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仙捕吏の事情聴取

「まさか、鈴華様をお疑いですか?鈴華様は毒を入れるようなことしたりしませんっ!」

 苗子の怒りに満ちた声に、やっと気が付く。

 そう言うことか。

 私が毒殺の犯人だと疑われているということか。

 紫の宮に行ったあの時に毒を入れたのじゃないかと。確かに犀衣様の侍女からすれば普段と違うことは、私たちが訪ねてきたことだろう。怪しまれても仕方がない。

「とくに鈴華様に疑いが掛かっているわけではありません。後宮にいる者全員に話を聞き、毒が隠されていないか調査しているのです。こちらの部屋もお調べしても?」

 仙捕吏の言葉に、頷く。

 外傷もなく、病でもないから毒殺だと思っているだけで、毒殺だと断定されたわけではないの?隠された毒を探す?

「窒息の可能性は?」

 仙捕吏が首を横に振る。

「いいえ、水に浸かってはいません、飲酒のあと、突然苦しみだしてそのまま……」

「何かつまんでいたでしょう?豆とかが喉につっかえて窒息したとか?」

 だとしたら殺人じゃない。単なる事故だ。

「それはありませんでした」

 じゃあ、本当に毒なの?

「動機は?犀衣様が殺されたのだとしたら、誰が……なんの目的で?」

 仙捕吏が難しい表情をする。

「仙皇帝妃の座を争って……」

 それって、他の姫が怪しいっていうこと?

「なっ、私は仙皇帝妃になろうと思ったことはないわ!」

 スカーレット様だって、エカテリーナ様だって、人を殺してまでなんて考えるような人じゃない。

 ……でも、もしかして、スカーレット様やエカテリーナ様の周りの人は?侍女や使用人が自分の使える姫を仙皇帝妃にしたいと……。

「使用人の誰かが?」

「いいえ、過去にはあったようですが、仙山で血が流れ、それが汚れとなって暗黒の時代を迎えたことは使用人は知っています。馬鹿なことはしないはずです」

 そうなの?

 苗子を見ると、苗子は小さく頷いた。

 ……そうだよね。仙山を降りなくてはいけないことを、使用人たちは恐れていた。

 仙山を追い出されるような問題をおこそうなんて考えないよね。……希望を出せば、他の宮にうつることだってできるって話だし。

 使える姫に忠誠を誓い、他の姫を害するなんていうのも……考えにくいか。

「……馬鹿なことをしようとする人間がもしいれば……。この世を恨み、すべてを破壊したいと思うような者が……」

「そんな……」

 もし、世の中を恨んで、滅んでしまえという気持ちで仙山で人を殺したのであれば……。

 回避しようもない。

 プルプルと頭を振る。

 事件とは限らない。事故かもしれない。……そう、病気ではなくて、お酒を飲みすぎて体を壊してしまったのかも。

 考えがまとまらない。

 マオが犯人ではない。

 というか、犯人捜しをするために仙捕吏が動いているのに、どうしてマオは仙牢へ入れられてしまったの?

 分からない事だらけだ。

 レンジュは黒の宮の宦官で、マオは紫の宮の宦官だったとか?

 担当していた紫の宮で事件が起こったから責任を取らされたとか?

 マオを牢から出すには、やっぱり、事件なんて起きてないって証明できればいいってこと?

 事件ではなく、事故だったと。

 必死に頭を働かせる。マオを助けたい。


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