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【書籍化】八彩国の後宮物語 ~退屈仙皇帝と本好き姫~  作者: 富士とまと


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怖っ

「ごめん、メモして後で渡すね。で、材料揃ったら呼んでくれる?えーっと、作るのに少し時間がかかるから、訪ねていくのは明日以降ってことにしてもらっていいかな?」

 というわけで、

 食事を終えて部屋に戻りさっそくメモをしたため苗子に渡す。

「材料が届いたら教えて。作り方を教えに行くので。庭に行るから」

 苗子に手を振って庭に出る。

「おい、お前、いったい誰に何を頼んだんだ」

「うわっ」

 庭に出るなり声がかけられ、驚いて大きな声が出た。

 今の声、レンジュ?

「う、う、うわぁぁぁっ!」

 振り返って、今度は歓喜の声が出る。

 な、な、な、何?

「す、す、好きっ!」

 私の大好きな、大好きな、愛してやまない本がっ!山のように積みあがっている。

「は?いや、いきなりそんな、愛の告白されても、どうしたんだよ」

 にょきっと、本の山の後ろからレンジュの顔が出た。

「あ、レンジュさん、どうしたんですか、この本。私、本、大好きなんですっ!」

 レンジュさんが口を大きく開け、あきれた声を出す。

「はぁ?好きって、俺のことじゃなくて、本かよっ!」

「い、いえ、レンジュさんも好きですよ。本を運んでくれたんですもの。これ、読んでもいいんですかっ?」

 レンジュさんが、不満そうな顔をする。

「本を運んでるから好きって、お前、全然俺のこと好きって言ってないぞ?」

 あれ?そうだっけ?

「読んでもいいが、まずは運ぶのが先だ。まだ大量に運ばないといけないからな」

「た、大量……」

 やばい、よだれが出そう。あ、本を食べるわけじゃないです。

 1000冊の約束は本当だったんだ。

 うれしすぎて胸がどきどき。

「あと何往復しなくちゃいけないと思ってる」

「往復……?もしかして仙皇帝宮の地下の書庫と往復を?あ、あの、私も、私も運ぶの、手伝います」

 レンジュさんがふっと笑う。

「いや、女性に重たいものを運ばせるなんてできない」

 ぶるぶると首を横に振る。

「だ、大丈夫です、無理しない量で手伝うので、あの、遠慮せずに、手伝わせてください」

 はぁ、はぁ、はぁ。

 書庫、仙皇帝宮の地下書庫……世界中の本が収蔵されている、夢の世界。

 じりじりと、大量の本を抱えたままレンジュが後ずさる。

「ちょ、怖っ、なんか、怖っ」

 失礼な。今日も前髪で目は隠してるから睨んでるはずはない。

「手伝わせて、手伝わせて」

 レンジュは私から逃げるように、本を持ってすたすたと歩き始める。図書室に指定した空き部屋にドスンと本を置くと、すぐに庭に戻る。


間が空いてごめんなさい。

更新作業をしてないだけで、しばらく更新できるだけの執筆済文章ありまして……

げふげふ。

ちょっと体調崩してたんで、PCに長時間迎えなくて更新作業が一番後回しでした。すいません。


さて、ついでになんか喫茶店の話が書きたくなって書き始めました。


カフェオレがエリクサー……っていうすっとぼけたやつです。

https://ncode.syosetu.com/n3167fz/

興味のあるかたはどうぞ

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