貴女よりも可愛い私は乙女ゲームのヒロインとしてちやほやされるのがふさわしいので!!!2
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私の名前はローズ。孤児なので家名はない。
長所は世界で一番可愛いこと。
短所はなにひとつ無い。
乙女ゲームの世界に転生した可愛い私は、ヒロインのロベリアになりたいのに、ロベリアは私ではなく孤児院で同室のメアリーだった。
メアリーが15歳になった時、原作通りに貴族の父親が迎えに来て、ロベリアとして引き取られてしまった。
このままではメアリーだけが幸せになって、私が幸せなれない。そんなのおかしい。だって、私は可愛いのに。
せめて私がメアリーと同い年の15歳ならやりようがあったはずだ。何食わぬ顔で私がロベリアになりすますとか。
でも私はまだ10歳で、15歳にはなれない。
私がもたもたしてる間にも、きっと乙女ゲームは始まってしまう。可愛い私が孤児院で雑用してるのに、メアリーが貴族のお嬢様として貴族学校でちやほやされるなんて、絶対に絶対におかしい。
なんとかしなきゃ。
ヒロインにふさわしいのは私なんだから。
とにかく、私は貴族学校に通わなくてはいけない。
貴族学校とは15歳以上の貴族が、魔法を勉強するために通う学校のことだ。
そう。私が魔法を使いこなして、貴族だと言い張ればいい。
私は、毎日14時間、孤児院内の魔法書の勉強を始めた。
4月になったらメアリーが入学してしまう。
時間は3ヶ月しかない。
私は孤児院の仕事を手当たり次第に周りに押しつけ、神父さまに駄々をこね、ひたすら勉強に時間を割いた。
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「火よ、顕現せよ!」
私が魔法書を片手に唱える。
何も全く1ミリたりとも顕現しない。
当然だ。3ヶ月して、私は偉大な真実に気がついた。
魔法は、平民は使えない。
貴族の血を引くもののみが使える。
だからこそ平民と貴族は違うのだ。
「ああもうー!!!!!」
いくら勉強しても無駄じゃないか、こんなの。
メアリーはずるい。
貴族の血を引いてるってだけでヒロインだ。
私は正真正銘平民の血筋らしい。
どうしよう。
私は考えが思いつかないままに、貴族学校へと足を運んでいた。貴族学校は、立派な門番がいるから、中に私は入れない。立派な馬車から降りた貴族が次々と中に入っていく。
「ローズさま!」
私が座り込んでいると、メアリーの声がした。
むかつく。
「なによ、ばか!」
「ローズさま!お久しぶりです!どうして貴族学校に…?あ、私に会いに来てくれたんですか?」
綺麗な服に身を包んだメアリーが、嬉しさを隠さずに顔を輝かせる。
「あんたなんかに、この可愛い私が会いにくるはずないでしょ!?そんなこともわかんないの!?メアリーのばか!」
ああ、むかつく。
私はボロ切れを身に纏ってるのに、メアリーは綺麗な服な事も。私は地面に座っているのに、メアリーは立派な馬車からやってきた事も。私はヒロインじゃないのに、メアリーはヒロインな事も全部全部むかつく。
メアリーの従者達は私のことを警戒している。生意気な奴らだ。可愛い私に無礼な態度。
メアリーは私に「いきなり私が居なくなって、ローズさまは寂しくなっちゃっただけですもんね」と私を撫で始める。ほんと、こうやってお姉さんぶるところも大嫌い。
私がふんと、顔を背けるとメアリーは「ローズさま、すみません。今から私入学式なので、また今度遊びましょう?」と言ってきた。ばかなんじゃないの。貴族と平民がそんな気軽に会えるわけないじゃない。
メアリーは行ってしまった。
私では通れない門をくぐって。
私はこれからどうしよう。
孤児院へ帰ろうと歩くと、背中に痛みが走った。
何かが自分から出て行く感触。
刺されたのだ。
メアリーの従者に。
「孤児がいつまでもロベリア様に付き纏うな」
一気に、血が抜ける。
倒れる私の周りに血が広がる。
私は死に身を委ねた。
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目が覚めて、背中を触る。
よし、傷はない。
いつも首ばっかり狙うから、首切りワンパターンかと思ったけど背中ぶっ刺しもあるらしい。
突然の事って正直びっくりするし、やめてほしい。
はあ、とため息をついて、私は変わらない毎日を過ごす。
私は貴族になれないのだ。
魔法が使えないから。
「うー…どうしようかしら…」
ベッドでゴロゴロしながら、本を読む。
もう、魔法書なんか読まない。
平民からしたら無意味なのだ。
本は、勇者と魔王が戦う話で王道的で面白かった。
「そうだわ!」
やっと気がついた。
ああ、私ってほんとに天才。
可愛いだけじゃなく、頭も良いなんて。
「私が魔王になって、貴族学校を壊せばいいのよ!」
そうだ。それがいい。
貴族学校が無くなれば、私もヒロインになれるはず。
だって、私は可愛いんだから。
私はさっそく、魔物のいる森へと向かった。
楽しくてつい鼻歌が出てしまう。
「ふふっ、たの」
突然。
舌が溶けて、声が出ない。
目の前がなにも見えない。
燃えるように熱い。
私は魔物の酸にやられて、死んだ。
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【Page6】
「魔物こわい!」
目が覚める。
ああもう全部メアリーが悪い。
貴族でもない私がどう魔物を支配するのだ。
無理すぎる。
「うー…むっかつくー…」
ベッドでゴロゴロしながら枕をたたく。
さっきのはびっくりした。
だっていきなり後ろから酸攻撃とか、こわい。
あんなの、百戦錬磨の勇者じゃなきゃ避けれるはずがない。
どこに攻撃くるかを読めないと。
「…???私、読めるわよね?」
怖さが急にさめる。
私は魔物の森へ向かった。
ええっと、たしかこのあたりで、横にジャンプ!!!
「キュルルルルルルル!!!!!」
魔物の酸が、さっき私が居た場所にかかる。
やった。避けれた。
「やーい!ばーか!!!!可愛い私によくも…あれ?」
首がぽとり、と落ちる。
背後に、巨大なカマキリのような魔物が居た。
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【Page7】
「よし、次!」
15歩歩いて、横にジャンプ。
その後すぐにそこから離れる。
「ギーギーギーギー!!!」
私は火に焼かれて死んだ。
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【Page8】
「横、後ろ、で前に走る、ね」
私はまた森へ向かった。
「ジュリアアアアアアエアアア!!!」
沼から伸びた魔物の触手に四肢を引きちぎられた。
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【Page9】
「沼には魔物が3体。別の道がいいかしら?」
私はさっきとは違う道を進む。
「ギョサラタカナメハコユ!!!!!!」
巨大な鳥の魔物に上から頭を引きちぎられた。
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【Page10】
「ええっと、沼が3で、空からが5か。沼ね」
3体なら倒せるかもしれない。
私は鏡を割って、布に包んで、握りしめた。
孤児院から包丁と油とマッチを持ち出す。
魔物の森へついて15歩。
「横にジャンプ!」
「キュルルルルルルル!!!!!」
魔物の酸を避ける。
油をかけて、マッチの火を放つ。
スライムのような魔物は燃えながら苦しみ出した。
「で、後ろ!!!」
私はしゃがんだ。
私の上を長いカマキリの魔物の刃が切り裂く。
あのまま立っていたら首が切られるけど、しゃがめばセーフだ。私はマッチの火を後ろに放つ。
「前に走る!」
「ギーギーギーギー!!!」
火の魔物が炎を撒き散らす。
私は油を巻いて、そこから走り出した。
二手に別れる道を右に進む。
包丁と割れた鏡を構えて泥で濁った沼に近づく。
中にいる魔物は3体。
「よし」
「ジュリアアアアアアエアアア!!!」
触手が伸びてくる。
包丁で切り裂くと、紫の血が飛び散る。
魔物の1体が死んだ。
「やったあ!さっすが私ね!」
喜んだ瞬間、色の違う太い触手に四肢を絡めとられた。
ここで別の魔物か。1体。3体よりは強くて。
私が対策を考えようとしたら四肢は引きちぎられた。
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【Page483】
目が覚める。
私はローズ。10歳の超絶可愛い少女。
乙女ゲームのヒロインを目指している。
私は孤児院から魔法書と包丁を持って、森へ向かう。
序盤は雑魚しかいないから楽勝なのだ。
Lv5〜10の魔物しかいない。
森へ歩いて15歩。
最弱のスライムが酸を吐き散らしてくる。
私は酸を避けて、スライムを刺す。
私はLv1の平民だから、酸はまだ耐えれないのだ。
そしてスライムを口に含む。
魔物は、魔力の塊だ。
食べれば平民でも魔力が手に入る。
100回目くらいでようやく理解した。
背後から現れる気配を隠そうともしないカマキリに向かって「顕現せよ、業火の炎」と言うと、カマキリは苦しみ燃える。カマキリの死体から鋭い刃を包丁で切り取る。
包丁はもういらないので捨てる。
カマキリの刃は、しばらく重宝する大事な武器だ。
火の魔物がすぐに現れるから、私は急いで残りのスライムを口に含み。
「顕現せよ、静寂の水」と魔法を唱えて、火の魔物の火を消失させる。この後は少し余裕がある。私はゆっくり、火の魔物とカマキリの血肉を食べる。
二手に別れる道は、まずは左に進む。
そして、空に向かい「顕現せよ、神速の雷」と魔法を唱えて、鳥のモンスター5体とついでにこっちのボス的魔物のドラゴンを地に落とす。鳥の魔物はすぐ死んだけど、ドラゴンはまだ生きているはず。二発目を放ったときは死んじゃったけど、一発目は大丈夫だ。
私はドラゴンに私の血を飲ませて隷属の契約を結ぶ。
私は鳥の魔物の血肉を食べた。
さっき来た道を戻って、今度は右に進む。
右の沼には触手の魔物が雑魚3体とボス1体がいる。
私はドラゴンに乗り、上空から雷を落として、触手の魔物を殺し、血肉を食べ尽くした。
この時点で私のLvは5になってる。
まあカンストであるLv100が最近の私には当たり前だ。
私はドラゴンと一緒にいつものようにLv100になるよう森を進んでいく。
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Lv100になり、魔王城へたどり着いた。
四天王とやらの血肉を食べる。
これで私は全ての属性の最上級魔法が使える。
私は魔王と再び対面する。
前回は、魔王に殺されて失敗した。
けれど、もう魔王の攻撃も魔法も読めている。
「フハハハハ!!よくぞ来たな勇者よ!!」
魔王が何か言ってるが無視をして最上級魔法を放つ。
もちろん、これで魔王が死ぬわけじゃない。
目をそらすだけだ。
魔王と戦いながら、私は自分に、自動回復魔法や即死回避魔法をかけ、魔王へ毒や呪いをかける。
しばらくして魔王は死んで、第二形態になる。
第十形態まであるので油断はできない。
そして。
長い長い戦いの末、私が勝利した。
私は城で怯える魔物たちに宣言する。
「今日からは、この私、ローズ様が魔王よ!!!私のためにせいぜい役に立つことね!!!」
魔王の生首を晒しながら言えば、歓声が沸いた。
魔物は、強さこそが全てなのだ。
私は、私と隷属の契約を交わしたドラゴンを側近とした。
新しい四天王は私の最上級魔法で召喚した優秀な魔物だ。
私は魔王の椅子に座って、城を見渡す。
魔物たちが畏怖と尊敬の眼差しで「ローズ様、万歳!!!」と称えてるのが、何故だかすごく満たされた。
HAPPY END...?