1話 始まりは突然に・・・・
「今日も疲れたなぁ~」
そんな声を出しながら俺、御剣 流也は宿に向かって歩いていた。
ここはダムド王国にある街サムドール。ダムド王国の最西にある大きな街だ。
「この世界に転移してきて、もうそろそろ1ヶ月くらいか~」
そう、俺、御剣 流也は異世界人である。
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1ヶ月前仕事帰りの終電ひとつ前の電車で激務疲れの為爆睡していた。目を覚ますと電車が止まっていたので、慌てて飛び起き電車をドアをくぐった。
ドアをくぐった瞬間一瞬眩しい光が体を覆うと、そこには辺り一面の草原が広がっていた。
後ろを振り向くと電車のドアが閉まり、見慣れた電車が光に包まれそして消えていった。
「まだ夢の中なんかな~?疲れてるからかな?」
俺は、普段からしてありえない光景をみてそう呟き頬をつねった。
「いっっふぁ!!」
つねった頬からじんじんとした痛みが伝わってくる。少し寝ぼけた頭も覚醒してくる。
「夢じゃないなら、ここはどこだ?」
俺は改めて周りを見渡した。360度草原が広がっている。少しでこぼこな丘らしきものがあり、だいぶ向こうには森らしきものもある。自分が住んでいた辺りにはなかった風景だ。
「それに今は夜のはずなのに、なんで明るいんだ?」
そうなのだ。仕事帰りの電車に乗っていたのに今は太陽が真上に登っている。
どういうことだ?俺はだいぶ覚醒してきた頭でぐるぐると考えを巡らしていた。
今の俺の格好は通勤カバン、紺のスーツに赤いネクタイ、そして黒の革靴と所謂サラリーマンスタイルである。
「とりあえず辺りを散策してみるか・・・」
ひとまず動き始めないことには始まらないと思い俺は動くことに決めた。日射しが強かった為とりあえず森を目指して歩き始めた。
歩き初めて数分森が近くなり始めた頃、ガサガサと後ろの丘の方で音が聞こえた。
「なんだ・・・?何かいるのか?」
俺は素早く振り返りその音がする方を警戒しながら様子をうかがった。
「キュウウウウーーーー」
そんな声?と共にプヨプヨしたゼリー状の物体が現れた。
「えっ?何あれ?何やねん?はっ?もしかして、スライム?」
ここ最近ゲームなんてやる暇もなく、そういう情報にも疎くなった流也でもわかる見た目をしたスライムが目の前に現れた。
「えっ?ちょっ?マジで?何なん?ありえへんやろ?」
いきなりのモンスター(スライム)出現に思考が追い付いてない流也。頭がパニックでその場から動けない。
「キュ。キュキュキュキューーー!」
そしてスライムはそんな流也めがけて突っ込んできた。
幸い突っ込んできたものの、スピードもなく真っ直ぐに向かってきたので、流也は咄嗟に持っていた通勤カバンを向かってくるスライムの前にだした。
「キュウウーン!」
そんな声と共にベシャとした音が聞こえた。目をつぶっていた流也が恐る恐る目を開けて見ると、なんと通勤カバンにつぶれたスライムがへばりついていた。しかもしゅうしゅうと音をたてながら、通勤カバンが溶けているではないか。
「うおっ!危なっ!」
咄嗟に通勤カバンから手を離し、一目散に森へ向かって走り出した。いつもの日常ではありえない状況で流也は本能的にその場から逃げ出すという選択をした。
《レベルアップしました。》
頭の中でそんな声が聞こえたような気がしたが、流也はそれどころではない。ひとまずその場から逃げることしか頭になかった。
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流也がその場から逃げ出したあと通勤カバンを溶かしていたスライムは表面の革の部分を溶かした後、核の部分を残して光となって消え去った。
消えた後に残った通勤カバンの残骸の中から一枚の紙がペラペラと風に乗って飛んで行った。
《この世界のについて・・・by神様》
そんな表題が書かれた紙はペラペラとそのまま何処かへ飛んで行った・・・・
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御剣 流也
種族: 異世界人
職種: 迷い人
Lv:2
HP:52/52
MP:15/15
ユニークスキル
異世界の知識
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スキル
逃げ足
はじめまして。ロンヤスと申します。
今回初めて投稿させていただきます。
小説書くのも何分初めてでお見苦しい部分もあるかと思いますが、よければお付き合い下さい!