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【書籍化】八彩国の後宮物語 ~退屈仙皇帝と本好き姫~  作者: 富士とまと


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めまいがするくらい素敵

 ふふ、ここで、こっそり図書室に向かって本を持ってくる……なんてほど、私は子供でなはいのだよ。

 読んでいる途中の物語の本があったならば、続きが気になって気になって仕方がないところですが特に、起承転結の、あとは結だけってところまで読み進めていたならば……。あと、ちょっと、あとちょっとだけ読んだら、寝るから、ね?いいでしょ?後これだけ読ませて!って、駄々こねちゃうかもしれませんが……いや、大人げないといわれても、こればっかりはね。気になってどうせ寝られやしないんだから!

 私は知っている。夜忍び込んで本を持ってくるより、素直に寝て、早起きして早朝から明るいところで本を読んだ方がはかどるということを!

 ぐっふっふー。では、おやすみなさい。明日は早起きするぞー。


 起きた。

 よし。図書室へGOだ。

 寝巻のままではさすがに駄目だろうと、タンスを開く。

 8竿のタンスは、1のタンス、2のタンス、3のタンスと用途によってある程度分けられているようで、大量の服も選ぶのが楽だ。1のタンスから、最上級礼装、正礼装、準礼装、略礼装、夜会服と並び、残りの3つが平服で、外着、部屋着、寝巻や下着……と、完全に分かれてるんだよね。

 てなわけで、部屋着のタンスを開く。

「つくづく、私、呂国の姫でよかったわ……」

 並んでいる服は、呂国の色にちなんで黒が多い。真っ黒というわけではなく、どこかに黒が入った落ち着いた色合いの服だ。金国は室内着も金ぴかしてるのかなぁ。落ち着かないよね。

 綿でできたモスグリーンの前合わせの服を身に着け、10センチ幅の帯を前でちょうと結びにする。袖口が広がった形をしている。1枚で着られるように、裾はちょうど着丈だ。袴を合わせる場合は、下から見えないように少し短く作ってある

「さてと、図書室、図書室、どうなったかなぁ~」

 図書室の入り口で足が止まる。

 あああ、す、素敵!4つの背が高くて幅も広い大きな本棚に、本がびっしり並んでいる。

 めまいがするくらい素敵な光景。

 どうしよう、胸がどきどきして止まらない。これが、恋?って、そのくだりはどうでもいい。

 近づいて本を手に取ろうとふらふらと部屋の中に足を踏み入れる。

「ひゃっ!」

 前しか見ていなかった私の足元に何かがあって、躓いて床に手をつく。

 何に躓いたのかと振り返ってみれば、転がっていた。

 ……床に……。

 人が……。

「フェ……楓!」

 顔を確かめると下働きのフェンだ。15歳で成人したばかりでまだ幼さの残る顔。幸せそうにむにゃむにゃ言いながら……。


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