表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】八彩国の後宮物語 ~退屈仙皇帝と本好き姫~  作者: 富士とまと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

82/124

あれ

 おいしいものをありがとう?涙を流すくらいおいしい?いや、違うよね。失敗を許してくれてありがとうってことだよね?

 スカーレット様いい人だ。

 ちょっと疑り深くてピリピリしてるところもあるけど……。それは一人で身を守るために気を張っているからだよね。

「はい。いただきましょう!」

 まずは喉をうるおそうとお茶に手を伸ばして、はたと手が止まる。

「苗子、この場合、形式的に毒見してもらう方がいいんだっけ?別に私は全然毒なんて疑ってないけど」

 苗子の言葉に、スカーレット様が声を立てて笑った。

「ふ、ふふふ、おかしな人ね」

 とても自然な顔。楽しそうだ。

 今なら!

「本当に何も知らないんです、だから、スカーレット様、友達になってください」

 と、言ってから思い出す。

「あ、いや、待ってください。ただでさえ黒くて不吉で嫌がれれるのに、何も知らないから教えてとかさらに迷惑な存在なのでは……私、あれ?友達になってなんて言えるような立場?あ、でも、友達になりたいと思ったから、つい……えっと、ごめんなさい、あーっと、えっと、と、友達とか無理でも、あーの、えーっと、うひーっ、嫌わないで、時々お話ししてくださいっ!」

 がっつり頭を下げる。

 下げたまま、スカーレット様の返事を待つんだけど、何も声をかけてもらえなくて頭をそっと上げる。

 スカーレット様の前の苺大福が半分なくなっていた。

「これは、素晴らしくおいしいお菓子ですわね」

 スカーレット様が笑っている。

「あ、はい。苺大福というのです。本来は小豆で作った餡子で作るのですが、今回は白餡で作ってみました。作ってみて驚いたんですけど、白あんの方が渋みが少なくあっさりしているので、苺との相性がいいんですよっ!新しい発見です!果物と白あんの組み合わせは今後も研究課題としていろいろおいしいものを作れそうだと、料理人たちも張り切って……」

 どうも、私、食べ物の話ばかりしているような気がして口をつぐむ。

「小豆で作った餡子とはどのような味かしら?食べてみたいわね」

 スカーレット様の言葉に、首を激しく横に振る。

「いえ、あの、小豆は、えっと黒いので、あの、その……」

 スカーレット様が楽しそうに笑った。

「ふふふ。黒い食べ物が不吉なんて言っても、本当にそんなこと信じてる人なんて朱国にはいないわよ」

「へ?」

 スカーレット様の真っ赤な口の口角があがる。

「アレを持ってきて頂戴」

 あれ?

 スカーレット様に命じられた侍女の一人が、小さく頭を下げて部屋から出て行った。

 アレってなに?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ……そもそも小豆は赤ですしねぇ。日本でも赤色は縁起がいい色としているので小豆も縁起物としていたりしているくらいには赤として認識されてますし アンコも本来は黒ではなく濃い紫で、濃過ぎて黒っぽ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ