よびりん
「あら、犯人じゃないと分かれば、友達になれるかもしれませんわよ?」
そりゃそうだけど。
「嫌がらせとかじゃなくて、単に寿命で偶然そこで死んだだけだと思うんだけどなぁ……」
スカーレット様がふっと笑った。
「3回目です」
スカーレット様が、侍女に顔を向けて小さく頷いた。
視線を向けられた侍女が、簡単に続きを説明してくれる。
「スカーレット様が赤の宮に入られてから、今回と同じようなことが過去に2度ございました」
「6年で鳥が庭で死んでたのが3回目なら、別に多くないんじゃない?それとも、仙山では生き物は死なないみたいな不思議なパワーでもあるの?」
読んだ本には書いてなかったけどなぁ。
とはいえ、読んだ本には、仙皇帝宮の地下の巨大書庫の話も書いてなかったんだから、何もかも本に情報が載っているなんてあるわけないけれどね。
「あの……」
侍女が何か言いにくそうにスカーレット様を見た。
「何?遠慮なくいいなさい」
「はい。鈴華様のおっしゃる通り、たびたび、小動物などの亡骸は庭では見かけるようです。庭師が処理してくださっています。ですから、その、生き物が庭で死んでいるということは、不自然ではないと言われれば……不自然ではないかと」
スカーレット様が侍女の言葉にふぅーんと真っ赤な唇をきゅっと閉じ、それから言葉を探して口を開く。
「そうかもしれないわね……でも、特徴的な黒と黄色の鳥は朱国の鳥ではないわ。庭にいるのがそもそも不自然ではなくて?」
「え?庭って、誰でも自由に行き来できるんじゃないんですか?だったら、動物もどこにでも行けるんじゃないんですか?」
スカーレット様が返事に困っている。知らないんだろうな。
私の読んだ本にも書いてなかったけれど……。
そういえば……、昨日興味深い単語を聞いたわ。レンジュに!
「結界とか、そういうのがあるのかな?」
レンジュが一番結界が強いのは私の寝室でそこにいれば安全だとか言ってたってし、庭にも仙皇帝宮を中心として、各宮の庭を仕切るような放射線状の結界みたいなものがあっても不思議ではないよね?それぞれの庭がそれぞれの国の特徴を持っているって、銀国は雪の国だよね?まだ見てないけど、雪が積もっている庭なら、その隣は寒いってことになっちゃうし、突然雪が途切れるとか無理だよね?不思議な何かがない限り。
「結界?」
スカーレット様が、首をかしげる。
「そうだ、苗子!私の部屋の引き出しに鈴を入れてあるから、取ってきてくれる?」
「鈴って、もしかして」
「そう、レンジュを呼ぶ鈴!アレをならせばレンジュは来てくれるんでしょう?結界についてレンジュなら何か知ってるんじゃない?」
私のナイスアイデアに、苗子が真っ青になって首をぶるぶると振った。




