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【書籍化】八彩国の後宮物語 ~退屈仙皇帝と本好き姫~  作者: 富士とまと


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通行不可?

「……そう、ですわね。チョコレートだって、黒い色を不吉と思って嫌煙している人はあのおいしさを知らないかわいそうな人ですもの。原料のミミズが気持ち悪い姿をしているからといって……効果の高い薬を飲みたくないなんて言ってはただの馬鹿ですわね」

 スカーレット様が青い顔をしながらも……おめーもこのミミズ食ってんだろ、気持ち悪いとか言ってあほか(意訳)的な失言をした私を許してくれた。嫌がらせですのと言われなくなったのすごくない?

「ご、ごめんなさいっ。あの、そ、そうだ、実験にちょうどいいですね。とりあえず、庭はこうして境目も、私たちは自由に行き来できます。生き物はどうなんでしょう」

 ミミズをひょいっとつかみ上げ……小さく侍女たちが息をのむのが聞こえたけど……また、私、失態?

 ミミズくらいどってことないんだけど……せめてハンカチでくるむようにそっとつまみ上げるべきだったか……。う、ぐぐ。これは、いやだいやだと言っている場合ではなく、ちょっと本腰いれて、苗子に姫としての立ち振る舞い教育をしてもらわないといけないかもしれない。

 箸の持ち方問題と一緒だよね。自分が食べやすくて使いやすければ別にいいじゃんじゃないんだよね。グーで箸を持って食べ物を突き刺しながら食べているのは、見ている方が不快になって食事が楽しめなくなる。周りの人を不快にしないように身に着けたほうがいいことは世の中にいろいろあって、それがマナーだ……と、本に書いてあった。猫背ももしかしてみてる人が不快になるのかもしれない。

 直せる部分を直さないというのは自分の我儘なのかも……。うん、反省。ちょっとは努力しないと。私のことを思ってくれる人がいるんだもん。それこそ今までは赤ちゃんのころから一緒にいた人たちに囲まれていたから「妖怪」で済んでた。周りの人は私を好きなようにさせておけばいいと甘やかしていたんじゃなくて、諦めていたのかも……。そして、私はそれに甘えていた。自分の好きなことばかりを優先できる環境をラッキーだと思って。婚約破棄されたことだって、それを理由に結婚しなくてよくなった、ラッキーだと思ったけれど……。それって、最低だったかも。

 と、今はそんなことを考えている場合ではない。

 持ち上げたミミズを、黒い土の一番すみっこに置く。

「ほら、あっちへ行ってごらん」

 つんつんと後ろをつついて追い立てるように、赤い土の上……赤の宮の庭に行くように仕向ける。

 ミミズは、状態を持ち上げくねらせ、逃げたいのに何かに阻まれて逃げ出せない様子でうごめく。

「あれ?行けないのかな?」

 私の実験の意図が分かったのか、スカーレット様が侍女に何かを指示した。指示された侍女は、すぐに赤の宮の庭の木の周りをぐるぐるとして、1枚の葉っぱをちぎってきた。

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