表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】八彩国の後宮物語 ~退屈仙皇帝と本好き姫~  作者: 富士とまと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/124

鈴華スタイル

「鈴華様、まずはお座りください」

 苗子の引いたイスに座る。テーブルには、布の上に置かれたパンの山とじゃがいもの山。それぞれ5こくらいあるだろうか。

「昼食にはなんでもいいと指示をしたのはそちらだ。だから、用意した」

「パンと、こちらのジャガイモといいましたか?芋の一種ですわね。ふかしてあるんですか?呂国では芋といえば里芋という芋を食べます。ジャガイモ、本では読んだことがありますが、見たのは初めてです」

 興味深くジャガイモを眺めていると、レンジュさんが待ったをかける。

「ちょっと待て待て、怒ってたよな?一国の姫にパンと芋だけなんて馬鹿にしてるのかと怒ったんだよな?」

 いや、だから……。

「怒ってませんよ?私、目が悪くて、遠くのものを見ようとすると目を細めて怒っているような顔になるだけで……。あの、ジャガイモもパンも何か分からなくて目を細めてみただけで……ああ、そうだ。前髪戻しておきます」

 と、顔を見せるために横に流していた前髪をもとに戻した。

「ぶっ、なんだその醜い髪型っ!」

 失礼な。

「怒っていると勘違いされることが多いので、こうしているんです。これなら、遠慮なく目を細めていろいろな物を見ることができるんですっ!」

 はーっと、レンジュさんが大きなため息をついた。

 それから、さっと私の前髪をかきあげる。

「せっかくのかわいい顔が台無しだ」

 か、かわいい?

 何言ってるの、レンジュさん。

「苗子、あれ、なんつった、なんかこう、えーっと、なんかあったろ、顔隠すやつ、あれ用意してやれよ」

 レンジュさんが身振り手振りで何か苗子さんに伝えた。

「はい。そうですね。……で、いつものくだりの続きをどうぞ」

 苗子さんに促されレンジュさんが頭をかいた。

「あー、ったく、やりにくいな。あのな、鈴華様、これ、後宮でのルールを教えるための儀式みたいなもんだ」

 と、パンとジャガイモを指さす。

 儀式?

 パンとジャガイモが?不思議な儀式もあったものだ。

 そういえば、何かの物語の本に、そこになじむためには、そこの食べ物を口にしないといけないみたいなのがあった気がする。そうしないと、異物としてその世界から排除されちゃうみたいな。そういう感じの儀式?

「姫の反応はだいたい3つ。ふざけるなと怒って別の物を要求するか、心に感情を押し込めて何でもない顔をするか、いやがらせをされていると泣くかだ。お前の場合は……えーっと……まさか、喜んでは、ないよな?」

 嬉しいですよ。

 食べたことのない、本でしか読んだことのないジャガイモが目の前にあるんですから。早く食べたいと言いたいところですが、儀式とやらを我慢して終わるのを待っているところです。

読んでくれてありがとう。


感想嬉しいです。

ブクマ、評価励まされております。


儀式……だそうで。パンとジャガイモの儀式……。

我ながら、何故そうした!いや、なんとなく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] パンとじゃがいも・・・パンを生パン粉にしてコロッケ作る?
[良い点] 結構スパルタな後宮で、笑えますね。 この後宮は、各国の、食を含めた文化の交流という側面も有りそうな気がしました。 つーか、この主人公さんなら、異文化に関し、積極的に知りたがるのでは。 …
[一言] だ、大丈夫だ。ラーメンライスやお好み焼きや焼きそばの定食、剛の者に至ってはトーストサンド(トーストを食パンでサンドする)や炒飯ライス(半分を炒飯、半分がご飯)と言う意味不明な物も食べられてい…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ