の先生には()()()()はちゃんと伝えてあるからまた体育の前に自分からも言っておいてね。」

クラスの話をしていると先生はふと思い出した様に話す。


「ありがとうございます。今のところ落ち着いているので大丈夫です。」


(せっかく学校にまた通えるんだからみんなに迷惑かけないようにしたいな。)


 そう思った。


 今日は初めての学内ということもあり、早川先生がクラスまで案内してくれた。『2-4』と書かれた表札の扉の前で止まる。


 教室の中はザワザワしていたが、先生が扉を開けるとすぐに静かになる。一緒に教室の中に入るとクラス中の視線を感じた。すごく居心地が悪い・・・。


「それじゃ、そこの前の席に座って。」


 緊張気味の僕に先生は窓際から2列目の1番前の空席を指定する。


 誰とも視線を合わせないように自分の席だけを見ながら席に座る。すると左側から肩を突かれ声をかけられる。


「君、こっちの学校に転校してきたんだね。」


 声の方を見ると見た事のある女の人がいた。確かこの人は・・・。


「あ」


(スマホを拾ってくれた人だ。)


 そこにいたのはこっちに引っ越してきた初日に落とし物を拾って届けてくれた人だった。

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