表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】八彩国の後宮物語 ~退屈仙皇帝と本好き姫~  作者: 富士とまと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/124

実食

 ジャガイモだとどんな味になるのか。本当は山椒を使うんだけれど、山椒の代わりに風味の弱いイヌザンショウを使ったので、どんな味になったのか。

「ほぐっ」

 口に入れた瞬間、頬っぺたが落ちそうになった。

 里芋コロッケも美味しいけれど、ジャガイモで作ったコロッケ……。甘味があって、ほこほこで、外のパンを削って作ったパン粉がサクサクで。イヌザンショウの風味は強すぎずジャガイモの甘味を引き立て。

「美味しい。苗子も食べて。故郷では里芋料理なんだけど、ジャガイモで作っても美味しい」

 進められるままに、苗子もコロッケを口に入れた。

「こ……これは……」

 苗子の目が細められる。

「美味しいです。鈴華様……なんと、美味しい……」

 うっとりという表情。うん、だよね、美味しいよね。ジャガイモで作ったコロッケ、すごいっ!

 いつの間にか、興味を持った料理人4人に囲まれていた。

「あ、皆さんもどうぞ」

 と声をかけると、一斉にコロッケに手を伸ばす料理人。

「はぁっ」

「ほぉっ」

「ふぅっ」

「へぇっ」

 と、それぞれが目を見開いて口の中に入ったコロッケを味わっている。

「な、なんと美味しい……」

「コロッケ……という名前でしたか?初めて食べました」

「素晴らしい味……まさか、ジャガイモとパンでこれほどのおいしいものができるとは」

 と、料理人たちが口々にコロッケの味をほめている。

 ですよね。コロッケ美味しいですよね。里芋コロッケも美味しいんですよ。あと、世の中にはサツマイモという芋もあるそうですが、サツマイモでもコロッケを作ってみたいなぁ。どんな味になるのか。

「パンとジャガイモを持ってきてくれたレンジュに感謝ね!」

 ニコニコと笑ってそういうと、後ろからレンジュのあきれた声が聞こえる。

「は?俺に感謝?いやいや、パンとジャガイモを持っていって感謝される意味が分からないんだが……」

 レンジュは銀のドーム型の蓋が乗ったお盆を持って現れた。

「レンジュもどうぞ」

 と、揚げたてのコロッケを差し出す。

「は?なんだこりゃ?」

 レンジュは、皆がコロッケをおいしそうにほおばっているのを見て、口に入れても大丈夫と判断したのかぱくりと一口で半分食べてしまった。

「むっ」

 レンジュが顔をしかめる。

 熱すぎたかな?揚げたてコロッケをあんなにたくさん口に一度に入れたら……。

「むむむっ」

 レンジュはうなったまま、残りのコロッケを口に入れた。

「うはー、おい、これなんだ?」

「コロッケですよ。レンジュの持ってきてくれたジャガイモとパンで作ったんです。美味しいでしょ?だから、持ってきてくれてありがとう」

 レンジュが唖然とした表情で私を見た。

「いや、パンとジャガイモの味じゃないぞ?」

「ああ、味つけに庭に生えていたイヌザンショウの実を使いました。あと、灯り用の菜種油で揚げたので、油の味もしみてますよね。だけど、ほぼパンとジャガイモですよ?」

 レンジュさんがダンッと大きな音を立てて机をたたく。

 ちょっと、何するんですかっ!

ご覧いただきありがとうございます。


イヌザンショウっていう木が実際にあるそうです。山椒の弱らしいですが、残念ながら実物を見たことがなくて。ご存知の方教えてください。


さて、コロッケ。里芋コロッケは食べたことがありますが、あれ、形はコロッケだけど、ジャガイモサツマイモ南瓜とは別のジャンルでした。


レンジュの笑い上戸キャラは、別作品短編の「貧乏国の~」のドーンを書いてて「ああ、こういうただただひたすら笑うキャラもいいなぁ」と思ったので出してみた。


引き続きよろしくお願いします(*'ω'*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 美味そう(*´﹃`*)
[良い点] コロッケが食べたくなりました。挽肉よりも、ソーセージ一本丸丸々入れた方。楽ですし。 [気になる点] この世界に眼鏡は存在しますか? [一言] 主人公、知識は豊富だけど周りとの認識がズレてる…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ