鈴華ショック
「では食事の続きは食堂でどうぞ」
苗子がカートにレンジュさんが持ってきてくれた食事をのせて食堂へと案内してくれた。
広い食堂。食卓は20名は座れそう。うん。みんなで一緒に食事できそうと言ったら苗子が客人を招いて食事する場所ですと説明してくれた。
「客人?後宮には外の人を呼べないんじゃない?」
「ええ、ですから姫様方をおよびしてお茶会やお食事会を行うんです」
へ?
「それ、しないとダメなこと?」
だとしたら……。使用人減らしちゃまずいどころか、20人じゃ絶対足りないよね。総動員しても足りないんじゃない?
「いいえ。しなければならないことはありません」
よかった。じゃぁしない。使用人が足りないのも問題だけど、めんどくさいというか、そんな時間があったら本を読みたい。
テーブルの端に腰かけて食事をとる。
白身魚を香草まぶして焼いた物に、透き通った汁。それから桜の塩漬けの乗ったおかゆと、葉っぱのお浸し。
仙皇帝の後宮、どんな胃に悪そうな食事が出てくるかと思ったら。食べやすくてすっきりして。ほっとした。
食事を終えると、苗子に黒の宮を案内してもらう。
「最後に、こちらが鈴華様のお部屋でございます」
通された部屋はひときわ広くて豪奢だった。
呂国らしい光り輝くような美しい漆塗りの黒い柱。白い壁とのコントラストがなんとも美しい。窓枠は複雑な形の飾り模様がついている。
螺鈿で美しく装飾された机の引き出しに、レンジュからもらった大きな鈴を入れる。
机に、テーブルとイス、それから続きの間には大きなベッドと姿見。箪笥が8竿並ぶ。
「ないっ!」
心の叫びがしっかり声に出ていた。
「足りないものがございましたら、すぐに用意させますので」
と、苗子が首をかしげる。
もしやと、一縷の望みをかけて、並んだ箪笥を一つずつ開いていく。
服!
服!
服!
服!
……靴に帽子にアクセサリーに……。8竿の箪笥にびっちりと身に着けるものが詰まっていた。
「これって……」
「新しく入られる姫様のために新調された品々にございます。後宮を去ることになりましたら、すべてお持ち帰りいただくこともできます」
箪笥の中に入っていた1枚の着物を手に取る。
この手触りは絹じゃなかろうか。黒の姫の召し物ということで、黒が基調の服が多いが……。黒って本当に金糸や銀糸が映えるんだよね。作る人も楽しいのか……。
柔らかくて肌触りもよさそうな絹に、これでもかと刺繍が……。軽いはずの布がずっしりと重い……。
隣の着物風のドレス。白い前合わせの上着、ふわりと膨らむ女袴風のスカートは白から黒へのグラデーションになっている。裾の真っ黒な部分には小花模様の刺繍。
まぁ私の視力では白いぽつぽつにしか見えないんだけどね。裾を持ち上げてみると、それは細かい花が花びら一枚一枚丁寧に刺繍されてる。
いつもありがとうございます。
レビューほしい……けど、わがままはいえませんね。
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