表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】八彩国の後宮物語 ~退屈仙皇帝と本好き姫~  作者: 富士とまと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

70/124

妖怪の寿命

「申し訳ありませんでしたっ!」

 二人が声を合わせて頭を深く下げた。

 え?

 何?

「もしかして……あなたたち……」

 つまみ食いで、こっそりいっぱい食べたとか?

 うん、仕方ない。私にも経験あるけど、味見のつもりの一口が、気が付けば皿が空っぽとか……。……あるよね。あるある。

 4回くらい繰り返したら、味見の時はスプーンに人さじすくって渡されるようになった。はい。思い出しました。スプーンに乗ったクリームを食べている間に、ボールはどっか遠くへ持っていかれてた。あれ、絶対味見しすぎないように予防線張られてたんだよね。

「もう、鈴華様はご存じだとは思いますが……私たち二人は黒の宮に配属されるのを拒みました」

 へ?つまみ食いを謝ってるんじゃないの?

「それなのに……こうして大切な役割を……新しいレシピを惜しげもなく教えてくださいます……」

「おいしいと、私たちに感謝の言葉をくださいます……」

 いやー、普通でしょ?レシピは作り方教えないと自分じゃ作れないし。

 おいしいものをおいしいっていうのだって、普通でしょ?

「これからも、どうぞ……こちらにおいてくださいませ!」

 あれ?もう首にするなんて全く思ってないけど……?

「鈴華様がいらっしゃる限り、10年でも20年でもお仕えさせてくださいっ!」

 え?

 あれ?

 まって、まって……。

「苗子、なんか、二人が変なこと言ってる。10年、20年もいられないよね?そもそも、私、すでに26歳だし……」

 苗子がにやりと笑う。

「鈴華様は、あちらを目指していらっしゃるのでしょう?」

 苗子が仙皇帝宮を指さす。

「そうだった!私、書庫に10年でも20年でもどころか、死ぬまで住むっ!……ん?」

 でも、料理人を連れて行くなんてできないんじゃない?

 ああそうか。

「わかったわ!私が、妃に侍女として連れて行ってもらえることになったら、あなたたちも優秀な料理人だからおいしいものいっぱい作ってくれるから連れて行ってあげてって頼んであげる!おいしいお菓子を頻繁に差し入れればきっと洗脳できると思うの!」

 ぽんっと手を打つと、小さな声で何かを同時に皆がつぶやく。

「「「そうじゃないっ」」」

 息が合ってるけど、今なんて言いました?

 首をかしげると、なぜか料理人2人と苗子が視線を合わせて頷きあったあと、手をぐーにしてぐっと合図を送っている。

 何だ、なんなのだ。苗子に答えを求めようと苗子の顔を見る。

「私も、ずっと鈴華様にお仕えしますからね?」

 !

「ありがとう、うれしい!苗子しゅき!」

「100年、いえ、300年は仕えたいと思います」

 はい?

 苗子がおかしなことをいいだした。

 いくら本の妖怪って言っても、妖怪じゃないから、せいぜいあと50年くらいしか生きられないと思うの。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 主人公の天然っぷりを毎回楽しく読ませていただいています ただ、「苗子しゅき!」の繰り返しが、気になって仕方がありません 「好き」の方がスッキリするのではないかと思うのですが
[一言] 仙帝皇妃になったら> なるほど、その手の説得方法が有ったか!ww いや、頭良いなぁ……当の本人は、知識はあるけど割とお馬鹿さん(本読みあるある)な論語読みの論が知らず状態だから多分全然気が…
[一言] 仙皇帝妃になったら寿命を気にせず本読み放題……!アカン鈴華様釣られてしまう……
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ