第11話 宿屋に行って食事をした
「・・・うん。まぁええわ。とりあえず宿屋に行こう。」
やっと思考が追い付いて来た流也はそう呟きながらギルドを出た。
何もわからない状態でこの世界に降り立ち、何も知らない状態でモンスターとの遭遇、逃走、宝箱発見、モンスター討伐、レベルアップと経験し、最後にやっと何かを知ることができる手掛かりに出会った。ならばそう急ぐ事もないだろうと流也は思った。
「めっちゃ疲れたわ。腹も減ったし。」
少し落ち着いて来ると、一気にいろんな事が起きた事による倦怠感とこちらに来てまだ何も食べてない事による空腹感が襲ってきた。
流也はひとまず、マチルダに教わった宿屋に向かった。
「いらっしゃいませ~。ようこそ水鳥の羽休め亭へ。お泊まりだけでしたら、銀貨5枚。お食事は銀貨1枚追加になります。」
ぽっちゃりとした人の良さそうなおじさんが建物に入ってきた流也に向かって案内してきた。
「あぁ、では1泊と食事をお願いします。」
「まいどあり~では銀貨6枚になりますね~。部屋は2階の一番奥でどうぞ。お食事は食堂でお願いします。食堂はこの奥にありますので、いつでもどうぞ~。ではごゆっくり~。」
流也はおじさんから鍵を受け取り2階に上がったり部屋に入った。部屋は6畳ワンルームくらいの大きさで、ベッドと机とタンスがおいてあり、可もなく不可もなくの部屋であった。
「ふ~。やっと一息つけたわ。いろいろあって疲れたわ。とりあえず、メシでも食いに行こうかな?」
ベッドに腰掛けて流也は腹が減っているので食堂に向かった。食堂へ向かった流也は空いてる席に座る。しばらくするとホール係であろう女性が料理を持ってやって来た。
「お待たせしました~。」
机の前に並べられた食事を見て喉を鳴らす。
「いただきます。」
待ってましたと言わんばかりに流也は食べ始めた。
「んっ!これはっ、旨いっ!まずこのサラダ、シャキシャキと新鮮でレタス?みたいやけど、野菜の味がしっかり感じられる。そしてこのドレッシング!サッパリとして野菜の味を邪魔しない。それでいて、単調な野菜の味を飽きさせずに食べさせてくれる。中にまぶしてあるクルトンみたいなのも食感のアクセントが効いていて最高だ!」
「次にこのスープ、コンソメスープみたいだが透き通る透明感!これは充分にアク抜きを行わないとここまでにはならない、ここのシェフなかなかやるな!塩加減も完璧だ!もうこのスープは完成された一品と言っても過言ではない!」
「そしてメインは・・・これは鳥か?チキンステーキか、ほのかに香るハーブの香りこの香りは何だ?鼻をくすぐるかぐわしい香り食欲を更にそそるっ。うをっ!柔らかい、そして溢れる肉汁!皮はパリッと中はジューシー!そしてかけてあるソースもまた抜群!鳥から出る油としっかり調和しいくらでも食べさせてくれる!まさしくメインの名に恥じない一品!」
「そして付け合わせのパンもふっくらと焼き上げられ中が柔らかい、それに噛めば噛むほど味がある、天然酵母?素晴らしい!」
興奮しながら次々と食べていく流也を冷めた目で見る周りの客達。そんな周りを気にせずひたすら料理と向き合い食らい続ける流也。
「いやぁ!旨かった!めちゃめちゃ満足やわっ!ごちそうさまでした。」
流也はコップの水を飲み干し全ての料理を食べ尽くすと満面の笑顔で言った。
「ここの宿は当たりやなぁ。メシが旨いと疲れも吹っ飛ぶわ。」
実は流也は料理を作るのが趣味であり、そして食べに行くのもまた趣味である。友人と一緒に食事に行くと一人言レベルを越えた感想にドン引きされ次からは必ず断られるレベルであった。
「今までとまったく違う世界、それは未知の味、食材に巡り合う機会を得たんやなぁ。それに関しては今からワクワクしてきたわぁ~。」
流也の頭の中はこれからの事はひとまず置いといて、食に関する事にしばらくの間集中するのであった。
自分的に料理はするのも食べるのも好きなんで書いてみました。別段特別な表現をするわけではないんですが、書いてて楽しかったので料理感想パートはまた入れていきます。
ストーリー展開遅くて本当にすいません。